甘いお菓子は食べません
田中兆子
2022/04/30
★ひとことまとめ★
甘いだけの日々は過ぎ去った
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
頼む……僕はもうセックスしたくないんだ。仲の良い夫から突然告げられた妻の動揺。〈土下座婚活〉が功を奏して知り合った男性に、会って3時間でプロポーズされた女の迷い。念入りに掃除をし、息子に手作りのおやつを欠かさない主婦が抱える秘密。諦めきれない悟れない、けれど若さはもう去った。中途半端な〈40代〉をもがきながら生きる、私たちの物語。心に深く刻み込まれる6編。
【あらすじ & 感想】
こちらもインスタで知った本です
私がいままで多く読んできたのは、登場人物の年齢が20~30代ごろ。作品に出てくるライフイベントも、恋愛・結婚・出産など。
ですが、こちらの作品の登場人物の年齢は40代。酸いも甘いも経験したその先のお話。
40代での結婚、離婚、不倫、発散先のない性欲、親の死、アルコール依存症、子供との関係、リストラ、子供のいない人生、部下とのコミュニケーションなどなど…。
大人の女性ならではの悩みたち。
自分はまだ結婚も出産も経験していないし、これからもできるかわからないけれど…、私も登場人物のうちの誰かに近い心境になる日がくるのだろうか…
最後のお話だけは非現実的で、自分の性器に「癋見(べしみ)」ができちゃうという話なんですが、自分の体にこんな顔ができちゃったら焦りますよね。。。(画像はこちらからお借りしました。)
私にとっては、結婚相手が金持ちとか才能があるとかハンサムとかいうことよりも、私のことが好きで、心から私との結婚を求めているかどうかがはるかに重要だったのだ。(P38)
→私もそうだったな~と思います。だからこそ、入籍が流れたとき「別に俺は入籍しなくても良い」と言われて許せなかったんですよね。
彼は軽い気休めのつもりで言ったんだと思うんですが、じゃあ一緒にいる意味ないよな~と冷静に思ってしまったんです。
彼とこれからも一緒にいたいというよりも、私は「結婚」がしたかったんだなあと。
すごく失礼だけど、タイミングが良ければ誰でも(ある程度のラインを超えていれば)良かったのかもしれない。
自分で書いていても、すごくひどい女だと思うけれど…
若いからというだけではなく、どうしてあの頃はいろんなものが欲しかったのだろう。そして今、私はまだまだ欲しがっている。人と比べて足りないものを、手に入れなくてはと思う。
欲しがることをあさましいと思いながら、欲しがることで若さにしがみついている。(P79)
年をとるにつれて、おのれの自由ばかり求める人間ってかっこ悪いんじゃないかと思い、子供を育てるとはどういうものか単純に興味が湧いた。それで結婚も子育てもしてみようとしたけれど、結婚に失敗し子供もできなかった。母は、そんな娘のことをどう思っていたのか。もはや聞くことはできない。(P99)
年を取るとは、失い続けることに耐えることなのだろう。(P117)
無職になっても自分以外は誰も困らず、誰も本気で心配することはないというのは、自分のことをまず第一に考えてくれる人間がこの世にはいないのだと痛感させられることでもあった。
家族がいないことには慣れているつもりだった。ひとりは心地良いと実感することも多かった。それなのに今、しがらみがある人間が一人でもいて欲しかったと思う。(P180)
働くのは当たり前のこと。熊沢はそう思っている。働かずに生活できる人がうらやましくても、そんな生活とは無縁だとわかっていたし、それを求めたりもしなかった。
結婚も子供を産むのも当たり前のことだと思っている。できてないのに。結婚するのは簡単なことではないし、独身や子供がいないことを不幸と決めつけるのは間違っているけれど、それとこれとは話が別で、ただ、するべきことをしなかった、したかったことができなかったことについて、割り切れない思いがある。(P182)
亜理紗という名前も気に入っているのに、母が亡くなると「アリサちゃん」と呼ぶ人はこの世からいなくなり、「クマちゃん」「クマザワ」「熊沢さん」などと呼ばれている。(P182)
→確かになあ…両親以外の身近な人で名前で呼んでくれる人っていない気がする。(親戚はいるけれど…)
この期に及んでも恋愛の先に結婚があると信じることをやめられないので、結婚も断念した。(P225)
世の中の半分は女だというのに、どこにも女がいなくてひとりぼっちのような気がした。(P246)
自分はこれからどんな30代を送るのだろう。そして、どんな40代を迎えるんだろう。
考えさせられるお話たちでした