人はお金をつかわずにはいられない
久間十義・朝倉かすみ・山崎ナオコーラ
星野智幸・平田俊子
2017/06/18読了
1)グレーゾーンの人(久間十義)
サラ金を仕事をしている”彼”が、淡々とサラ金の話をしていく話。
ウシジマくんを見たからかもしれないけれど、サラ金の人たちも結構キツキツの仕事というか、貸した金を返してもらえないとすぐつぶれるくらいギリギリなんだと感じた。
娘が弁護士になって訴えられてしまうのは…。何の因果か。
最後のページのセリフがちょっとわからなかった。
2)おめでとうを伝えよう!(朝倉かすみ)
1人の男性の、時系列に沿って、いろいろなことにお金をつかう話。
家、コーヒー豆、SNSのゲーム課金。
SNSでのやりとりやゲームに熱中していく姿。
家族からはないがしろにされる。
でも、最後は昇進してめでたしめでたし。
人の、あれもこれも欲しい欲が伝わってきた。
3)誇りに関して(山崎ナオコーラ)
医者の依里の話。二千万円ももらっているのに、
自分のためにお金を使うことに対して、「いけないことをしている」という気分になるのが目からウロコだった。
お金を使うことで、社会に対する背徳感がある人っているの!?
ってくらいびっくりした。
でも、そのくらいの考えを持っても見たい…。
4)人間バンク(星野智幸)
世にも奇妙な物語でありそうな話。
人間バンクという、人の円と書いて、人円という、コミュニティ内の通貨で融資などをしてもらう。
お金で物事の価値を計るのではなく、人間で計る。
基準は人間。お金の価値=命の価値。
仕事というのは、どれだけ命を使ったか。
お金は自分の命と同じ。浪費したら自分の命を減らすことになる。
主人公は色々悩んでいく話だったけれど、浪費=命を無駄にしているっていうのが深かった。
5)バスと遺産(平田俊子)
「父と母は誰からもおじいちゃんやおばあちゃんと呼んでもらうことなく死んでいった」
「お母さんと呼べる人はもういないのに、この言葉は私の中でいきている」
「言葉はどこかにいってもいいから、母に帰ってきてほしい」
お金のことより親を亡くした辛さにグッときてしまった。。。
「老後まで生きられなかった母のかわりに、この人を喜ばせることはできないだろうか。」
この考えで100万円手放せるのがすごい。
こう思ってしまう私はまだまだお金に執着があるんだなあ…