サッカーワールドカップ・カタール大会のエンブレムが格好いい! | "デザインってなに?"的ノート

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デザイン的な思考やものの見方、デザインそのもののことなどを話題にします。

このブログは2022年の11月に記事にしたものです。

 

 

サッカーワールドカップ。まだグループステージの段階ですが、非常に盛り上がっていますね。ご存知のように、日本代表は初戦で優勝候補の一角ドイツを2対1で逆転勝ちしました。素晴らしい試合でしたね。

 

あの日本とドイツの激闘は、前半と後半で、あれ程戦況が変わるのかと驚いた試合でもありました。フォーメーションの組み立てを変更することやメンバーを変更することが、どれ程試合に変化をもたらすのかを教えてくれる試合でした。

 

当然、堂安の同点シュートと浅野の逆転シュートは値千金の活躍でしたが、私は、ドイツの再三のシュート、取り分け連続のシュートを好セイブした権田の活躍が素晴らしかったと思います。もちろん、前半にやらなくてもいいファールでペナルティを与えてしまい、ドイツに先制点を入れさせてしまったことは反省材料ですが、その1点だけに留めたのは立派です。とりわけ、連続シュートを好セイブしたことは凄いことです。あこで点を与えていたら、後の展開はかなり違ったものになっていたでしょう。

 

ともかく、日本はドイツに勝利しました。「奇跡の勝利」と言う人もいますが、その奇跡を呼び込んだのは天でも神でもなく、紛れもなく日本代表の選手達です。彼らはその奇跡を呼び込むために、これまで必死の思いで練習をしてきたはずです。なので、日本がドイツに勝利したのは奇跡でも、日本選手が奇跡を呼び込んだのは必然です。

 

ところで、カタール・ワールドカップ2022の公式ロゴ(エンブレム)って、カッコ良くないですか?初め見たとき、一目で形はW杯のトロフィーをイメージしていると分かりましたが、歴代のエンブレムと違ってスッキリしているのが気に入りました。

 

ロゴのデザインは、急降下曲線でうねる砂漠のイメージを表現し、切れ目のないループは数字の8を意味していて、8つのスタジアムを使用することを意味してるようです。同時にインフィニティ記号(∞)も意味しているみたいです。また、ロゴ自体は、アラブなどを中心に着用される冬の衣服であるウールショールからインスピレーションを得ていると言います。冬服のイメージというのが、11月と12月に開催される最初のワールドカップであることを暗示しているようです。ロゴに描かれた模様は伝統的なアラベスク模様で、伝統と現代性を融合したものらしいです。「Qatar」のフォントは、伝統的なアラビア文字を現代風にアレンジしています。

 

私はロゴの形を初めに見たとき、W杯のトロフィーをイメージしたのと同時に、トポロジーの代表的な空間図形を思い浮かべました。(下の図のようなもの)

 

 

トポロジーとは、「何らかの形を連続変形(伸ばしたり曲げたりすることはするが切ったり貼ったりはしないこと)しても保たれる性質に焦点を当てたもの」と言われています。

 

サッカーワールドカップ・カタール大会は、色々な問題が指摘されています。2010年12月2日にFIFA理事会の投票で、2022年のW杯開催地にカタールが決定された過程では、FIFAの理事会メンバーの腐敗が伝えられて波紋を呼びました。

 

W杯開催用スタジアム建設のため、6500人の移民労働者がインド、パキスタン、ネパール、バングラディッシュ、スリランカから集められ、劣悪な労働環境による事故死の多発が問題視されました。

 

また、英国をはじめとする欧州側は、ホモセクシャルを違法とするカタールを真っ向から非難しています。中東ではLGBT差別に何の疑問も持たないのだと思われます。ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、欧州側の人権問題に対する批判に対し「西側の偽善」と発言し、この問題も大きなものとなっています。

 

先にも言ったように、トポロジー図形とは「何らかの形を連続変形しても保たれる性質を持った図形」です。もしカタール・ワールドカップ2022の公式ロゴにも、トポロジーのイメージがあるのなら、「様々に変形していく人類の歴史であっても、どこか人類に共通するプラスの性質がいつまでも保たれていて欲しい」という意味になるのではないでしょうか。人類に共通するプラスの性質とは、「人類が皆んな幸福になる性質」というものかも知れませんが、具体的には、人類の絆が保たれるサッカーワールドカップの性質と言えるのだと思います。