【神戸大学】北京の最新スタートアップ事情 | 共明塾 × キッズアース播磨町校

共明塾 × キッズアース播磨町校

1970年から兵庫県加古郡・加古川地域て信頼と実績を積み重ねてきた共明塾。
2007年からは東大卒講師を迎え、2017年からはキッズアースと提携し、小学生向けの科学実験教室を始めました。
共明塾はこれからも学ぶ楽しさを発信していきます。

2月3日、神戸大学で行われた、六甲フォーラム「現代中国研究拠点」研究会の「北京の最新スタートアップ事情」を受講してきました。

講師は、北京の北京国能環科環保科技有限公司でご活躍されている佐野史明氏。

資料も豊富で、話も分かりやすく、非常にためになるお話でした。

 

男子三日会わざれば刮目して見よ」という諺があります。

現代中国はまさにそれで、ものすごいスピードでスクラップ&ビルドが繰り返され、その中にはとても新しい感性、考え方のベンチャー企業が、その流れを加速させています。

 

日本の目はどうしても深圳(シンセン)・上海に向きがちである、ということを前提に、北京の立地的・技術的なアドバンテージの観点から、北京で起こっている、起こりうるイノベーションについて、現地でしか得られない情報・体感を交えたお話を頂きました。

 

 

「投資」という切り口で面白かったのは、いわゆる「血縁」「地縁」に加えて、「同じ大学の出身なら信用できる」といういわば「学縁」とでも呼ぶべき投資の流れがある、ということ。
 
これに大学が産学共同ベンチャー支援の体制を取ることで、お金とアイデアが起業にうまく結びついているというのは、非常に良い流れを持っているな、と感じました。
 
多数の成功者が出た大学前のアパート」の写真を見せてもらいましたが、その成功にあやかりたく思う気持ちは、きっとどこでも一緒で、そういった人の集積が、さらに多数の成功者を生むのだろうと考えると、なんだか微笑ましい話だなと思います。
 
人の集まり、という観点から言うと、いわゆる「コワーキングスペース」のことを「衆創空間」というそうですが、これが過飽和状態になって分散し、密度が薄くなった結果、ダイナミズムが失われてしまいつつある、というのは、現代日本にも示唆的な話です。
 
「投資」を集めるというと、お金の面のことが浮かびますが、出資を募る過程で、あるいは、出資先を探す過程で得られる人的ネットワークが大事だ、という話も、実感として納得のいく話でした。
そこの部分をコンサル任せにしてしまうと、お金は集まるかもしれないけれども、本来得られるはずであった人的なつながり、そこから得られる今後の情報の窓口を失ってしまうことになる、というのはその通りだと思います。
 
そして、中国でのベンチャー企業の世代交代、というのも、面白い観点でした。
金銭的成功を主軸に置くベンチャーの世代から、自分の趣味・興味・関心の延長上にあるベンチャーの世代へ、という内容でしたが、日本でのベンチャー主軸の交代の歴史、世代的な考えの違いを考えると、その流れはかなり一致しているのではないかと感じられ、だからこそ、これからもっと「面白い」発想のベンチャーが出てくるのではないかと思います。
 

私は、学生時代、「開発経済学」の観点から、中国については、特に地方は今後どのような発展がなされるのだろう、ということを学んでいました。
 
しかし、21世紀の中国は、「開発経済」で考える枠組みを超えて、「発展経済」として考えるべきなのだと思います。
 
別の観点からは、地方の発展はどうなっているのか、日本で言えば「地方創生」の施策はどうとられているのか、という見方もあると思いますし、いわゆる人権や民族共生の観点(とあわせて、その経済的影響)を考える必要もあるでしょう。
 
国際経済において、キープレイヤーとなっている中国。
民間レベルでも、国際的なレベルでも、また政治的な側面からも、ますます中国経済とのつながり、研究が必要となってくるのは間違いありません。
 

懇親会でも、今回のコロナウィルスの問題含め、興味深い話が出ていたのですが、途中退席せざるを得なかったのが残念です。
 
大変、刺激的で面白いお話を頂きました。
佐野先生、梶谷先生、三竝先生、ありがとうございました。