迂回路の山頂から、次の山に向けて転がり落ちていく。
時刻はすでに11時前。晴天の中歩くのはとても気持ちいい。
空も木も、とっても美しい。
途中の蛇形地蔵のあたりで、宿が一緒だったトレイル親子に再会。
さすが男性二人、健脚だ。
楽しそうな声を聴きながら進んでいく。
橋。
渡るのちょっと怖いね。
山と山の合間にあったわずかな平地では色んな木々が。
こんなのとか。
もうツノだよね。もののけ姫で見たツノだった。
この木だけやたらツノが生えていた。
苔むした木も。
私が通り過ぎるのは一瞬だけど、
今日の朝も今日の夜も、明日も明後日も数年後も数十年前も
ずっとここにいるんだと思うと
気が遠くなる。
木の体感時間がゆっくりであることを願ってしまう。
きっと、そんなこと関係ないんだろうけど。
最後の登りを終えると、山間の車道に出た。
するとそこには、「三越峠休憩所」の文字が。親子も一緒だ。
民宿で作ってもらったお昼ご飯を頂く。
大きなおにぎり二つ。晴天の中、腹ペコの中、
日本の空気を吸いながら食べるおにぎり。。。最高においしい。
親子と話しながらおにぎりを食べる。
これまでの旅、塩の道のこと、
旅人同士の会話はいつもポンポン弾む。
息子さんから羊羹をもらい、
私は持っていたブラウニーを渡し、
12時50分に三越峠を出発した。
民宿のお父さんが言っていた「三越峠に13時までに到着」をクリアし、
13時には出発を実現した。
ここから先には山という山はない。
本宮はもうすぐだ。
親子より先に出発したのに、
あっという間に抜かされて一人で歩く。
森の中って、木が生えているだけかと思うけど、
こうやって倒れてしまった木の幹が散乱している。
豪快な景色。
山の中からじゃないと見られない。
途中まで助けてもらった木の枝の杖にお別れをして、
本宮に向けて平坦な道を進む。
道しるべに到着。
昨日はバスで飛ばす!と息巻いていた発心門王子が
もう標識に現れた。
ちなみに、親子は赤城越(このポイントから湯の峰温泉)をするので
橋を渡っていった。
私は発心門王子を目指す。
途中、船玉神社にお参りして
山の中を歩き続ける。
どちらかというと、舗装された道だった。
と思っていたら、また山道の始まり。
これ、道なの?道、ないじゃん。
と、何回思ったことか。熊野古道名物だ。
そういえば、カミーノでも開けた一本道に出ると
景色に感動すると同時に
「今日は宿まで絶対たどり着かないじゃん」と、よく思っていたなあ。
最後の山道と信じて、山の中を進む。
比較的、「人が歩いたことのある」道だった。
色んな道を越えた後、
発心門王子は静かに現れた。