静かに、ねぇ、静かに
本谷有希子
2018/11/24
★ひとことまとめ★
自分はどうだろうか?と考えさせられる本
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲!
海外旅行でインスタにアップする写真で"本当”を実感する僕たち、
ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、
自分たちだけの"印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦――。
SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。
【感想】
知り合いにおすすめされて、貸してもらいました◎
・本当の旅
ハネケン、づっちん、ヤマコの3人のマレーシアでの旅のお話。
わいわい、きゃーきゃーしながら、直接会っているにもかかわらずことあるごとにLINEを送り合ったり、SNSのために写真、ムービーを撮りまくる彼ら。
づっちん、ヤマコに対して憧れを抱くハネケン。特にづっちんのことはリスペクト。づっちんからのお下がりの服や、づっちんから紹介された友人、づっちんの勧める音楽、づっちんの考え方、それらが素晴らしいものと思っているハネケン。
こんな内容を読んでいると、大学生とかかな?と思いますが、
彼らは40代です。
きちんと働き、結婚をしている同級生たちを「搾取される側」、「可哀想」と捉え、貧乏な自分たちを「金のサイクルの外側に
脱出」しているように思い、
クアラルンプールで目にした無印良品の看板にさえも「ありがとうございますなんだよ」、「すべてに感謝」。。。
づっちん曰く、仕事をしていることは恥ずかしいこと、もっと
クリエイションをすべき、Tシャツ屋でTシャツのロゴを考えて
いるヤマコ(しょうもないロゴ)も、づっちんに言われたとおりに引っ越してほそぼそと米を作るハネケンも、クリエイションしているようで、づっちんはそんな二人を誇りに思っているようですが、当の本人のづっちんはインスタばっかしてる42歳の親のすねかじりニート。
そんな、ここまでの内容だけでも相当カオスな3人が、ヘラヘラしているうちに取り返しのつかない事件に巻き込まれる話。
自業自得だよなという感想。
結局、金がないことを「人生は金じゃない」とか「金よりも大事な物がある」とかいう人に限って、実際手元にお金があったら欲しいものもやりたいこともたくさん出てくるんだろうなと思う。
そもそも金に執着しているからこそ、仕事がなくて仕事に執着しているからこそ、金持ちや仕事をしている人が目につくわけであって、全ては負け犬の遠吠えなんだよなあと思った。
本当に金とか仕事とか興味がない人は人は人、自分は自分でこんなにうだうだ言わないよな~。
結局、持たない自分、持てない自分、できない自分をよく見せるため、傷をなめ合うための関係だし、少しでも自分を大きく見せるためのSNSだし、きっとこういう人ってたくさんいるんだろうな~って思った。
・奥さん、犬は大丈夫だよね?
ある旦那が、ネット通販依存症の妻の考えを矯正するために、
職場の節約家夫婦とキャンピングカーでキャンプをしに行く話。
話自体はいまいちという印象。結局倹約家の考えなんて理解が
できないし、挙げ句に購買がしたいがためにとんでもないことまでするし…
このとんでもないことについて多くの感想ブログとか感想サイトにはゾクッとしたって書かれていたけれど、真梨幸子さんとか
読んでいるからか、一瞬でオチもわかったし、さしてゾクッとも
しなかった。
どちらかというと、ネット通販依存症の奥さんの気持ちがちょっとわかった自分にゾクッとした。
「一日中、次買うもの探しに追われてる」ここまでではないけれど、雑誌を見れば「このコスメほしいな~」と思うし、スーパーで目にすれば「この柔軟剤いいなあ」とか、「新発売のこれおいしそう」とか、何を買うか、なにを買いたいかの時間が多いと思って。
amazonとか楽天とかメルカリとか、そういう通販・フリマアプリをなんとなく眺めて、「あ、これいいな~」みたいな。
楽天、amazonとか使わない月ってない気がする。
コンタクトとか、毎月買っているものもあるけれど、それ以外でもチョロチョロと買ってるし、ある意味「買わなきゃ!何を買おう?」ってなっている気が…。
てっとり早く、ワンタッチとかで商品が買える分、ネットショッピングとかだとクレジットとか振込だから、目に見えて現金の授受があるわけではないから、買ったときの満足感ってものもジッ店舗を利用する場合より低いと思うんだよね。
