十二人の手紙
井上ひさし
2022/08/08
★ひとことまとめ★
手紙から読み取れるそれぞれの人生
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙など、手紙だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ。
【感想】
ブックオフにふらっと入ったとき、気になって購入しました
こちらの作品は12話の短編で、すべての作品(エピローグの一部除く)が手紙スタイルの書簡体小説です。
それぞれのお話に関係性がないものもあれば、いくつか前のお話の登場人物がまた出てくるということもあります
エピローグでは、それまでの話の登場人物たちが偶然同じホテルにて人質にされてしまいます。
基本的にバッドエンドや後味の悪いお話が多いのですが、中でも「シンデレラの死」は救いがなさすぎてとてもかわいそうでした
どこまでが妄想なのかわかりませんが、母親の恋人にされたことが本当なら…。
彼らから逃げるように家を出て上京したけれど上手く行かず、理想・妄想を手紙に書き綴り自ら返事をする。
手紙の中だけは理想の自分でいられたけれどやっぱり現実とのギャップに苦しんだからなのか、もしくは宣伝部長のしたことが本当に起こったことで、母の恋人にされたことを思い出して悲しみ絶望したからなのか…最終的には自殺という終わり方で本当に救いがありません
「泥と雪」も、もし自分がこんなふうに騙されていたらと考えると絶望しますね…
手紙のやり取りをしている相手は、果たして本当に本人なのか?
直接会わず手紙でのやり取りだけでは、相手が本人かどうか確かめようがないですよね。しかも長年会ってない相手ならなおさら…。
別れさせ屋がいるなら、こんな感じでやるのかな〜
片や、同じように相手に騙されて手紙のやり取りをしていた「ペンフレンド」はハッピーエンドで丸く収まるのですが、これもし私がされたら気持ち悪くてバッドエンドになってたと思います笑
私のことが気になっているからって、架空の人物(Aとする)を名乗って文通して、その文通のなかでAに自分の良いところを褒めさせるという…。
これに気づいても、口下手とか胸がじーんとしたと言える弘子…。
そしてエピローグまで読むと、なんと結婚している!!まあ、、、うまく収まってよかった、、、のか?
二人とも嘘はつき通せているのかな…
個人的にはプロローグで船山さんだけではなく、「泥と雪」の略奪女&夫にも天誅を下してほしかったですね…
最近は手紙のやり取りはめっきり減って、仕事くらいでしが手紙のやり取りってしないですね~
年賀状も2~3年位前まではちゃんと書いていましたが、みんな結婚したり引っ越したりで書かなくなってしまったなあ…
手紙には手紙の良さがあると思っていますが、やっぱり手軽さからLINEなどで済ましてしまいがち
子供のころは交換日記とかやったな~今の子供は交換日記とかやるのかな?というか知ってるのかな??
そう考えると、いまの子供からしたら書簡体小説はよくわからないかもしれないですね~