【家づくり回想録⑤】理想の家 | 岐阜のはずれに家を建てる

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岐阜の工務店エムズアソシエイツで建てる家づくり。

回想録④からの続きです。


A社で住宅性能という考え方を知ってからというもの、僕は住宅に関する知識を得ることに夢中になりました。

ネットで家づくりブログを読み漁るだけでは飽き足らず、図書館で建築関係の書籍を読み込んだりもして、数ヶ月間は家づくりのことで頭がいっぱいになってしまいました。

よく「3回建てないと理想の家にはならない」と言いますが、まず間違いなく自分の人生で最高額の買い物。

家づくりのことを知れば知るほど「どうせ高いお金を出すなら、3回と言わず最初の1回で、自分たちの手が届く範囲内でできる理想の家づくりをしたい」という気持ちがどんどん強くなっていきました。



そして、今の土地を購入したころには、僕たち家族にとっての理想の家は、月並みながら(大まかに言えば)下記のすべてを満たす家になりました。


①1階で生活を完結できる家

高齢になると階段の上り下りに苦労することが予想されるが、コスト面からも将来の増改築はしたくないため、自分たちが年老いた時に2階に上がらなければならない必要性は、可能な限り最初から排除しておきたい。

わが家の土地に平屋建ては難しいため、いずれ巣立っていく子どもたちの部屋のみ2階に配置し、夫婦の寝室や必要な設備などは1階に集中させることによって、年老いた時に階段に頼ることなく生活を完結させられる間取り。


②明るく風通しの良い家

心身共に健康的な暮らしを実現するために不可欠なことで、建築業者の宣伝では決まり文句のように使われているワードだが、本物のプロにしか実現できないことだと思う。

建物の形状、各部屋の配置、窓の種類と位置のすべてが、土地の特性に合わせてバランス良く計算されている必要がある。

年間を通じて太陽の光をうまく取り込むために、軒の出は三尺以上。屋根や外壁などは、デザイン性を考慮しながら、なるべく遮熱性の高い素材や色を選択する。


③なるべく手のかからない家

メンテナンス不要という意味ではなく、最初の考え方と予算の配分次第で、長い目で見た場合のメンテナンス頻度と費用を軽減させることは可能。

構造的には、建物全体に致命傷を与えるおそれのある、シロアリ、床下の湿気、壁内結露、雨漏り、駆体の変形などのリスクが少なく、余計な心配をしなくてもよい家。

屋根や外壁は、多少コストがかかっても、劣化の少ない素材を最初から使う。内装は直接肌に触れる機会が多いため、メンテナンス性と質感のバランスがとれた素材が良い。


④なるべく気密性と断熱性の高い家

予算の範囲内で追求したいが、最優先事項ではない。あくまで光熱費を抑えることが第一の目的であって、コスト面で他のことを犠牲にしてまで高い数値を出す必要はない。

断熱が必要な部分の面積を小さくするなら「天井断熱+床下断熱」で、断熱性を高めたうえで収納量を増やすなら「屋根断熱+基礎断熱」の選択になる。それぞれ一長一短あるので、どちらを選択するかはシロアリ対策を含めて総合的に検討する。

断熱材は、壁内結露を防ぐ正しい施工さえできれば、発泡系と繊維系のどちらでも良い。流行の吹き付け断熱は、断熱性能は高いがコスト面と点検のしやすさで不安。


⑤普遍的なデザインの家

特別おしゃれである必要はない。

流行り廃りに左右されないシンプルなデザインの中に、ほんの少しだけ重厚感があれば良い。機能性を伴わない部品や不必要なデザインは、百害あって一利なし。

悪い意味での経年変化を少しでも防止するためには、できるだけ軒を出したうえで、外装には退色や錆びなどの劣化が少ない素材を使う必要がある。


⑥見えない部分を点検修繕しやすい家

小屋裏や床下の配管など見えづらい部分の点検をしやすく、修繕箇所の早期発見と対応ができる構造が理想的。

人間であれば病気の早期発見こそが長生きの秘訣だが、脱ぎづらい服を着たままでは十分な診察や検査が受けづらくなってしまうのと同様に、住宅も点検のしやすさが寿命を左右するのではないかと思う。

床下点検がしやすい基礎の高さ、点検口の適切な位置、木材の状態や雨漏りの有無を把握しやすい施工方法などに気を配る。


⑦汚れにくく掃除がしやすい家

どんなにこだわり抜いた家でも、家の隅々にほこりが溜まっていたり汚れが目立っていたら、せっかくのこだわりも台無しだし、なにより不衛生で不健康。

メンテナンス性にも通じるが、なるべく壁などの垂直面に余計な凹凸や隙間を作らないことで、ほこりが溜まりにくく掃除がしやすいことを意識した設計。素材は、汚れが付きにくく、たとえ付いても手軽に原状回復できるものを選択する。


⑥に続きます。