文房具の解剖図鑑
ヨシムラマリ+トヨオカアキヒコ
2019/05/01
★ひとことまとめ★
なるほどな豆知識がたくさん知ることができます
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
“ふだん何気なく使っている文房具には、
「考え抜かれた技術」が込められているのです。"
文房具の仕組み、形、生い立ち、使い方を、
楽しくわかりやすい豊富なイラストとともに完全図解!
鉛筆、消しゴム、ボールペン、ノート、スケッチブック、
カッターナイフ、はさみ、のり、テープ、ステープラー、
定番、ロングセラー、話題の新商品が続々登場!
あなたの文房具選びに、座右の一冊。
本書に出てくる文房具のお話のほんの一部を紹介します!
・鉛筆は羊飼いの大発見
・普通の鉛筆は六角形、色鉛筆は丸型なのはなぜ?
・削りカスすら美しい鉛筆削り器
・万年筆、ボールペンを超えた次世代ペン登場
・フェルトペンは草花と同じ原理
・MoMAに収蔵された消しゴム
・「大学ノート」その名前の由来は?
・リーガルパッドが黄色い理由
・老舗画材店のスケッチブックをノート代わりに
・今、測量業務用メモ帳がカッコイイ
・カッターナイフの着想はチョコレートから
・はさみの切れ味の決め手は「30°」
・のりの原料はタピオカってホント?
・ガムテープはガムテープにあらずとはこれいかに
・失敗から生まれたポスト・イット
・テコの原理マシマシで力要らずのホッチキス
etc..
《CONTENTS》
chapter1 書く。描く。消す。
鉛筆●ボールペン●シャープペンシル●万年筆●マーカー/サインペン●筆ペン●消しゴム●修正液
chapter2 残す。写す。
ノート●ルーズリーフ/バインダー●レポート用紙●スケッチブック●メモ帳
chapter3 切る。貼る。留める。
カッターナイフ●はさみ●のり●テープ●のり付きメモ/ふせん●ステープラー●クリップ
chapter4 保存する。分類する。
穴を開けるファイル●穴を開けないファイル●アルバム
【感想】
文房具について深く考えたことがなかったのですが、ボールペンとかシャーペンとか、身近な文房具について知りたいなって思って読むことに。
まず、文房具という言葉ですが、中国の「文房四宝」という言葉からきているようです。もともと中国で「文房」とは文人の書斎やそこで使う道具のことを指し、特に大切な4つの道具「筆」「墨」「紙」「硯」のことを「文房四宝」と呼ばれていたようです。
・鉛筆(P10)
鉛筆の歴史は1560年代にイギリスで始まった。
羊飼いが良質の黒鉛の結晶を発見し、この結晶を紙で包んだり紐で巻いたりして筆記具として使っていた。鉱山が枯渇すると黒鉛と粘土を混ぜた芯が発明されて、木材の間に心を挟んで使うようになった。
日本最古の鉛筆は家康の遺品から見つかり、伊達政宗の遺品からも見つかっているそう!
国産の鉛筆も、材料はすべて輸入。黒鉛は主に中国、粘土はドイツ産、混ぜ合わせたものを円形に押し出し焼き固める。
周りの木材は北米産のインセンスシダー。(ヒノキの仲間)
鉛筆の硬さはBlack・Firm・Hardがあり、Bが柔らかくHに行くほど硬い。
色鉛筆は芯を焼き固めないため芯がやわらかい。そのため強度的に不安があるため、芯を太くして、周りの木材も力のかかり方が一定で折れにくい丸型にしている。
・ボールペン(P22)
ボールペンが初めて実用化されたのは1938年。製品化されたのは1943年のアルゼンチンで、日本では1946年に製品化された。
ゲルインクはリフィルの中にあるときは高粘度のゲル状だが、ボールが回転するとゾル状(液状)に変わり、紙に付着すると再びゲル状になる。(これをチキソトロピー現象という)
・シャープペンシル(P31)
回転させることで芯がでる、繰り出し式の鉛筆は1822年に発明されるも、商品化はされず、1837年に初めてアメリカから発売された。
日本で初めて繰り出し式のシャープペンシルを世に出したのは、早川徳次さん。「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」と命名した。のちに早川さんは大阪で家電メーカーを創業し、SHARPという社名をつけた。
鉛筆の芯は黒鉛と粘土を焼き固めるが、シャーペンの芯は粘土の代わりにプラスチックが混ぜられている。そのため、細くても強度が保てる。
→SHARPの由来にびっくりした!知らなかった。
・万年筆(P36)
万年筆のインクには「顔料インク」と「染料インク」がある。
溶剤に溶ける着色剤が染料といい、紙に染み込む。発色は良いがにじみやすく退色しやすい。
