春夏秋冬のブログ
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その7

さて、話はそれより1年半ほど前にさかのぼる。
高校2年の9月だったと思う。
その頃の笑える話をひとつしよう。

高校2年と言えば、部活に打ち込み、連日泥だらけの日々を送っていた。
その頃好きだったYという子は同じ球技の女子部だった。彼女も泥だらけの毎日だった。

実はその彼女とは小学校も中学校も一緒だった。
彼女の存在を意識し始めたのは5年生の頃だった。
当時としては珍しい、オーバーオールのよく似合う、頭のいい女の子だった。
クラスの男子はみんな彼女にあこがれていた。
みんな彼女のことが好きだった。
とにかく人気者だった。
だれの手も届かない存在だった。

そしてそのまま同じ中学に上がり、同じ部活動に入ることになる。
同じクラスになったかどうか、よく覚えていない。
つまり中学校時代は彼女の存在は単なる一女子生徒となっていたのであった。

そしてそれが高校へと進んでいく。
高1、高2は同じクラスになった。
高2になるとオレはキャプテンになった。
Yも女子部のキャプテンになった。

キャプテンは辛かった。
怒られ役だった。
毎日泥だらけになり、人一倍しごかれ、人一倍叩かれた。
彼女の方がきつかった、と思う。

さて、そんな中で楽しみのひとつに、あのどきどきする真夜中のひと時があった。
われわれと同じ年代ならば、きっとわかるだろう。
それは・・・。

そして、その6

「オレさぁ、映画のチケット2枚持ってるんだけど、女の子と行くんなら1枚分の値段でゆずってあげてもいいけど?」
それは高倉健主演の『野生の証明』だった。
多少違和感はあったが、これでゆきちゃんとデートできる、と思ったおれは800円をTに渡したのだった。

さて、デートの申し込みをどのようにしたのかは覚えていない。
決めたのは、土曜日に行くこと、渋谷で観ることの2つだった。
当時土曜日は授業が3時間だったことを記憶している。急いで出れば1時あたりからの開演に間に合う。
3時間目の授業が終わると、2人で教室から飛び出した。
下駄箱から、校門を出る通路はちょうどわれらの教室の外を通る。今でも覚えている。クラスメートは窓から身を乗り出して「いってらっしゃい。」と見送ってくれたことを。

映画は良かった。楽しかった。過激なシーンもあり、ゆきちゃんは小さな声だったが悲鳴をあげていた。

映画の後はたしか、喫茶店に寄り、パフェを食べた記憶がある。

この日を境に翌日からは毎日、放課後になると図書室で勉強し、2人で自転車を押しながら、ゆきちゃんの家の近くまで送っていったものだった。急いで行けばおそらく20分くらいの道のりだったのだろうが、1時間以上の時間をかけて、楽しいひと時を共有した。

飛鳥山の近くで甘いもの屋に寄ったこともあった。あんみつを食べたか、おしるこだったかは思い出せない。

季節は秋から冬へと過ぎていく。

受験が徐々に近づいてくる。会う時間が少しずつ減っていく。
そんな2学期の終業式を迎えたクリスマス、2人は2度目の映画を観にいくことにする。
『シャレード79』
それがその映画の題名だった。
場所は渋谷。初めての時を大切な思い出にしたかったから、だろう。2人は当然のようにそこを選んだ。

映画が終わり、同じ喫茶店でコーヒーを飲み、別れる駅に着く。
今回は前回とは違い、胸がドキドキしている。
そのわけは・・・。

そして、その5

「おかしいな・・・。何でだれも来ないんだ?」
かれこれ1時間は過ぎているはずなのに、だれも何も言いに来ない。

「そろそろみんなのところへもどろうか。」
もどってみると、
「おまえたちいつまでやってるんだよ。1時間半も・・・」

陽は西に傾き始め、夕焼け雲が広がり始めた。
「そろそろ行こうか。喫茶店に寄って行こう。」
というわけで、繁華街の喫茶店へと入って行く。

15人の先頭の方で入って行ったおれは、ずらっと並んだテーブルのほぼ真ん中に座った。
「こんなに始めに入ってしまったら、ゆきちゃんがそばに座る可能性はほとんどないな。もっと近くにいて一緒に入ってくればよかった・・・

次から次へと入ってくる友人たちが席をうめていく。ゆきちゃんはなかなか入って来ない。
みんなはどんどん入ってくる。席がどんどんうまっていく。
最後に入ってきたゆきちゃんにある女の子が席を指してこう言った。
「はい、どうぞ。」
ゆきちゃんのための席は最初から決まっていたらしい。ゆきちゃんは恥ずかしそうにおれの前の席に座った。

おれとゆきちゃんが付き合うきっかけはこうして生まれたのだった。
あの日公園に遊びに行った連中たちが、このきっかけを作ってくれたというわけだ。
今にして思えば「公園に遊びに行こう」という話が出てきた時点から、クラスメートの企みは始まっていたのかもしれない。

「好きだ」という思いは日に日に強くなっていったと思うが、2人だけでどこかへ行く、という行為はまだまだ先のことであった。

しかしそれも時間の問題だった。
お恥ずかしい話だが、最終的なきっかけを作ってくれたのはやはりクラスメートだった。

生徒会長を務めるTが声をかけてきたのは、ある曇った日の放課後だった。

「ちょっと話があるんだけど・・・
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