88冊目:私が食べた本 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

私が食べた本

村田沙耶香

2021/12/29

 

 

 

★ひとことまとめ★

村田さんらしい書評がずらり!

 

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

デビューから現在まで各紙誌に書いてきた書評や文庫の解説を一冊にまとめた決定版。
幼い頃好きだった本や小説を書くきっかけになった本、
尊敬する作家の大切な作品について丁寧に書く。
また、芥川賞を受賞した際の思いなど、本や自著にまつわるエッセイも収録。

 

 

【感想】

2021年も残すところ1日ですね。

仕事を無事(?)納め、昨日から年末年始休暇が始まりました。

例年はお休みらしくゆっくりしてしまうんですが(特に去年なんて年末に整形したのでグロッキーな状態でした…ゆっくりというか具合が悪かった)、今年は朝も仕事がある日と同じ時間に起き、朝からヨガやって活動を開始しています。

 

というのも、今年の読んだ冊数をなんとか90冊まで持って行きたいな~と思っていて、日中はとにかく本を読んでいます。。。

読みたい本、今年中に読んでおきたい本のストックはたくさんあるのですが、さすがに今日明日では無理…。。。

2021年のラストをどの本で終わらせようかな~と考え中です看板持ち(読むだけじゃなくブログも書かないとだから結構急がないと間に合わないんだよな~)

 

 

さて、今回の本は「コンビニ人間」でお馴染みの村田沙耶香さんの本です。(私は丸の内魔法少女ミラクリーナが好きです)

こちらの本は、村田沙耶香さんが様々な雑誌で書いた書評を1冊にまとめたものです。

 

なぜ書評を読みたくなったかというと、

1つは、今後読みたい本探しのため。

私の読みたい本の探し方としては、①本屋さんを覗く ②自分の好きな作家さんの別の作品を読む ③(今回のように)書評や好きな芸能人のお勧めの本を参考にする があります。今回は③の目的で読みました本

 

2つめは、自分がブログで感想を書くにあたって、どのようにあらすじを簡潔に書くかの勉強になると思ったため。

私のブログの場合、自分が感銘を受けたり覚えておきたいと思った内容をそのまま書くことが多いです。ですが、あらすじを書くことも少なくないので、もっと作品の良さを簡潔に正確に伝えられるようになりたいと思い、本作品を読みましたうさぎクッキー

 

読みたい本もいくつか見つけることができたので、読みたい本と読みたいと思うに至った村田さんの書評などをメモしていきます。

 

 

 

・私はスピーチをするとき、「読書は、音楽に譬えれば、演奏だ」という、作家の小沢信男さんの言葉をよくお借りする。(中略)

十年後、二十年後、私は同じ楽譜を違う風に演奏するのかもしれない。こうして纏められた書評の中にも、今だったらこんなことも書いたかもしれない、とか、この時だったか らこの言葉を使ったのだな、とか思う箇所がある。

読書は、だから、永遠に続くのだと思う。 一度奏でて終わりなのでなく、この本たちを、私は何度も演奏しながら生きていくのだと思う。(P111)

こちらは巻末のあとがきに書かれてる村田さんのコメントなのですが、まさにその通りだなと共感した部分です赤ちゃんぴえん

同じ楽譜でも、人によって表現が異なる。同じ楽譜を同じ人が演奏したとしても、その時々によって奏でる音は異なる。

 

読書も同じで、同じ作品を読んでも人によっては180度感想が異なることもあるし、同じ人が同じ作品を読んでも、読む年齢や置かれた環境の違いによって、感想が変わることもある。

学生時代は面白いと思って読んでいた作品・作者さんでも、大人になって再読したら、何となくしっくりこないな~と思うことってあると思います。

自分自身、過去のブログを読み返した時、「この時自分はこんな感想を書いたのか~驚き」と驚くこともあります。

あの時の私は猛烈に感動or批判をしていたとしても、今の私ならまた違った感想を抱くかもしれない。

村田さんの言う通り、読書は一度で終わりではなく、何度でもいつまでも続いていくものなのだなと感じました。

 

 

 

【読みたい本リスト】

「星へ落ちる」金原ひとみ

・相手から見捨てられないために、相手にとって都合のいい「私」を提供し続ける姿は、とても痛ましい。

彼女の悲鳴は、可愛らしい容姿の中に閉じ込められて、外からは見えない。 男性から可愛いとよく褒められる、よく手入れされた外見ですら、彼に気に入られるように、または他者から商品価値が低いとみなされないように身につけた、切実な鎧なのではないか、と思えてきてしまう。(P15)

 

・私は恋愛中の嫉妬心には二種類あると思っている。 純粋な恋愛感情からくる嫉妬と、捨てられることに対する不安感からくる嫉妬だ。(中略)

不安感からくる嫉妬は、少しも愛していない相手に対しても湧き上がり続ける。 そしていくらセックスしても消えない。 セックスは激情の表現方法ではなくなって、 相手を繋ぎとめるための手段に成り下がる。一匹の発情したメスだったときに持っていたプライドはなくなり、少しも望まない奉仕を限界までし続ける。(P16)
 

 

■「少女怪談」藤野千夜

・小学校のころ、私が可愛いなあと、それだけで眺めてた少女たちも、しっかりと人間だったはずなのだ。なのに、私は目先の可愛さに気をとられて、人間である彼女たちと喋りそびれてしまったことを、恥ずかしく思った。
決して甘くない現実を、甘くない少女がしっかり生き延びている。(P25)

 

 

