贖罪
湊かなえ
2018/11/28
★ひとことまとめ★
それぞれの感じる罪と、その償いがずーんとくる…
↓以下ネタバレ含みます↓
作品読みたい方は見ないほうがいいかも
【Amazon内容紹介】
誇るべきところは空気のきれいさ、夕方六時にはグリーンスリーブスの音色。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺人事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる――これで、私の罪は、償えたのでしょうか? 衝撃のベストセラー『告白』の著者が贈る、新たな傑作。
【感想】
湊かなえさん好きだけれど、いくつか読んでいない作品があったので。
そもそも、贖罪とは、犠牲や代償を捧げて罪をあがなうこと。
もう、そのとおりですというお話。
穏やかな田舎町。そんな田舎町に精密機器メーカー、足立製作所の工場と社宅ができ、お偉いさんの娘として転校してきた「エミリちゃん」。
エミリちゃんの住む社宅マンションは、田舎町の中ではお城のようで、みんなが持っていないバービー人形も持っていて、バービー人形とおそろいのお洋服も来ていて、なにもかもが田舎町とは違う、女の子。
そんなエミリちゃんとお盆休み中のグラウンドでバレーボールをしていた、紗英、真紀、由佳、晶子。
その際、エミリちゃんが作業員を装った男性に殺されてしまう。
後に、その現場にいた4人は、エミリちゃんの母親から「あんたたちは人殺し、時効までに犯人を見つけるか、わたしが納得できるような償いをしろ」と言われる。
4人の、罪の意識、償いが4人それぞれのパートで語られていくお話。
読んでいるうちに、4人が4人とも最終的にはエミリの母親、麻子
に言われたように、「人殺し」になっていくのが悲しかった、、それぞれ全然違う経緯だけれど、どこかでエミリちゃんの事件に対する罪の意識は消えておらず、不幸に巻き込まれていってしまう。
最後か麻子さんのパートだけれど、そもそもの発端はあなただったのかという…。
それがさっさとわかっていたら、4人もこうならずに済んだかもしれない…。
ただ、なぜエミリはあんな酷い殺され方をしなければいけなかったのか?
母親である麻子に対する嫌がらせであっても、そもそも秋恵の自殺は麻子のせいではないし(ダメージを与えたのは確かだけれど、直接的にではないし、秋恵に言ったことは概ね事実)、秋恵じゃなくて麻子のことを選んだのも犯人なわけで…。
本当に、まったく罪のないエミリちゃんが犠牲になってしまった。。。
内容こそ憂鬱になるようなものだったけれど、終わり方はすっきりしていてよかった!