73冊目:その日のまえに | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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その日のまえに

重松清

2018/10/12

 
 

 

★ひとことまとめ★

とにかく泣ける!生きていることに感謝の気持ちが湧く!

 

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 

 

【Amazon内容紹介

僕たちは「その日」に向かって生きてきた――。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。発売当初、TBS「王様のブランチ」で取り上げられ、「涙なしには読めない感動作」と話題になり、ベストセラーとなる。2007年にラジオドラマ化、2008年に、大林宣彦監督によって映画化。主演・南原清隆、永作博美。2014年にNHKBSプレミアムドラマとして放映される。主演・佐々木内蔵介、檀れい。2016年に朗読劇化された。

 

 

【感想】

前回の王様のブランチの本に紹介されていたので、読んでみることにした1冊◎

とにかく泣ける。家族愛だったり、生きていることへの感謝の気持ちで本当に涙が止まらなくなった。

 

生きている人。病に冒された人。遺された人。

それぞれの立場から、生と死が書かれている。

 

「ひこうき雲」「潮騒」では、死に対する子供の残酷さというか、死ぬことがどういうことなのかわからない純粋さというか、無垢さというか、そういう部分に残酷さを感じた。死がどんなものなのかわからないのは当たり前なんだけれど、大切な人をなくした側、大人側からするとその無垢さがきついよね。

 

「ヒア・カムズ・ザ・サン」は、自分の母親が癌になってしまう話なんだけれど、

「あと5年ガキだったらー。あと5年おとなだったらー。(P199)」っていう一文に確かになって思った。反抗期というか、親に対してツンケンしたいとき、親のことは心配だけれどその気持ちを堂々と表に出しづらいところとか、もしもうちょっと大人だったら、なにか他のことができたかもしれないって思う気持ちとか。この話の後日談が、あとに出てくるお話にすこし出てくるんだけれど、それもしんみりしちゃったな。

 

「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」この3つはほんとにぼろっぼろ泣いた。小さな子供を遺して、自分は死んでしまうんだな、という和美の気持ちや、愛する妻が先にいなくなってしまう現実に直面する僕の気持ち、お母さんがいなくなってしまう子どもたちの気持ち、全員の気持ちを考えてしまって、涙が止まらなくなった。特に、その日が来てしまったところ。。。いろんな後悔とかが溢れてくる気持ち、もっとこうしてあげられたらって、キリがないけれど思ってしまう気持ち。本当に読んでいて悲しかった。

けれど、遺された人たちには、明日がやってくるわけで、その日はどんどん、あの日になっていって、忘れはしないけれど記憶は薄れていって。そういうのも、しんみり思いながら読んだ。

前のお話に出てきた人たちの後日談も書かれていて、亡くなってしまった悲しさと、遺された人の希望が感じることができた。

 

祖父・祖母が亡くなったときもそうだったな。大まかに知らされた「その日」。でも、それは明日とか急にやってくるわけではなくて、ゆるやかに近づいてきて。その日がきたら、いなくなってしまうこと、もう会えないこと、そんなのはわかってはいるんだけれど、訪れるのが緩やかすぎて、まだまだ来ないんじゃないかとか錯覚し始めたんだよね。

なんだかんだ、まだ大丈夫なんじゃないかみたいな。

 

でも、病気ってやっぱりちょっとずつちょっとずつ蝕んでいるんだよね。昨日まで話すことができたのに、もうできなくなっていたり、食べ物も食べることができなくなったり。

もう、そうなるとあっという間に「その日」が来てしまうんだけれどね。

 

死についての作品で泣ける!っていうのはいいことなのかわからないけれど、自分の身近な人の死に重ねたり、まだ身近に死を体験したことがない人は改めて生きていることの大切さを感じたりできて、そういう気持ちを感じられることは、いいことなんじゃないかなとは思う。

悔いのないように生きないとと、改めて思った。