ある漁業者の嘆き | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

 「ちょっとだけ期待して国会中継を見ていたけど、ダメそうだ」

 60代後半の漁業者が呟いていました


 期待とは、住宅再建をするための補助金を増額出来ないかというものです

 国会議員の方がそのような内容の質問をしたものの、答弁は質問の主旨とは違うものだったそうです



 震災後、住宅を再建して田老に留まるか、子供のところに世話になるかという判断を迫られたときに、手持ちのお金と様々な支援金を足せばなんとか住宅再建ができると思われたので、田老に住宅を再建して、漁業を続けようと決断したようです


 しかし、復興が進むに従って、労働力不足から人件費が高騰し、必然的に家の建築費も高騰して、当初の予算では家が建てられない状況になっているのです


 知り合いのハウスメーカーの方に聞いたら

 「他のメーカーさんのことは解りませんが、人手不足で人件費が上がってるので、当社でも震災直後より1割ぐらいは上がってますね」

 ということでした


 2千万円の家で2百万円の値上がり・・・


 住宅を建てる際の金利は低くなっていますし、利子分の補助もありますから、長いローンを組むことができる若い人ならなんとかなるかもしれませんし、退職金のある会社勤め人の人もどうにかできるかもしれません


 「オレのような年のいった漁師に金を貸してくれる金融機関はどこにもねえ。結局、公務員にはオレらの苦労なんてわからないんだなあ」


 そう嘆いていました


 他の国の人道支援も大切でしょうけれども、日本の被災地にも苦しんでいる人がまだまだ大勢いることを、どうか忘れないで欲しいと思います