72冊目:恋のかけら | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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読んだ本の感想とたまーに日常( ᐛ )

恋のかけら

唯川恵・山崎ナオコーラ・朝倉かすみ

山崎マキコ・南綾子・小手鞠るい

豊島ミホ・井上荒野

2019/11/18

 

★ひとことまとめ★

恋の苦さを思い出します…

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介】

ずっとひとりで生きてゆくしかないのだろうか(『ラテを飲みながら』)。
失恋すると、胃が痛くなる。腕がしびれる。苦しい(『電車を乗り継いで大人になりました』)。
まさか男を囲うとは思わなかった(『アンセクシー』)。
同期の女がどんどん結婚退職するのを横目で見ながら、戦ってきたんだよ(『ちょっと変わった守護天使』)。
足りないのは、あれだけ。キスとセックスだけ(『雪女のブレス』)。
奥さんが死ぬまで、待て、と言うの?(『無人島』)。
好きとか恋とかいう話ではなくて、ただ近付きたいと思った(『銀縁眼鏡と鳥の涙』)。
どんなことでも、慣れれば普通になるもので(『粉』)。―8つの恋物語。

 

 

【感想】

久しぶりにアンソロジーをキラキラ

 

・ラテを飲みながら(唯川恵)

このお話は2018/12/18に読了した唯川恵さんの「ヴァニティ」にも収録されていたから、読んだことあった~キョロキョロ

なんとなく既視感を感じて検索したらやっぱり過去に読んでたことがわかったというww

 

 

・電車を乗り継いで大人になりました(山崎ナオコーラ)

独り身の酒井は、友だちの結婚式で知り合った清川さんに一目惚れをし、彼が彼女持ちでも諦めずにアプローチをする…。

 

よくある話だよね、失恋のダメージを薄れさせるために別の男とデートするというところも。悪い意味ではなく、身近という意味で。そういうときって、このお話の酒井のように、謎の上からの立場から「この人は彼とは違う」みたいにジャッジしがちだよね。ずっとダメ出し。相手のことなんて全然知らないし、知る努力も自分はしてないくせにね。

 

振られたことによりダメージを受けた自分の自己肯定感とかを、無意識にあげようとしているのか、自分に好意ある相手と出かけがち。。。そんなことしても、失恋の苦しさは消えないのにね…。。相手からしたらいい迷惑です…。。(とか言いつつ自分も見に覚えがあります)

 

 

・アンセクシー(朝倉かすみ)

43歳、託児所をチェーン展開している女社長・司ナリコ。仕事以外で男から連絡をもらった経験がないナリコは、いつか男のひとと付き合えるようになったらしたいこと、してもらいことをまるで鱗のようにからだに貼り付けていった。

そんな彼女が、自身の財力を使い年下男を囲うお話。

 

わかるよ…自分が恋人と付き合ったらしたいことリストというか…そしてそれを叶えてくれる人に出会いたいと願うことも。

自分の財力目当てであるとしても、自分の要求に答えてくれる人に出会えたら、はじめのうちは嬉しいよね。

でもどんどん、お金を貰えることが相手の当たり前になり、自分の要求にも答えてくれなくなる…それでもいなくなってしまうよりは良いと思ってしまう気持ち。

そんな擬似恋愛みたいな関係はさっさと辞めないとね。お金がないと成り立たない関係、代償がないと成り立たない関係なんていつか絶対破綻するんだからね…

 

 

・ちょっと変わった守護天使(山崎マキコ)

人事権のある上層部の男と不倫していた本宮つぐみは、彼を振った途端閑職へと異動させられてしまった。

会社の華のバイヤーとして休暇も取らず会社にすべてを捧げてきたつぐみだが、久しぶりに休暇を取りひょんなことから5歳年下の2次元オタク・桜井とキャンプの旅をすることになる。

 

恋のはじまりって感じでいいな~

なんかなんとも思ってなかった人だとしても、丸2日位一緒にいると(しかもキャンプなんて)どきどきしてきちゃうよね~。

 

 

・雪女のブレス(南綾子)

大竹くるみと圭輔は順調に交際をしていた。仲が悪いわけでもなく、抱き合ったり、手をつなぐこともある。足りないのはキスとセックスだけ。それがなくては恋人同士とは言えないのだろうか。そんなに大事なことだろうか。誰よりも心を許せる存在が圭輔なのは間違いない、でも、私達がただの友達でないという証拠は?

