丸の内魔法少女ミラクリーナ
村田 沙耶香
2021/07/21
★ひとことまとめ★
どのお話も清々しいくらいぶっ飛んでます!
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
単調でストレスフルな日々をキュートな妄想で脚色して何が悪い!
さまざまな世界との対峙の仕方を描く、衝撃の短編集!
村田沙耶香ワールドの神髄を堪能できる4篇を収録。
■「丸の内魔法少女ミラクリーナ」
OLの茅ヶ崎リナは、日々降りかかってくる無理難題も、魔法のコンパクトでミラクリーナに“変身”し、妄想力を駆使して乗り切っている。そんなある日、元魔法少女仲間のレイコが、恋人の正志と喧嘩。よりを戻すためには「レイコの代わりに魔法少女になること」を条件に出すと、意外にも彼は魔法少女活動にのめり込んでいくが……。
■「秘密の花園」
「見ているだけでいいから」と同じ大学の早川君を1週間監禁することにした千佳。3食昼寝付きという千佳の提案に、彼は上から目線で渋々合意した。だが、千佳の真意は、小学3年生からの早川君への初恋に終止符を打つため、「生身の早川君がいかにくだらない男か」を目の当たりにし、自分の中の「幻想」を打ち砕くことにあった――。
■「無性教室」
髪はショートカット、化粧は禁止、一人称は「僕」でなければならない――。「性別」禁止の高校へ通うユートは、性別不明の同級生・セナに惹かれている。しかし女子であろう(と推測される)ユキから、近い将来、性別は「廃止」されると聞かされ、混乱する。どうしてもセナの性別が知りたくなるが、セナは詮索されるのを嫌がり……。
■「変容」
母親の介護が一段落し、40歳になって再び、近所のファミレスで働きはじめた真琴は、世の中から「怒り」という感情がなくなってきていること、また周囲の人々が当たり前のように使う「なもむ」という言葉も、その感情も知らないことに衝撃を受ける。その矢先、大学時代の親友から「精神のステージをあげていく交流会」に誘われるが……。
【感想】
ただいまヴィーナスフォートに来ています
ニュースで、来年で無くなってしまうと知り、久しぶりに行きたいなあと思って、来ました
噴水近くのカフェで休憩しながら書いています
久しぶりに村田さんの作品です。
他の作品だと、「コンビニ人間」「消滅世界」「殺人出産」を読んだことがあります。
私のブログは、ざっくりと感想を書くだけのブログなのであまり堅苦しい言葉や考察はしませんが、村田さんの作品は現代社会の常識や習慣、制度などに問いを投げかけるものが多いと感じます
今回の作品も1つ1つの作品は短編なので短いものの、色々と考えさせられる内容でした
感想を書いていきます!
・丸の内魔法少女ミラクリーナ
小学3年生のころから魔法少女ごっこを続けている、36歳OLの主人公・茅ヶ崎リナのお話です。
魔法少女ミラクリーナという設定で、大人になっても見えない魔法・妄想で遊び続けるリナには、尊敬の気持ちすら生まれました
仕事のトラブルも、彼は敵に操られてるわ!助けなきゃ!という気持ちでできたら、ゲーム感覚でストレスも貯まらそうだなあ。
小学生のころ、リナを魔法少女ごっこに誘った張本人のレイコ(マジカルレイミー)の彼氏・正志がレイコと別れなくないから、二代目マジカルレイミーになって東京駅をパトロールをする、という展開には狂気を感じました
44歳の男性が、「ビューティーチェンジ!マジカルフラッシュ!」と大声で唱えて変身モーションをしていたら、それだけで職質されると思いますね…
レイコと正志にうんざりしたミラクリーナが、
「うるせえ!続けるわけないだろ!」(P37)
と吐き捨てるところも好きです。
・秘密の花園
主人公の千佳が、長年片思いし続けている初恋相手・早川くんを忘れるために、彼を監禁するというお話です。
この時点でギョッとしますw
転勤で親がいない自宅に、1週間早川くんを監禁し続ける話ですが、オチは「あー…そういう感じねぇ…」というオチです。
文中では"店員さん"とあたかも知らない人のように書かれていましたが、知り合いだったのかい!と突っ込んでしまいました
いくら弱みを握っていても、密室で男性を激昂させるようなことは怖くてできないなあ〜
何されるかわからないし。。。
「初恋を終わらせる方法って知ってる?それはね、現実の初恋相手で、幻想を爆破するんだよ。」(P97)
には同意ですね。
初恋って、もはや自分の理想の妄想みたいなものになってるので、実物とどれだけギャップがあるか知れば、諦めがつく気がします。
・無性教室
「性別」を禁止された学校に通う主人公たちのお話です。
学校にいる間は、どちらでもない性として生活しなければならないという決まりがある学校。
髪はショートカット、化粧もアクセサリーも禁止、一人称は「僕」(僕って男じゃない?私のほうが良くない?って思いました)、胸は潰して下はズボン。
ここまでの学校はありませんが、制服をスカートでもズボンでもどちらでも認める学校ってありますよね。
(私の高校はそもそも制服が無かったので、完全服装自由な私服校でした。)
私は心身ともに女性なので、制服でズボンを履きたいと思ったことはないですが、寒さや男性からの目線が気になったりして嫌だったことはありますね。
いまは世の中のLGBTへの偏見がなくなりつつあると思いますが、昔から(それこそ江戸時代とか)LGBTはあったのか?という疑問が湧きました。
そもそもLGBTとは、
「次の言葉の頭文字をとって組み合わせた言葉で、性的少数者 (セクシャルマイノリティ) を 表す言葉の一つとして使われることもあります。」
「Lesbian(レズビアン)・・・女性の同性愛者(心の性が女性で、恋愛対象も女性)
Gay(ゲイ)・・・男性の同性愛者(心の性が男性で、恋愛対象も男性)
Bisexual(バイセクシャル)・・・両性愛者(恋愛対象が女性にも男性にも向いている)
Transgender(トランスジェンダー)・・・「身体の性」と「心の性」が一致しないため、「身体の性」に違和感を持つ人」
江戸時代などのLGBTについて調べてみると…
「日本において「男色」は古代から存在していました。鎌倉時代以前の男色の記録は特権階級の方々のものばかりですが室町時代以降は庶民のものも多くなっています。」(参照)











