65冊目:殺人出産 | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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殺人出産

村田沙耶香

2018/09/08

 
 

 

★ひとことまとめ★

独特の世界観、いまの常識を覆すお話。

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介

祝!芥川賞受賞
村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ!
10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。
今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。

 

 

【感想】

王様のブランチで、村田沙耶香さんとの対談をやっていて、読んでみたいと思って。

 


・殺人出産

↑の内容紹介に書いてあるとおり、10人出産をすれば、1人殺したい人を殺せる世の中。


制度として確立されていて、世の中の殆どの女性は初潮がくると避妊処理を行うため、人口はどんどん減る一方だった。

そんな中、殺人出産の制度が生まれ、女性は避妊器具を外し、10人出産する。

死産はカウントされない、10人出産できなかった場合(本人が死亡した場合)も殺人は認められず、無効になる。男性も人工子宮を取り付けることで出産ができる。

産まれた子供は育てきるのが難しいため、センターに送られ、センターっ子と呼ばれ、子供はほしいが出産はしたくないような里親に引き取られる。


殺人出産をするものは「産み人」と呼ばれ、殺されるものは「死に人」と呼ばれる。

死に人に選ばれたものは逃げることはできない。

通達が行き、その1ヶ月後に役人に全身麻酔をかけられ、産み人に殺される。


1ヶ月間は身辺整理をしたり、殺されることに耐えられないものは自殺が許されるが、逃げるような素振りがあるものは役人に監視され、万が一の場合は捉えられる。

殺人衝動のある姉を持った育子は、それはそれは怖かっただろうと思う。姉が殺したいのは誰なのかと思いながら20年間過ごしてきたわけだし。

姉に早紀子を会わせに行ったのは、本当にただなんとなく連れて行っただけなのかと疑問が湧いた。姉の、殺したい衝動を、早紀子に向かわせたかったんじゃないのかなって思っちゃった。

 

人を殺すことは良くないこと。でも、人を産むことは人口を増やすことに非常に貢献することだから、人を殺してもいい。しかも、称賛される。

100年前常識だったことは、今では非常識かもしれない。同じように、いま非常識なことが、100年後の常識かもしれない。

なんだかいろいろ考えさせられるお話だった。

 

 

・トリプル

3人で付き合うことが一般的になった世の中。カップルのほうがむしろ少ない。トリプルから見ると、カップルはまるで珍しい動物を見ているような、そして不純とすら思う・・・。


ここまで極端ではないけれど、中学生・高校生のいまの常識が理解できない感じに似てるなあと思った。時代は変わったんだなあと思う気持ちと、自分たちの考え・常識が正しいというか、正しいと思いたい気持ちというか。

自分が中学生・高校生のころも、親からなにを言われても自分たちの常識こそが正しいとしか思わなかったからなあ。

私はカップルのほうがいいなあ・・・

 

 

・清潔な結婚

性を排除した結婚・・・家族は家族であり、そういう性的なことをするものではないと・・・。それじゃ同居人じゃないか~って思ってしまったけれど。。

私は性を含めて相手のことを魅力的に感じるから、そこを排除しちゃったら同居人にすらならないなあ。まったく魅力を感じなくなってしまう気がする。

病院で医療行為のように性行為をするなんて信じらんない~ 人工授精ならまだしも。。


なんで最後夫は吐いちゃったのかな?ってラストが気になって検索したら、みんな疑問に思っているみたいだ。いろいろ解釈はあるみたいだけれど、夫はこういう家族愛とか無理な人なんじゃないかなあ~。子育てなんてできない気がする。子供ができて、お風呂にいれたりなんだりをしたら、絶対に子供の性にふれることだってあるはずだし。

 

 

・余

医療が発達して、この世から「死」がなくなった。蘇生が可能になった世の中。死にたいときに、死にたいスタイルで死ぬ。


死は向こうから勝手にやってくるものではなく、自分から近づかなければ死ねない世の中。もし、いまの世の中がそうなったら?自分はどうなんだろう。あと、200歳まででも生きられるみたいだけれど、見た目はどうなんだろうとか考えてしまったよね。若いまま200歳ならまだしも、ミイラみたいになっても死ねないって、それはそれで地獄な気がした。

 

 

 

どのお話も、いまの世の中の常識を真っ逆さまにひっくりかえすお話で、ここまでくると妄想なんだけれど、それでももしこんな世の中だったら…って考えてしまう。

ガラケーからスマホになっていったように、mixiからfacebookになってInstagramになったように、常識もどんどん変わって流行りもどんどん変わっていく。

それなら、制度とか、概念だって、変わることだって十分あるよね。おもしろかった。