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お泊まり恋愛詩

恋愛詩を集めたブログです。彼氏視点です。

かなりえっちな内容のものも少なくないですが、年齢制限せずにすむよう、端正で遠回しな表現に収めています。また、旧作に手を加えている作品が多いので、現在進行形のものはほとんどありません。更新休止中です。

学校で好きだった場所 ブログネタ:学校で好きだった場所 参加中
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学校で好きだった場所

生徒会室と呼ばれる木造の小屋
鉄筋コンクリートの校舎の脇に
捨てられた廃屋

開けるにも閉めるにもコツのいる引き戸に
わずかにゆがんだ南京錠がかかっていた
窓ガラスはひびの入ったままで
ある集中豪雨の日を境にベニヤ板に替わった
雨の日はとめどない雨漏り
床が抜けたときもあった
天井にあいた穴から行ける屋根裏は
空からの光の漏れる不思議な空間だった

あまりにも廃屋だったので
僕らはそれをスーパーハイオクと呼んだ

昼寝が目当ての生徒会長が僕で
つるんでいる友達がいて
それ以外に
喫煙所にしたいヤツと
雀荘にしたいヤツが時々やってきた
放課後以外では
朝礼の時間に混む傾向にあったような気がする

建築基準法的にも教育的にも
いろいろと問題のある建物だった

何年か後 当時つきあっていた女の子と
母校を散歩しに来た時には
もうそこに廃屋はなくて
妙に饒舌になった僕がそこにいた

彼女は幼いこどもをいつくしむ目で僕を見て
  楽しかったんだね
といった
  特別なことは何もなかったんだけどな
と僕はこたえた

起承転結で終わる物語ではなく
 ちいさな反目
 こみあげる笑い
 おしよせる眠気と退屈
 わけもない苛立ち
 とめどないたわいない無駄話
そういう紙吹雪のような出来事の破片が
そこには吹いていた
だから 僕はいくらでも話せたのだ

話を途切れさせて 僕は思った
あの廃屋を好きなのは あの頃の僕じゃない
あの頃 あたりまえだった場所を懐かしむ
今の僕なんだよな と
口には出さずに


君のところへ戻る途中


森林公園の男子トイレの個室で
君は声を殺して身もだえている
僕のスポーツバッグの中にあったもので自由を奪われ
僕のスポーツバッグの中にあったものを差し込まれて

僕はひとりで森林公園を歩いている
僕のバッグの中には君が身に付けていたものが詰まっている
一人で歩きながら
僕は君のことだけを考えている

風が吹き
葉が次々と裏返る
その静かな騒ぎは僕の想いそのままだ

君をいじめている間 いつも
僕は揺さぶられている
君が我を忘れるほどに
僕は内側から君になってゆく
スクリーン上の悲劇に心奪われるように
しかし
それでも僕は君とは違う僕で
それが息苦しく
美しいくらいにやるせないのだ


携帯をしまったら


電話なのにメールにしか使われない君の携帯
電話なのにカメラにしか使われない僕の携帯
君は「彼女」なのに
僕は「彼氏」なのに
本来とは違う機能ばかり使っている

にぎやかとはちょっと違う
声の草むらのようなマクドナルドの店内

君は友達からのメールに返信していて
僕は携帯の写真フォルダを眺めている

  携帯の写真フォルダは僕たちの歴史だ
  求められても何もできなかった頃の君が
  最初の写真の中で笑っている
  背景には
  今は変わってしまった吉祥寺のタイ料理のお店

  1リットルのお湯をお腹にしまったまま
  ローソンまでお遣いに行けるようになった
  歩道橋の上でなら全部脱げるようになった
  蝋燭遊びで気持ちよくなれるようになった

  言葉を遣わなくても
  幾つかの意志を伝えられるようになった
  許しを乞いながら
  正反対の意志を伝えられるようになった

  誕生日
  クリスマス
  お正月
  バレンタインデー
  記念日にちなんだ
  花束と意地悪の数々

君がそのメールを書き終えたら
もうひとつ歴史を進めに行こう
君の声だけが聞こえる部屋へ行って