あなたの後ろにいるだれか
眠れぬ夜の八つの物語
恩田陸・阿部智里・宇佐美まこと・彩藤アザミ
澤村伊智・清水朔・あさのあつこ・長江俊和
2021/12/01
★ひとことまとめ★
思ったよりも怖くなかった…
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
恩田陸、阿部智里、澤村伊智、あさのあつこ、長江俊和ら人気作家競作! 個性際立つ恐怖のアンソロジー。
<目次>
恩田陸「球根」
阿部智里「穴のはなし」
宇佐美まこと「半身」
彩藤アザミ「長い雨宿り」
澤村伊智「涸れ井戸の声」
清水朔「たからのやま」
あさのあつこ「赤剝け兎」
長江俊和「例の支店」
静かな夜。誰もいないはずの部屋の暗がりに、うごめく不穏な気配――。訪れる者が姿を消す不気味な学園の秘密とは。雨の停留所で出会った男が語りだす、幼き日の壮絶な恐怖体験。作者不明の怪談作品に取りつかれる小説家。霊能力者を自称する男と、彼の力を疑うジャーナリストの 論争、その戦慄の結末。八人の作家が競作、読後も震えが止まらない、背筋凍らせるホラー・アンソロジー。
【感想】
澤村伊智さんが読みたくて図書館で予約してた本です。
何が怖いって、この本に収録されている「涸れ井戸の声」を読んだことがある気がするんですよね〜…
けれど、涸れ井戸の声が掲載されてるのって、小説新潮2018年8月号かこちらの本だけなんですよ〜…
小説新潮2018年8月号は読んでないし、過去のブログ遡っても読んでなさそうだしなぁ…
自分の記憶が怖い話…
全体的にそこまでは怖くなかったかな~
8つ収録されたお話のうち印象に残ったものを書きます。
・長い雨宿り(彩藤 アザミ)
急な雨にあい、バス停で雨宿りすることにした私。
誰もいないと思っていたが、バス停には先客がいた。医療機器関係の仕事についているという彼は、バスが来るまでの暇つぶしと言い、子供の頃の恐ろしい体験を話し始めた。
ある年の夏休み、父方の田舎の村に滞在したときのこと。
滞在してしばやくすると、村での遊びにも飽きてきてしまい、一人でけもの道に探検にでかけた。歩いていると前方に子供の姿が見え、ついていくうちに山の上の方まで来てしまっていた。
帰ろうと思い道を引き返すと、「……ば、……あば、ば…」という声が聞こえてきて、何者かが追いかけてくる。
急いで家まで戻るも家には誰もおらず、鍵も開いていない。腰が抜け玄関ポーチに座り込む。
何者かはとうとう追いつき、目の前まで迫っていた。
その姿は長身で痩せこけているが腹だけが膨らんでおり、目がある部分は彫刻刀で抉られたかのように深く傷つき血が滴っていた。
彼女は雨の中でしか動けないのか、屋根のある玄関ポーチには上がってこれないようだった。
父いわく、彼女は"あばださま"と言われていて、雨の日に子供の前にだけ現れるという。
しばらくはあばださまに恐怖を覚えていたものの、数日もするとすっかり薄れてしまい、父の忠告を無視して虫取りに出かけてしまう。
雨が降り出しそうなので、捕まえた虫とともに急いで家に帰ると案の定雨が降り出してきた。
そこまでは何もなかったのだが、その夜のこと……
これは主人公の言うように、何故いまさら話してきた?って感じですね。。。
ごめん、実は浮気してた。みたいに自分の罪悪感を消したいがためだけの暴露みたいな。。
言われた側のことはまるで考えていない…。
この作品で、"髪が太るような思い"って表現が出てくるのですが、知らないなぁと思って調べましたが、そのような言葉は存在しないようだ…
羅生門で出てくる"頭身の毛も太る"って表現に似たものなのかな
恐怖で毛が逆立つ、ってこと
ここだけが疑問でした。
・涸れ井戸の声(澤村 伊智)
作家である主人公は、ある日作家仲間から作家を辞める最後の作品となった原稿を渡される。
自分はもう出版するつもりがないから、使ってくれて構わないと…。
その原稿には、「涸れ井戸の声」という作品について調べた内容が書かれていた。
以降、その原稿の内容がしばらく続きます。
ファンレターに書かれていた、自身が書いた憶えのない「涸れ井戸の声」という作品についての絶賛コメント。
送り主に詳しく確認をしてみるも、やはりどの本にも「涸れ井戸の声」は掲載されていなかった。
「涸れ井戸の声」は、読んだ者は皆思い出すだけで恐怖する内容の作品だという。
同じ体験をしたことがあるという作家から話を聞いたことで、本格的に「涸れ井戸の声」の存在について調べ始める。
自分ではない誰かが怖がっている、そうした傍証こそが「怖さ」となる、というのはまさにそのとおりですよね。
怖い話って、ほぼ言い伝えですもんね。昔の人が畏怖したこと・存在が語り継がれていたり、○○が✕✕になったらしいというようなどこかの誰かが体験したという伝聞だったり。広まれば広まるほど怖さにハクがつくというか。
この世の本の中を彷徨い、読んだ人々を怖がらせ慄かせると、また別の本へ移動していく、という発想は面白いです
だけど、どっかで読んだ気がするんだよなぁ…
・例の支店(長江俊和)
森の樹木に囲まれた廃墟の中で、自称霊能者が、彼の力を疑うフリージャーナリストに対し霊の存在を実証するため議論を行う話です。
お互い議論をしていくうちに、その廃墟ではある女性が殺害されたということが明らかになります。
タイトルどういう意味?って思っていたけれど、そういう意味ね~
長江さんらしいお話でした。
小説新潮2018年8月号がホラー特集なので、小説新潮2018年8月号を読みたいな~