1冊まるごと佐藤可士和。[2000-2020]
ペン編集部
2021/06/13
★ひとことまとめ★
知らないだけであれもこれも!
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
世界に挑むSAMURAIの20年の歴史、そしてこの先へ。
ここ数年で、デザインに対する社会的価値は急速に変化している。
本書では、そうした時代の流れの中で、 日本を代表するクリエイティブディレクター・佐藤可士和のさらなる挑戦と活躍、今までとこれからを追う。
佐藤可士和の仕事を通じて、デザインのもつ力と可能性を感じ取れる一冊。
【改訂版によせて】
雑誌「Pen」で、初めて僕の特集を組んでいただいたのが2006年。その後、「Pen Books」として単行本化、さらに2010年には増補新装版を出版していただきました。それから10年、今回新たに全面的な改訂の運びとなったのはうれしい限りです。
この10年間を振り返ると、僕の仕事にはかなり変化がありました。ひと言でいえば、デザインの領域がどんどん広がっていったのです。博報堂時代の広告の仕事から、独立後はプロダクトや空間などへと幅が広がり、ここ10年は企業経営の領域にまで深く入り込んでいくことが増えました。ビジネスとクリエイティブを融合させ、経営にデザインを戦略的に取り込んでいく。そうした企業ブランディングが、仕事のほとんどを占めるようになりました。ユニクロや楽天のプロジェクトは、その先駆けです。
2016年からは、SAMURAIに建築家がメンバーとして加わり、本格的に空間デザインを手がけられるようになりました。それまでも外部の素晴らしい建築家やインテリアデザイナーの方々との協働はありましたが、インハウスで行うと毎日がトライ&エラーの連続であり、新しい考え方が生まれる土壌を育むのです。グラフィックから空間、各種コミュニケーションまで、ブランディング全体を一貫してSAMURAIで行えるようになったのは大きな進化だと思います。
近年では、団地の再活性プロジェクトを始め、公共性の高い仕事も増えてきました。一企業の課題を超えた取り組みに挑むことで、社会に向けての視点が開かれたと感じています。
ここ何年かで、デザインに対する社会の認識も確実に変わってきました。2016年に文化庁の文化交流使に指名されたことや、2021年の国立新美術館での個展開催依頼などは、デザインがひとつの文化として捉えてもらえるようになった証として、とても光栄に思っています。本書を手に取ってくださった方が、僕の仕事を通じて、デザインのもつ力と可能性を感じ取っていただければ幸いです。
【感想】
-2010は先日読んだのですが、-2020も読んでみたいと思い借りてきました
くら寿司も佐藤さんが携わっていたのは知りませんでした!
先日もモルカーグッズが欲しくてくら寿司行きました
↓の画像を見るまで、旧ロゴが思い出せませんでした
それくらい今のロゴのイメージが強いです!URL
こちらは店内のプロデュースも手掛けた、浅草ROX店。
江戸時代の祭りをテーマにしたそうです。URL
セブンアンドアイの、セブンプレミアムも佐藤さんがデザインしています
パッケージから商品の良さがダイレクトに伝わってきます
ぱっと見て、「おいしそう」って思いますよね
八代目中村屋襲名披露公演も、佐藤さんがプロデュースしたそうです。URL
↑芝翫さんのお願いで、襲名披露公演の際に下りる引幕(祝幕)も劇場ごとに違ったデザインにしたそうです。
デザインも色合いもかっこいいです。
↑芝翫さんは、歌舞伎文様のひとつ「芝翫縞」がベースになっています。
橋之助さんはひらがなの「はし」、福助さんはひらがなの「ふく」、歌之助さんはひらがなの「う」がモチーフになっています
パッと見た時、そういう柄(着物とかの)なのかな~と思っていましたが、一度ひらがなと思うとひらがなにしか見えない不思議
そもそも、芝翫縞ってなんなんでしょう?
【芝翫縞】(コトバンクより)
江戸時代に流行した着物の柄の一つ。四本の縦縞と鐶をつないだ形を合わせた柄。
文化一一年(一八一四)六月、江戸中村座の歌舞伎狂言「双蝶蝶曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」で放駒長吉(はなれごまのちょうきち)役の大坂の人気役者三世中村歌右衛門(俳名、芝翫)がその衣装に用いてから流行。芝翫繋(しかんつなぎ)。芝翫模様。
なるほど~、もともとあった着物の柄だけど、中村屋が着てから流行った柄なんですね。
日清とのお仕事は遊び心が満載ですURL
↑こちら、名刺なんですよ!!
自社商品の形をそのまま名刺にしているそうです。
これも佐藤さんのアイデアです
↑関西工場の見学施設です。
入口の屋根がカップヌードルの蓋なんですよ~
入口の屋根なんて上から見ない限り見えないけれど、普通では見えないところまでこだわっているのがすごいです。
読めば読むほど、あれもこれも佐藤さんの手掛けた物ばかりで驚きます。
佐藤さんのデザインについて調べていくうちにこのような記事にたどり着きました。
文中で、あるプロダクトデザイナーの方が以下のように発言しているのですが、
「以前、セブンイレブンのコーヒーマシンのデザインを、デザイナーの佐藤可士和さんが担当したことがあったんですが、おしゃれになったものの、使い方がまったくわからず結局、テプラなどでそこら中にラベルがはられて無残な姿に。」
これ、知らなかったので調べたら、うーむ…。URL
せっかくの洗練デザインが普通のコーヒーマシンと変わらないですね。(私もたまにセブンコーヒー利用していましたが、すでに右側のテプラ貼られた物だったのかもしれない)
上述のローソンの記事もそうですが、コンビニってのんびりお買い物する場所でもないし、カフェみたいにゆっくりとした時間が流れているわけでもない。
パッと買ってパッ帰る人が多いから、次の人のこと考えるとそんなにじっくり文字を読んだり、のんびり店員さんに質問したりもできないんですよね~。
商品パッケージについては視覚的にダイレクトに美味しさが伝わってくるから購買意欲が高まる=成功 だけど、コーヒーマシンにはスタイリッシュさを求めすぎたということなのかな?
かといって、わかりやすさを優先してコーヒーマシンに写真バーンと載せたり、でっかい字とか書いてもね…。。。
誰にでもわかりやすいデザインって難しいですね