溶剤に溶けず粒子が溶けないものを顔料といい、紙に乗るため耐水性・耐光性に優れているが粒子が大きいため目詰まりしやすい。
・フェルトペン・マーカー(P42)
ペン先が繊維でできたフェルトペンが日本で発売されたのは1953年で、「マジックインキ」が最初。油性で何にでも書けることから「魔法のインキ」と呼ばれていた。
・消しゴム(P50)
消しゴムが誕生したのは1770年。天然ゴムで鉛筆の字が消せることを発見したのが始まり。それ以前はパンでけしていた。いまでもその名残で絵画の木炭デッサンなどではパンが使用される。
現在主流のプラスチック製の消しゴムは1959年に開発された。
・ノート(P64)
日本では和紙をとじた帳面が使われていたが、1884年に松屋という文房具屋が鉛筆やペンに適した用紙を使ったノートを発売。当時松屋が帝国大学(東京大学)の向かいにあったことから、「大学ノート」と呼ばれるようになったという説がある。
コクヨのキャンパスノートの「キャンパス」は「大学のキャンパス」をイメージして名付けられた。
ページの罫線は間隔によって呼び方があり、7mmの「A罫」、6mmの「B罫」、5mmの「C罫」、8mmの「U罫」などがある。
・ルーズリーフ(P72)
ルーズリーフは日本ではJISに基づいて、穴の数や大きさ、位置が規定されている。日本ではJIS規格でサイズはA4・B5・A5の3種類、行の間隔はA罫とB罫の2タイプが定められている。
用紙はA4が30穴、B5が26穴、A5が20穴。
アメリカでは3穴、欧州では4穴が主流。
・メモ帳(P86)
有名なメモ帳、フランス生まれのモレスキンは、ゴッホやピカソ、ヘミングウェイなどの有名人が愛用した。しかし、1986年に生産終了になるが、1997年イタリア・ミラノの小さな出版社(現モレスキン社)によって復刻された。
・カッターナイフ(P96)
カッターナイフメーカー・オルファの名前の由来は折る刃。
創業者の岡田良男は板チョコに着想を得て、刃を折るタイプのカッターナイフを発明し、1959年に発売した。
・のり(P108)
江戸時代までは紙どうしをくっつけたりするのに米粒やおかゆを使っていたが、腐りやすかった。明治20年代に腐らないでんぷんのりが開発された。現在のでんぷんのりの取材料にはタピオカやとうもろこしなどが使われている。
有名なアラビックヤマトは1975年に発売された。商品名は明治末期から輸入されていたアラビアゴムを使ったアラビアのりに由来。現在は合成のり。
スティックのりはドイツで1969年に開発され、日本では1971年に初めて発売された。
・テープ(P112)
俗にガムテープと呼ばれている粘着テープは、正確には「クラフト粘着テープ」という名称。
本来のガムテープは、水溶性ののり(ガム)を塗られてもので、切手のように水に濡らして使うテープのこと。
本来のガムテープはエジソンが発明したもの。
・のり付きメモ・ふせん(P118)
ポストイットは、よくつくが簡単に剥がれてしまう糊、一見失敗に思える接着剤から生まれた。日本では1981年に発売されるも、面積の広いブロックタイプはなかなか売れなかった。しかし、日本の主に宮内庁からの要望に応え、付箋タイプを発売したところ大ヒットした。
→ポストイットの開発秘話みたいなのは有名ですよね。
・クリップ(P130)
ツマミ部分の穴が目のように見えるクリップを「目玉クリップ」という。この穴の用途ははっきりとはわかっていない。
目玉クリップに代わり主流となっているダブルクリップの、名前の”ダブル”とは、横から見た形状がダブルに見えるから。
本の内容の一部をざっと載せましたが、載せた物を年代順(日本での発売?生産開始順)に並べると…
1884年 ノート
1895年 のり
1908年 鉛筆(書いてなかったので調べました)
1915年 シャーペン
1946年 ボールペン
1953年 フェルトペン
1959年 消しゴム、刃を折るタイプのカッター
1981年 ふせん
こう見てみると、日本における書く道具の歴史ってまだ100年ちょいくらいなんですね。おそらく鉛筆などの前は、筆と墨汁とかなんだと思うけれど。消しゴムも製品としてはまだ60年くらいしか経っていないのか。
とくに、付箋なんてつい最近出てきたものだったのか…
SHARPの社名の由来は初めて知った!
しかも創業者の早川さんはシャープペンシルの前にはベルトのバックルで特許を取っているようで、その後シャープペンシルを発売し、鉱石ラジオ(無電源のラジオ)を発売し、今のような家電メーカーになっていったそうです。
確かに目の付け所がシャープだわ