みちづれの猫
唯川恵
2022/05/16
★ひとことまとめ★
そばにはいつも…
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
ふり返れば、いつもかたわらに猫がいた――。
離婚して心身ともに打ちひしがれたとき、大切な家族を亡くしたとき、家庭のある男を愛したとき……人生の様々な場面で、猫に寄り添われ救われてきた女性たちを描く、心ふるえる全七編の短編集。
『ミャアがそろそろ旅立ちそうです』実家の猫に死期が近いことを母親から知らされ、私は東京から金沢へ向かうが……/「ミャアの通り道」
離婚で気力を失い、人付き合いがなくなり生活が荒れていった江美。ある冬の日、マンションのベランダに一匹の猫が現れて……/「運河沿いの使わしめ」
離れて暮らす会社員の息子が急死した。一日のほとんどを仏壇の前に座って過ごす富江のもとに、お線香を上げたいと言う若い女性が訪れ……/「陽だまりの中」
軽井沢のフラワーショップに勤める早映子を訪ねてきた男がいた。それは30年以上前に別れ、ずっと会っていなかったかつての恋人だった……/「残秋に満ちゆく」
【あらすじ & 感想】
また唯川さんです
猫ちゃんにまつわる7つのお話です。
猫ちゃんを飼っている・飼っていた女性はめちゃくちゃ共感できると思うし、猫ちゃんじゃなくてもペットを飼っていた経験のある人は感情移入できると思います。
私は過去飼っていたペットはハムスターとマウス(しっぽが長いやつ)だけ、猫ちゃんワンちゃんに比べたら寿命はだいぶ短くてどんなに長生きしても3年位。
それでもお別れの時はとても辛くて、しばらく泣いて過ごしていました…虹の橋のお話を読んだりしてオイオイ泣いてました
猫ちゃんワンちゃんの寿命は10年以上、飼い主の人生の中での嬉しいこと悲しいことを一緒に共有して、苦しい時期もそばにいてくれるだけで慰められる、いわば相棒ですよね。
そんな相棒とのお別れを考えると胸がつまります…
もちろん、お別れ以外のお話もありますが、感情にダイレクトに響いたのはお別れに関するお話でした
「ミャアの通り道」は、主人公含む3姉弟が嫌がる父親を説得して、なんとか家に迎え入れた捨て猫ミャアのお話。
社会人になり家族全員で集まることも滅多になくなっていたが、ミャアがそろそろ…という連絡を受け、久しぶりに家族全員が揃った。
そして、家族全員が揃ったのを確認してから、全員に最後のお別れを告げるミャア。
これを書いているだけで泣けてきます
飼うのを渋っていたお父さんが一番号泣しているというのも泣ける
きっと、子供たちが家を出てからはミャアを子供のように可愛がっていたんだろう。。。
「最期の伝言」「残秋に満ちていく」は、猫ちゃんと言うよりは人間同士のわだかまりがほどけていくお話なのですが、こういう人の縁というか…しかも死期が迫っているというお話には弱いんですよね~
生きているうちに誤解が解けることもあれば、色々な事情から死後初めて真実を知ることもある。
自分なら生きているうちに誤解は解けたほうがいいけれど、素直に言えなかったり、今の相手のことを考えたら言わないほうが良い…ってこともありますよね。
「約束の橋」は、読み始めた瞬間に虹の橋だとわかってしまって、先に待っていた猫ちゃんたちが主人公をエスコートしてくれているんだな…と考えたら、自分のハムスターたちを思い出してしまって
私のハムスターたちもあちらで元気にやってるかな
待っていてくれているだろうか
ペットは飼いたいけれど、やっぱりお別れが辛いんだよな~