発心門王子。
山を越えて、越えて、
少しずつ本宮に近づいているけど実感はなくて
日の傾きに少し焦りながら歩いていたら
ひっそりと現れた発心門王子。
膝から崩れ落ちそうになった。
昔の人は、この鳥居を見てもっともっと安堵したんだろうな。
発心門王子は、「仏の心に帰依する心を発する入り口」であり
熊野の聖域の始まりだそう。
トレイルのプランニングをする時、
どうしても発心門王子は通りたいなあと思った。
しっかりとお参りをする。
ここから本宮は7キロ。
お手軽熊野古道として、発心門王子から歩く人も多い定番のコース。
カミーノでいう、サリア。
少し進んだバス停で休憩を取る。
時刻は14:20。日暮れまでに本宮に間に合う。
昨日買ったシフォンケーキを食べて
汗だくで冷たいダウンをバックパックに括り付ける。
発心門王子のまわりは、のどかな集落だった。
集落を抜けると「蘇生の森」に突入。
進撃の巨人の始祖の森のような大きな木々。
完全に迷い込んだ人になる。
少し曇ってきて、日暮れが心配に。
やぎ
順調に集落を抜け、始祖の森を抜けていく。
伏拝王子に到着。
本宮までたった7キロなのに、なぜか時間がかかる。
焦りと、もう終わっちゃうのかという気持ちで、
本宮はなぜかどんどん遠ざかる。
のこり約4キロ。
きた道も、いく道も蘇生の森だ。
ちょうど、小辺路との合流地点らしい。
高野山へは約78キロ。。。
薄暗くなるのが怖くて、早足に森を進む。
途中、小さい子2人を連れた親子や
一人旅のお兄さんに出会う。
親子を追い越した時
「どこから来たんだ、、?」という声が去り際に聞こえた。
昨日は起点から1までものすごく遠くて
諦めようとした道のりも、75まで来た。
カミーノもそうだけど、
この道は誰もが歩ける道。
身分や宗教、性別など分類の一切は関係なく
誰もが歩くことができる道。
歩けるけど、入り口にはそれなりの試練が待っている。
カミーノはピレネー越え。
中辺路は滝尻からの山。
歩けるけどそんな簡単なものじゃないんだよ、わかる?と言うかのように立ちはだかっている。
新しいことを始めるときに似ている。
本宮はすぐそこに。