漁業と企業 | 防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

防浪堤は壊れても ~たろうの海から~

「防浪提に抱かれて磯の香りも生き生きと」
田老一小校歌の歌い出しです
津波が来ても二重の防浪提が守ってくれると思っていました
津波はその防浪提までも破壊して、ふるさとを壊滅さた
それでも、やっぱり海は麗しいし、川は清い

宮城県では漁業に企業が参入しました。漁業は高齢化が進んで着業者の減少に歯止めがかからず、収益性も確保できないから企業が参入してなんとかしようということらしいです

宮城では企業が参入することによる利点もあるとの予測から進めているのでしょうが、私は心配でなりません

営利を追求するのが企業ですから、参入すればあらゆる手段を使って利益を確保しようとしますよね。漁業者から権利を奪って企業が参入して、利益を確保できなくなったら、ハイ、サヨウナラということが一番怖いです。そこに残された漁場はどうなるんでしょう。

漁業者がその気になれば、ウニやアワビなどの磯根資源を取り尽くすことは簡単です。「今年だけ収入を確保する」となればやれる。でも、それは絶対にしない。なぜなら、この海でずっと生きていかなければならないから、来年以降の資源には絶対に手を出さないのです。どんなに生活が苦しい時でも、ずっとそうやって海を守ってきたのが漁業者です。

漁業は職業ですからより多くの収入を求めるのは当然ですが、漁業者を見ているとアスリートとダブるところがあるように思います。地域で1番になりたいとか、一番良いものを採るんだというプライドに突き動かされている部分が大きいように感じます

田老漁協の水揚げの精算書には順位も表示されていますからね。誰が一番かというのは水揚げ金額と同じぐらいの関心事です。一番になりたくて、真っ暗なうちから海に出るし、シケの日も、極寒の日も海に出て作業をするように見えます。その努力はお金だけでは説明がつきません

年収ががた落ちしてもヤンキースを選んだイチロー、年収が落ちても欧州のリーグを目指すサッカー選手と同じです(違うか?)

プロを目指して努力している若いアスリートは、いつかスターダムにのし上がる。そして多くの収入を手にするんだという希望があるから、収入が少なくても、どんなに過酷な練習にも向き合えるのでしょう。ずっと0かもしれないけど努力次第で100になるかも知れないという可能性があるからがんばれる。将来もずっと同じ環境だけど、日給出すから今と同じ練習しといて。ってやりますか?

企業が漁業に参入して給料制になって今ぐらいの生産性を維持できるか

できないと思います

「じゃあ、お前はどうすればいいと思うか」と聞かれると、明確な答えは出せないんですが・・・