28冊目:ざんどぅまの影
澤村伊智
2026/10/02
★ひとことまとめ★
比嘉家の始まり
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
澤村伊智10周年、比嘉姉妹シリーズ待望の最新長編!
1981年、神奈川県Q区。沖縄からの移住者が暮らす街で新生活を始めた篤は、ある夜、「びしゃっ」という水の音と共に、全身ずぶ濡れの人影を目撃する。その日を境に、Q区の住民が次々と“自宅で海水に溺れ死ぬ”という異様な死を遂げていく。街が疑心暗鬼に包まれ、自警団が結成される中、篤は“おばぁ”と呼ばれる比嘉勝子のもとを訪ねる――。
【感想】
比嘉琴子が佐久間篤という男性を降霊し、過去に起こった凄惨な出来事を琴子の口を通じて話して、そのインタビューの内容を野崎昆がまとめた、という体のお話。
篤と琴子にどんな関係が?と思ったら、琴子の祖母であるユタの比嘉勝子がキーパーソンとして登場するからなんですね。
そもそもの前提として佐久間篤は死んでいるわけだから、篤はどのようにして死んでしまうのか…とドキドキしながら読みました![]()
いつもの澤村さんの比嘉姉妹シリーズのようにもちろん怪異は出てきますが、それよりも重要なテーマとして「差別」があったと思います![]()
内地の人は沖縄人を差別し、日本人は外国人(ハーフ)を差別し…。自分たちがやっていることは正しい、仲間の安全安心を守るためと、あたかも大義名分のようにして虐殺を行なう…。
怪異よりも、昨日までの仲間が突如敵に変わることのほうが恐ろしかったです![]()
ざんどぅまは、もとは宇敏那村に東の海からやって来て島に恵みをもたらす神様だった。
しかし、移り住んだ内地でひとりぼっちになってしまい頭のおかしくなった具志堅尚吉が、いろんな信仰をごちゃまぜにして自分だけの宗教を作った。その神様がざんどぅま(惨當魔)だった。
沖縄に伝わる呪い。ウミンナナメにざんどぅまはいる。自分の名前を頼りに、惨當魔と掘られた石を頼りにやってくる。
ざんどぅまに殺された人は皆陸にいたにも関わらず、溺死だった。体内…目から口から鼻から大量の海水を噴き、自身から湧いた海水で溺死する。
沖縄人がざんどぅまを利用して、内地人を殺している。これ以上仲間を殺されるのを見過ごすわけには行かない。だから、ざんどぅまを呼ぶ沖縄人を殺す。
ちょいちょい篤が漢字を読めないところとか、みんなの反応が気にはなっていたけれど、ハーフだったとは気が付かなかった![]()
あと、省三のセリフにも引っかかるところがあって、恐らく竹下が絡んでいるんだろうな〜とは思ったけれど、予想以上に悪いやつだった。
自分は動かず、噂や情報を流して人を動かす…。勝手に争わせて、終わった頃に美味しいところ(土地とか権利とか)をいただく…![]()
結局、篤が見たずぶ濡れの"びしょびしょのお化け"はざんどぅまではなく、ざんどぅまに仕立て上げられた全く別の怪異だった。
皆びしょびしょのお化けをざんどぅまだと思い込み、沖縄人のせいにして人殺しを行なう…。
勝子がビシッとびしょびしょのお化けを退治してくれるかと思いきや、なんと全然太刀打ちできずに死んでしまうのも衝撃的だった![]()
実はユタなんてのは嘘。力なんてなくて話術やそれっぽい儀式で信じさせていただけだった。
ユタとして超一流だったのは、幼い頃に死んでしまった勝子の妹の祥子の方だった。
鬼=外国人、というのは桃太郎のお話でなんとなく知っていたけれど、びしょびしょのお化けがお話の通り鬼(外国人)を恐れてくれて良かった。篤が父親ゆずりの見た目だったから勝つことができた![]()
沖縄人にも内地人にも属せなかった篤のおかげでびしょびしょのお化けが倒せたのに、
「一連の猟奇殺人は犯人不明」
「省三率いる久坂組の自警団おかげで田津菊町は平和を取り戻した」
ってことになってて、活躍を讃えるパネルまで設置されてるの本当に胸糞悪い![]()
罪のない人々の命を奪っておいて、省三が博子と結婚してのうのうと暮らしているのも腹が立ったわ…。
省三に何らかの罰が下ってほしいと思ったけれど、野崎のインタビューが世に出ることで最大の糾弾になるね…![]()
比嘉一族は本当にみんな悲惨な亡くなり方だよなぁ…。
比嘉勝子はびしょびしょのお化けにやられて亡くなった。
勝子の妹の祥子は本土に移る際の船で死亡(病弱だった)。
勝子の娘の比嘉栄恵は大城純平との子供を身ごもり、
栄恵の子供7人のうち、美晴はずうのめ人形で死亡。ほか弟妹も死亡。
今生き残っているのは琴子と真琴だけ。
いまざっとわかっているのはこんなところ?
次の作品の「ととはり屋敷」で弟妹たちの亡くなった理由がわかるようです![]()
こんなにシリーズものを読んだのは初めてな気がします。それくらい比嘉姉妹シリーズが好き。
いつか終わりは来るんだろうけれど、終わらないで欲しい気持ちもある。
ととはり屋敷を読む前に、もう一度「ぼぎわんが来る」から全作品読み直したいな~![]()
