北欧の国にひとりでホームステイに来ている。
ホームステイ先は、若い男女が住んでいる家だ。
男は二十代中ごろ、女は二十代後半ぐらい。ふたりの苗字は一緒だ。夫婦だろうか姉弟だろうか。ふたり揃って、そばかすっぽい。
まずはご飯でもたべようと、男と並んでテーブルの前のソファに座る。
女はなかなか来ない。仕方なく会話をはじめてみる。
笑顔だがコミュニケーションは不器用だ。おまけに、まぁ、言葉は通じない。おたがいへたくそな英語で意思のかけらをやりとりするより他ない。
ふとしたことから、ふたりの間柄の話になった。話の経緯は忘れたが、
「いやぁ… てっきりご夫婦かと思っていました。ご姉弟なんですね」
と僕が言う。
男は少し傷ついたような顔つきになる。
「でも… 僕は、姉を、愛しています…」
あちゃー。
踏み入れたら面倒くさい奴やー。
スルー力を発揮する。
そうこうしていると、部屋の奥が何やら騒がしい。
女性の来客が何人か新たに来たようだ。地元の友だちだろうか近所のひとびとだろうか。現地語での会話が姦しい。姉 (妻?) はいまだにこないが、彼女たちの準備をしていたのかどうか。
僕と男をさておいて、部屋の反対側の隅で、女と来客たちが会話でわいわい盛り上がっている感じがする。と、男と僕がいるテーブルの反対側のソファにも、女性がひとり、つまらなそうにやってきて、どすん。と腰掛けた。見事にそばかすだらけで、不美人な、ひとだ。まさに北欧の不美人。何も話すわけでもなく、つまらなそうに時折あっちを見たりこっちをみたり。どうしてあげたらいいのかな。
しばらくして、部屋の反対側の盛り上がりがひときわ高まる。すると、女性もどこからかギターを取り出して弾き始めた。マットな荒い木目そのものの、ダークブラウンのギターだ。フレットは特にない。弦はベースよりも太い。なのに、軽やかな音がする。彼女は循環コードで何かここのことばでうたいはじめる。表情はつまらなそうなまま、からだは踊り始め、身振りは高揚している。
僕も彼女の脇に立って、一緒にリズムをとり、ギターを貸してもらって試してみる。まったくギターの弾けない僕にも、太い弦のせいなのか、それなりに音が出る。僕も楽しい。
ここで目が覚めた。