お泊まり恋愛詩 -28ページ目

お泊まり恋愛詩

恋愛詩を集めたブログです。彼氏視点です。

かなりえっちな内容のものも少なくないですが、年齢制限せずにすむよう、端正で遠回しな表現に収めています。また、旧作に手を加えている作品が多いので、現在進行形のものはほとんどありません。更新休止中です。


けなげなおなか


水が欲しくなって目を覚ました

寝息を乱さないように

闇に目が慣れるのと同じ遅さで

ゆっくりと腕枕を抜く


彼女のつるつるに汗ばんだ体が

ゆっくりと胎児の姿になる

不思議に仕組まれた体だ


お泊まりが毎週の定例になってきたら

毎月の体のリズムが週末を避けるようになった


  たまたまかと思ってたけど

  そろそろ偶然とは思えないんだよね


彼女は不思議がって子宮のあたりをなでた


  この子 私より一途かも なんか かわいい


そろそろだけどまだ来ていないと言っていたので

たぶん次は週明け


まだまだ種をまいてあげるわけにはいかないのだが

説明して話の通じる臓器なのかどうか 心許ない


  ごめんよ ご期待に添えず


ごほうび


出張から帰って来て
灯りをつける前に気づいた
いつもより明るい部屋だ


灯りをつけると
気づいた以上だった
フローリングが眩しく感じる


この足触りはクイックルワイパーだけじゃない
きっと
ベランダには雑巾が干してあるに違いない


ネクタイを抜きながら見たガスコンロの上に
材料、買ってくるね という書き置き
ガスコンロも焦げ跡以外はぴかぴかだ


バスルームからあたたかい湿気があふれていて
正直 全てが完璧なタイミング
さっそく汗を流そう


すっとひらめいたので
ワイシャツの胸ポケットからペンを出す
冷蔵庫からイチゴジャムを出して文鎮がわり


掃除、超頑張ったな
ごほうびだよ
味がなくなるまで舐めてあげるから
どこでもいいから好きなところに味付けしてみ?
PS
料理は後で良いよ
後で一緒に作ろう


せっかくの床を汚さないように
床に買い置きの介護用シーツを敷く
これでOK


僕はスーツを脱いでハンガーに掛け
湯気に包まれるためにシャツと下着を脱ぐ


  ○


僕は髪から足の裏まで全身を完璧に洗う
軽やかなスポンジの往復
弾むシャワーのしぶき
泡が流れるごとに僕は軽くなってゆく


やがて
湯船の中に弾んだ声が届く


あ おかえり!


そして
しばらくの物音
しばらくの物音


  ○


湯気をバスタオルに貫通させながら
僕は脱衣所を出た


ただいま と言おうとして言いよどむ


何も着ていない君の周りには
君の服が散らばっていて
顔も胸も臍も脚も見事にジャムまみれにした君が
よつんばいでおしりにジャムを塗り込んでいた


振り向いて全力で照れながら君が叫ぶ


あー えっち!


えっちなのはどっちだ



夜が先に進まない


初めて
言い訳を用意せずに外泊する君
いつもの声は風鈴なのに
今夜は油粘土の響き
  ごめん きょうはいじめないで
独りで浴びていたシャワーは
たぶん顔に浴びせていたんだろう


高めのラブホテルの布団は冷たくなめらかで
冷たくふくらんでいる
君は眠る意志を固めたまま
ずっと目を閉じて覚めていた
僕は腕
僕は君の枕
ただ
それだけ


灯りを消した部屋の中
冷たいテーブルの上で
君の携帯が光っている
振動音を引きずって
ゆっくりと這っている


僕は質問を枕の下に沈めて
天井を見つめる
天井が僕の代わりに君を見つめる

夜が先に進まない