 

難しい問題だよね~。お互いそういう欲って違うわけだし、無理に付き合わせるわけにも行かないしね。相手に嫌われたらどうしようって思うし。

お互い我慢し合う、妥協ポイントを探すのであればいいけれど、どちらかが我慢してしまう(はじめはそんなふうには思わない、相手のためを思っているんだけど、いつかどこかで我慢に変わる)と一気に崩れるよね、関係が。

おおかた、嫌だ!って言う相手に無理やりはできないから、欲のある側が折れるんだろうけれど、じゃあその欲はどこに吐き出したらいいのって感じよね。別の男or女で発散してきていいんですか?っていう。それが浮気だ!って言うなら、じゃあなにか妥協点探してよって思っちゃうな~。

 

話し合いを避け、相手の優しさにかまけ、なあなあにしていると、いつか絶対すれ違う。言わなくてもわかってくれると思ってたなんて、言い訳でしかないよね。

 

 

・無人島(小手鞠るい)

町立図書館で働くみずきは、図書館の利用者で単身赴任でこの町にやってきた明典と体の関係を持つようになるが、彼には癌と闘病中の妻がいた…。

 

うーんなんていうか小手鞠さんの作品はこういうお話多いけど、現実であったらただの胸糞悪い話だよね…

自分が癌で闘病中に、夫は別の女と不倫していて、不倫女は「奥さんが亡くなっても、良くなっても、わたしはあなたと一緒にはなれない。そんな人生は、美しくない。他人の悲しみと不幸の上に、どんなに上塗りを重ねても、人は幸せにはなれない。」とか抜かしてたら腹立つよねw

不倫関係になる前に言ってるならわかる、奥さんが悲しむ、私も幸せじゃないって。でも、やることやっといて、「他人の悲しみと不幸の上に~」とか言われても、いや何いってんのって感じ。

悲劇のヒロインぶるなよと…。不倫に関してはたとえ物語でもまじで辛辣になってしまう…。

 

 

・銀縁眼鏡と鳥の涙(豊島ミホ)

写真好きでで常にカメラを持ち歩いていた鳥山英毅は、高校に入学し写真部に入部する。写真部には天才と呼ばれる3年生・浜崎有也が在籍しており、彼のおかげで写真部は過去全国大会に出場することができた。そんな天才が被写体に選んでいたのは…

 

レンズ越しでも、他の人が写真を見ただけでも、被写体への愛を感じるのってすごいよね。

愛というか、本当に大切に思っているのが写真を見ただけでもわかるという…。

 

話は逸れますが、いま自分が付き合っている人もよく写真撮ってくれるんだけど、カメラアプリ(加工とかフィルターとかエフェクトあるやつ)じゃなくて素のデフォルトカメラで撮ってるのに、割と盛れてる写真なことが多いんだよね。

私のベスト角度?とかいい感じの表情をわかってくれてるのか、撮ってもらった写真みても「盛れてないゲッソリ」ってがっかりすることがない笑い泣き

なんだろう、なんていったらいいんだろうw

すごい自然に撮ってくれて、写真越しでもめっちゃ楽しそうなのが伝わってくる写真なの笑い泣き

まあ私は写真センス皆無なので彼の写真をとっても半目とか逆光とかばっかりなんですが……

 

 

・粉(井上荒野)

未久の家のテーブルの上には、粉の入った瓶が置かれている。夫の俊郎がもらってきた、ハブ粉が。

夫の俊郎とは、もう長いことセックスをしていない…。

 

レス問題って、なかなかセンシティブな問題だし、話し合いがしづらいよね。この作品の2人の場合は、レス問題だけじゃなくていろいろと意思疎通の面でも問題がありそうだけれど…

個人的には、人間の欲の中には性欲もあるわけで、どちらもまったくそういうことを望まないカップルであればうまくいくかも知れないけれど、「雪女のブレス」のお話みたいにどちらかが我慢している場合は絶対に破綻すると思うんだよね。

どんなに相手のことが好きだとしても、好きだけじゃ超えられないこともあるわけで…。

 

なんていうか、私は体の関係があるとそういう欲が満たされるってだけじゃなくて、心の距離も縮まると思っているんだよね~。逆に、体の関係の部分でなにか問題が発生すると、心の距離もちょっとずつ離れてしまうというか…。

例えば自分の状況がレスだとして、全然違う内容で喧嘩をしたときに無意識に「でもそっちだって…」ってレスのことを反論で出しちゃいそうで、気を使ってしまうというか。

どうしてこの人と付き合っているんだろう?この人じゃなきゃだめなのかな?子どもも欲しい、でもこの人とじゃ無理かもしれない、とかいろいろ考えることも増えるだろうし…。

結果的に好きの気持ちも少しずつ薄れたり、恋人・夫婦ってよりは同居人みたいになっていくというか。

 

いざレスになっちゃったらどうしたらいいんだろうね。仕事が忙しくて…って言われたら、言われた側は「わかった」としか言えないじゃんね。

いざ忙しい時期が終わったからって、「もう終わったでしょ?いいよね?」とか聞きづらいし…。

我慢する側への配慮が必要だと思うんだよな~。

 

 

 

恋のかけらってタイトルを見たときに、イメージ的には「レモンみたいに甘酸っぱいハート」感じの恋のかけらのお話だと思ったのニコ

でも、読んでみたらどちらかというと「ガラスの破片みたいに触ると痛さ・苦しさが蘇るハートブレイク」感じのお話が多かったなあ…。

かけらってより、自分的には砕け散った過去の恋愛の「破片」みたいな…。

 

お客様からいろいろと本を頂いたり、借りたりしたので次はその作品たちの感想を書いていこうと思います照れ(まだ読み途中)