■「ポケットの中のレワニワ」伊井直行

・あまり親しくないクラスメイトに友達と二人、「秘密の話だから」 と教室の隅のカーテンの陰に呼び出され、「実は、凄い魔王がこの世界を狙ってる」と言われたことがある。「妖精の力を身につけて戦わなくちゃいけないから、協力してほしい」 と真剣に言われ、(中略)魔力を持ったノートなるものに私は「風の妖精」として登録させられ、日々、何だかの特訓をして魔王襲来に備 えなくてはいけないことになった。(P34)

→このあたりの経験が丸の内魔法少女ミラクリーナに活かされているのかなと感じました。

 

・子供住む世界は狭い。学校と家、そして放課の遊びが子供ぼ社会の全てだ。 子供 は成長するしたがって世界の広さに気がついていく。けれど多く人が、やがて大人ならではの狭さ」を感じるようなる。世界が広いからといって、誰でもそこを自由に飛び回る羽があるわけではないと気付くのだ。自分の小さな手足をいくら必死に動かしても、自分が動き回れる範囲は思いのほか狭いのだと、気付いてしまうときがあるのだ。(P36)

 

 

■「大きな熊が来る前に、おやすみ。」島本理生

 

 

■「タイニーストーリーズ」山田詠美

・短編という言葉で片づけるのが勿体ないほど密度の濃い、匂いたつ言葉たちでできた物語の滴。どの短編も、最初の一行を読んだだけで、ぴりっとその世界の静電気にしびれたような感覚がある。

読者は一瞬にしてその空気に感電し、物語に引きずり込まれる。現実世界の呼吸をする余裕もないまま一息に最後まで読んでしまう。(P47)

 

 

■「僕が本当に若かった頃」大江健三郎

・とにかく、何かが、壊れた。そのことだけが分かった。

それが壊れたということが、私の精神の一部になった。(中略)何かが壊れるということは、自分が別の形になるということだ。それは無意識のある部分が覚醒するということにも似ている。

精神が今までと少しだけ違う形になる。そのことはとても怖いのだけれど、小説を読むとき、どこかでそのことを期待している。(P95)

 

 

■「抱く女」桐野夏生

・好きな服やアクセサリーで着飾って、男と沢山寝れば「公衆便所」。誰からも抱かれなければ「抱いてもらえない女」。作品の時代から四十六年も経っているのに、女性たちは「抱く女」ではなく「抱かれる女」のままだ。(P159)

 

 

 

他、村田さんの文章で良かった、共感した、面白いと思った部分です。

 

・私にとって、本は異世界への扉で、読むものではなく漂う場所だった。だから同じ本を読んでも、飽きることがなかった。(P165)

→私も、本は読むものではなくて別の世界を体験できるものですね。仕事に追われていたり、嫌なことがあった”現実”から、一時的ではあるけれど連れ去ってくれる別の世界。

後ろ向きな言い方なので、あまり好きな言い方ではないけれど、”現実逃避”なのかもスター

 

・小説家を目指す人は、自分の手書きの文章を明朝体で印刷したいという欲望に突き動かされているのだと思っていた(P166)

→この辺りからすでに独特な感性が芽生えていますよねキョロキョロ

 

・頭の中では作りたい理想の小説ばかりが膨れ上がり、それに到底及ばない自分の文章を直視できなかった。(P168)

 

・大人になった今、「中学校が大嫌いだった」という話で盛り上がることがある。あの独特の熱っぽさや、破裂しそうな自意識たち。(P176)

→なるほどなぁと納得した気持ちになりました。

中学生は、自分というものが確立してくる時期で、自分はこんな人間なんだ!というアピールを一生懸命行っている感じ。

その方法の一つとして、良くないことですが”いじめ”があるのかなと。自分はこんなことができるんだという主張や、自分の足りない・未熟な部分を補う(カモフラージュする)ために。

村田さんの文章で言えば、そう言う人は自意識が”破裂してしまった”人なのかもしれないな。

 

・「あの、ぜんぶ聞き間違いかもしれないです。桃の間に来いって言われてないかもしれないです。来るなって言ってたかもしれないです」(P196)

→これ、芥川賞を受賞したので桃の間に来てください、という連絡があったあとの村田さんの反応なのですが、可愛くて笑ってしまいました爆笑

電話だと文章が残るわけではないから余計に思いますよね~。頭が真っ白というかパニック状態なところに続けざまに言われたら、聞き間違いだったのかもしれない…と不安になるのはよくわかります。(たぶん文章で来たとしても、この時の村田さんの場合だったら「いたずらかも…」って思った気がする爆笑)

 

・自分にどうやって小説を書かせようかなあ、といつも考えている。私は小説をかくのがとても好きだけれど、空想癖があって目を離すとすぐにサボってごろごろして自分の世界に閉じこもってしまう。

なので、自分を厳しく見張ったり、頑張った時にはおやつをあげたり、あの手この手で小説を書かせようとしている。(P198)

→自分の行動パターンを知り、いかに効率よく動けるようにしてあげるかというのは重要ですよね。

同じ自分なのですが、見張っている自分と行動をする自分と分かれている気がする。

さらにいうと、見張っている自分もサボることがあるので、そうなると大変。なんであの準備昨日のうちにしておかなかったんだろう~えーんなどとかなり慌てることになります。

見張りの自分も鼓舞しつつ、見張りの自分が今度は行動する自分を鼓舞する…。

自分のなかの他の自分との関係がうまく行くと、物事もスムーズに進められたり、ミスも少なく済むというのは自分でも実感しています。