春夏秋冬のブログ -2ページ目

そして、その4

秋と言えば・・・
学園祭、と言いたいところだが、一応受験生、わけもわからず勉強に打ち込んでいた。
そんなある日、クラス内で今度の休み公園に遊びに行こう、という声が聞こえてきた。
「たまには息を抜かないと・・・」というせりふがこういう時の決まり文句。
「何人くらい行くの?」
「15人くらいかな。」
「女子は?」
「半分は女子だよ。」
いつの間にか行く気になっていた。

その日が来た。山手線の駅を降り、しばらく歩くと公園に着いた。
今まで一度も来たことのない場所だった。
そこで何をしたかを言うのはとても恥ずかしい。今の高校生が聞いたら、おそらく開いた口がふさがらないだろう。

まずはみんなでできること、ということで長縄。今は運動会の種目にもなっているので、知っている高校生もいるだろう。そのうち、数名が順々にいなくなる。別になんてことはない。少し離れたところでバドミントン。
さすがに男同士、女同士でやる者はいなく、適当な?男女がペアになって楽しんでいた。

長縄に飽き、ドッチボールを始めていたが、やはりどう考えてもバドミントンの方がいい。
そう思っていたのはたぶんそこにいた全員だっただろう。

ゆきちゃんが誘われて、バドミントンをしにいく。
「いいな。」 もちろんそれ以外の感情はわいてこない。
しかし、ゆきちゃんとバドミントンをしていた彼は10分もたたないうちに戻ってきた。そして、
「代わってくれよ。」 そう言うと、ラケットを押し付けてきた。

願ってもない時間の到来。
ゆきちゃんとのバドミントンが始まった。いや、正確に言うと、ゆきちゃんとの会話が始まったのであった。

それまで一度も話したことはなかった。それがゆきちゃんとの初めてのおしゃべりだった。
何を話したのか、おそらく取るに足らない会話に終始していたに違いない。
でも楽しかった。
時間はあっという間に過ぎていった。

しかししばらく時を過ごしていくうちに妙なことに気がつきはじめた。

「おかしいな・・・

そして、その3

あの時と変わらないショートヘアのゆきちゃんがいた。
あの頃よくかぶっていたベレー帽をかぶってみればもっとよく思い出せるのかもしれない。

当時は暇さえあれば屋上で時間を費やすのが慣わしだった。
サッカーをやる者、読書にいそしむ者、早弁をかきこむ者・・・

3年生になりクラス替えをし、まだ慣れない新しい面々の中には、当たり前だが、異性に興味をもつ者も何人かいた。
「オレ、あの子いいと思うんだけど。」
自分の話を聞いてほしいがために、
「おまえはだれがいいんだ。」と話をふっかけてくるKは、おれからしてみれば、
「変わった子を気に入るもんだなあ。」と日々不思議に思うばかりであった。
Kが気に入っていた彼女は、お世辞にもかわいいとは言えず、話す内容も人並み以上に変わっていた背の高い女の子だった。

数日経ったある日、
「実は昨日デートしたんだ。」という報告を2時間目の休み時間、屋上で聞かされた。
「へえ、それでどうだったんだ。」と聞いてみる。
「しばらく続きそうな雰囲気だよ。」とうれしそうな返事が返ってきた。
でも確かその付き合いはその後3回は続かなかったように記憶している。

さて、当然のことながら自分の関係が終わってしまったKの関心の矛先はこちらへ向いてくる。

「おまえ、どうなんだ。だれか好きな子できたんだろ。」

「Tさんなんていいんじゃない。」と適当にはぐらかしてきたのだが、それがめぐりめぐってクラス中の知るところとなってしまった。
口にしてから改めてその女の子の見方が変わってくる。

『物静かで穏やかで、品のある女の子』という言葉がぴったりくる、それがゆきちゃんだった。

おせっかいなYは
「あの子と付き合うってことは、学年の約半分の男子を敵に回すようなものだよ。」とていねいに解説しにきた。

しかし、そんな言葉を聞いてしまうと、このまま何もなし、というのはもったいないような気もする。

そうこうしているうちにわが高3の青春のひとコマは秋の入り口へと差し掛かっていた。

そして、その2

とびらを開けると・・・

あの頃の懐かしい顔であふれかえっていた。
いや正確にはあの頃の顔とはいくぶん違うのだが・・・

会費を払っている間に向こうの方から声がかかる。
「おーい、こっちだぞ。」

卒業した高校は1,2年が同じクラスで、3年になって初めてクラス替えが行われる、というシステムだった。
呼んでくれたのは1、2年の時のクラスメート。

「良かった。」
それは自分を覚えてくれていたという安堵感からくるものだった。

席に着き、まわりを見渡す。

「ここにいる全員があの頃一緒に楽しんだ仲間たちなのか。」
どう考えてもそうとしか考えられない。
ものすごい感激が胸を貫く。

わずか数時間で終わるであろうこの会なのだが、夢ではなく、現実なのである。
この年になってこんな感激を味わえるとは・・・。

着いてしばらくの間であるが、次から次へと目にする懐かしい顔と懐かしい思い出を語る。

・・・・。

しばらく時間が経った頃ピンクのシャツの見慣れない男が声をかけてきた。

「おい、ちょっとこっちへ来てくれよ。」

だれだったか、思い返そうとするが名前が出てこない。
思い出せないが行くしかない。席を立ち、彼の後を追う。

「ほら、お待ちかねだよ。」

そう言われて女子が並ぶ席に案内される。
席に着こうとすると、その列の中に身に覚えのある顔が目に入ってきた。
忘れようとしても忘れることのできない、その顔は・・・