ネットショッピング控えたほうがいいな…足りない気持ちを買い物で補ってはいけないな…
・でぶのハッピーバースデー
このお話が一番わけがわからなかったし、読むのをやめようかと思った。ようはyoutuberみたいなものなんだろうけれど。
ろくに何も考えず、ただなんとなく生きてきて、なんとなく働いてきたのに会社が倒産。何か取り柄があるわけでもないので、就職も困難。そんな途方もない話。
なぜか主人公はでぶって呼ばれてるし、自分たちは「何かを諦めた人間」という印=でぶのぐちゃぐちゃな歯並び、とか言ってるし、その印を人に見せつけたがるし、なんていうか、すごく不快な話だった。
自分と人を比べて蔑む負け犬の遠吠え(ハネケンとか)もうざいけど、自分たちはこんなに不幸なんですっていう不幸自慢もうざいよね。
よほどの事情、家庭とか親とか遺伝とか、そういうものならまだしも、自分で選択してきた結果に対して不幸不幸って…しかもそれを世界に発信してどうなるんだと思うんだよね。
作中にでぶって出てくるのも嫌だわ。それこそでぶなんですみたいな諦めみたいな感じだけれど、いくらだって努力でどうにだってできるだろう、それをやってこなかっただけなのに、悲観されても…、、、
偏見ではないけれど、自分を卑下するデブってホント嫌い。
遺伝とか薬の副作用とかでなく、ただのデブの場合は食事と運動でだいたいが改善されるはずだし、努力もせず悲観して、
挙げ句「デブって言わないで」とかいじめ的なことを言う人ってどうなのかなと思ってしまう。
だってものすごい美人とかモデルとかでさえ毎日ジム行ったり、
食事制限したり、プラスエステとかも行って美を保ってるのに、
一般人の、ましてやデブが努力もなしに痩せるわけないだろうよと思うわ…。。。
ここまで書くとデブになんかされたのか?ってくらいだけれど、
別に何もされたことはないけれど…。
だからこのお話は読んでいて不幸自慢みたいでイライラして不快だった。
もしかしてそういう不快感を感じてもらうためのお話なのかな?
そういう意味では狙い通りかもしれないけれど、不快感以上の感想はないかな。
自分も周りに対してそういう不幸自慢みたいなことはしないように気をつけようと思ったくらい。
借りた本だけどめっちゃ辛口になってしまった…!
☆2018/11/30追記☆
実はこの本を読み始めた日、某インスタ映えな場所に行ったんだけれど(行きたいと思ったきっかけもインスタ)、
なんだかこの本を読んだってのもあって、うんざりしてしまって…。
床に寝転がって写真撮ったりする人たちとか、ひたすら動画・写真撮ってて、係の人の誘導も聞いてない人とか、他の人の迷惑になってる人とか…。
そういう人たちがわんさかいて、いったいなんのためにみんな来ているんだろうと思ってしまった…。
別にね、みんな同じお金払って来てるんだし、それなら何しようと勝手だろう、だと思うんだけど、、、
果たしてその山のように撮った写真とか、見返すのだろうかとか、友達でもずっと写真撮ってる子いて、その子は見返さない~
思い出~って言っていたし、私も写真は撮るし思い出だとも
思うんだけれど、にしても度が過ぎてないか?とうんざりしてしまった…。
自分の目で見るよりも、スマホのカメラを通した画像を見ている時間のほうが長いのではなかろうか…。
人それぞれだからまじでどうでもいいことだけれども…。
あと、本谷有希子さんって、いろいろな賞を受賞されていて、有名な小説家さんなのだけれど、知らなかったのね。
そして、教えてもらった小説もあまり私にはハマらず…。
でも、ネットで感想とか調べると良い感想ばっかりで。
良いと思えない自分が変なのか?とか。。
多分、私はわかりやすくてオチがはっきりしていて、読みやすい作家さんが好きだから、どんなに評判が良くても村上春樹とか
外国人作家さんとか読めなくて。。。
読んだけれど挫折してしまう。いい外国人作家さんがいれば教えてほしいくらいだ…。(ちなみに私の母親は外国人作家さんばかり読む。)
SNSとかネットとか、そこに書いてある意見がすべてみたいに思えてしまって、それに当てはまらない自分はおかしいみたいな、
そういうふうに思えてくるんだよな~。
床に寝転がって写真撮ってるのも、みんながみんなやり始めたら
やらない人のほうが変って思われる時代も来るかもしれない…。
そういうのって、なんか恐ろしいことだなあ~ってなんとなく今日風呂入ってる時に思ったので追記。