16冊目:ビオレタ | 【読書感想文Blog】ネタバレ注意⚠

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ビオレタ

寺地はるな

2018/02/14読了

 

 

★ひとことまとめ★

失恋の時読むと心が少し落ち着く本

 

↓以下ネタバレ含みます↓

作品読みたい方は見ないほうがいいかも

 

 
【Amazon内容紹介】
「小気味よい毒と、圧倒的な健やかさ。このひとだけの世界が持つ吸引力に、読み始めてすぐ、周りの音が聞こえなくなった。」 ――村山由佳
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。
そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。
人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
 
 
【感想】
婚約していた彼に振られて、道端で泣いているところをある女性、菫さんに声をかけられ、彼女の営む雑貨屋で働くことになった、妙。
彼女の営む雑貨屋ビオレタでは、様々な雑貨があるが、その中でも定期的に人が訪れ買っていくのは、棺桶。
棺桶に、感情や、記憶や、思い出や、行き場のないものをしまって、ビオレタの庭に埋葬する。。
菫さん、菫さんの元旦那・千歳さん、その二人の子供蓮太郎。彼らや、お客さん、家族と過ごすうちに少しずつ気持ちに変化があらわれる妙。
 
はじめの方は失恋したばかりの妙の気持ちにすごく同感してしまって、ほんとに泣けた。たぶん妙と歳が同じってのもあったんだと思う。うじうじ自分もほんとに考えてしまってて。
でも、読みすすめていくうちに、菫さんの言葉だったり、とりあえずこの人で、で始まった千歳さんとの関係が進展していったり、読んでて励みになった。
 
 

・道端で泣くのはやめなさい。泣くのは結構。大いに結構。だけどこんな雨の日に道端にしゃがんで泣くような、そんな惨めったらしい真似はやめなさい。他人に見せつけるような泣きかたをするのはやめなさい。不幸な自分に酔うのはやめなさい。(P3)

 
・「妙を嫌いになったわけじゃないんだよ」全く答えになっていないことを慎一は言い、私は思わずああこれはもうだめだ、と小さく呻いた。そんなきれいな嘘をついて。嫌いでないなら別れる必要があるか。別れたい理由を告げて、泣かれたり喚かれたりするのが面倒なのだ。もうそんな風に本音をぶつけて喧嘩をする価値もない相手なのだ。わたしは。私を納得させるより、ここで自分が嫌な思いをしないことのほうが重要らしい。(P8)
 
・笑顔笑顔笑顔また笑顔の記憶ばかりが、慎一のプロモーション映像のごとく脳内にとめどなく流れる。思い出してどうする。こんなことを。いまさら。
どこだろう。どこで間違ったんだろう。どこで慎一はわたしを「僕の人生に必要のない女」だと判断したのだろう。四年間のどこまで遡れば、やり直せるのだろう。
やり直せない。時間は遡れないし、それにもう慎一は決めてしまっていたのだ。「別れたほうが言いように思うがとうか」という提案ではなかった。「別れたい」とはっきり言った。「無理」とまで。(P11)
 
・この時期のわたしは、昼間は店にいることで気が紛れている節もあったけれども夜になるともう駄目で、ひとりになるとめそめそ泣いてしまっていた。楽しかったことばかり思い出す。たとえば前髪を切り過ぎたときに慎一から「へんだけも見ようによってはかわいく思えなくもないよ」とおかしな慰め方をされたこととか。そういう、どうでもいいようなやりとりをもうすることができないのだ、と思ってはまためそめそ泣いていた。(P30)
 
↑の部分は、読んでて泣いた。
自分が彼氏と別れたばかりというのもあるけれど、自分がまさにぐるぐると考えていたことと同じだったから。菫さんの言葉も、ぐっと来た。。
 
 
・ 聞く限りどうやら彼の言う「無理」というのは「結婚が無理」であるということなのに、なぜあなたは自分の存在そのものを「無理」と否定されたかのように泣いていたのか(P13)
 
この菫さんの言葉にもガツンときた。。人に別れを告げられると、私と彼は相性が合わなかった、だから別れることになった、ってだけなのに、自分の存在を全否定されたような気になる。いらないんだな自分は、と思ってしまう。
 
 
・必要とされていないのがつらい。 いてもいなくてもどうでも良いような存在である自分、というのがつらい。前の会社でもそうだったし、慎一のことだってそうだ。慎一を失うことそのものより「僕の人生に必要のない存在」と自分が認識されたということがつらかった。(P126)
 
この一文もそう。いらない、いなくてもいい存在、ということがつらい。別に自分の存在って、人に認められて決まるものでもないっていうことはわかっているんだけれど、どうしても、自分なんていなくてもいいんだな~ってなる。
 
 
こんなことばかり書いていると、すごく暗いお話に感じてしまうけれど、そうじゃないんだ!自分が今置かれている立場的に、どうしても失恋したばかりの妙の気持ちとか、菫さんのビシっとしたお言葉にフォーカスしちゃうんだけど。菫さんとか、千歳さんとか、蓮太郎くんとか、お客さんとか、そういう人たちと接していくうちに変わっていく妙を見て、自分も少し元気がでた。
あとね、寺地はるなさんの作品は、ごはんがとってもおいしそうなの!おいしそうな料理が出てきて、思わず食べたいな~って思うような料理なんだよね。ストーリーもそうなんだけど、ちょこちょこと出てくるごはんによってより一層元気がでる。
 
 
ちょっと最近は文の抜粋ばっかりになっているけれど、これは自分のための感想文みたいなものだから、まあ良いかと思っている。
恋愛とか仕事がうまくいかないから、より一層こういうお話に引き込まれちゃうのかも。失恋とか、ちょっと色々行き詰まった時におすすめ。