ランキング
焦茶色の喫茶店
服に染み付きそうなコーヒーの香り
コーヒーカップはこだわりの陶器だけれど
添えられたスプーンはすこし鈍くさいデザイン
奥の席で僕たちは並んで座っている
君は雑誌を読みながら 時々僕に意見を求める
これって・・・だよね
とか
これ、かわいくない?
とか
僕はもっぱら
カウンターで豆を選別していたり
漏斗に湯を注いだりしている店主の動きを見ているので
声をかけられるたびに雑誌の記事を一から見直す
雑誌を読む前に あんまり脈絡なしに
君は僕のことを一番だと言った
僕も君のことを一番だと言った
じゃあ 僕の中でどこが一番好き?
と聞くと
胸板 かな
との返事
同じ質問を返されたので、僕も同じ返事を返した
胸板 かな
ふたりで少し笑った
ランキングを越えて圧倒的な一番になったら
誰も順位の話はしない
後は新記録と伝説の話しかしない
目指すのはそこだ
ウェイトレスがレアチーズケーキを持ってくる
雑誌はためらいもなくたたまれて
君は捕食態勢だ
急に
僕も捕食体勢になって 君のくちびるを奪う
ウェイトレスがカチンと来ている
ごめん
他人に迷惑なのは知ってる
暖色の暗がりはとても落ち着く