子ライオン二匹に危険なほどまとわりつかれている。
ついには、僕の左手と右手の人差し指にしっかりとからみつかれてしまった。
キチン質の体節構造、手のひらから人差し指にかけてがっつりからみつく大きさ、指先にまとわりつく、細くて長くカーブを描いた数本の牙。弧を描いて僕の指先にまとわりつき、今にも皮膚を破って突き刺そうとしている。
いまどう考えてもこれは昆虫の一種だし、夢の中での視覚としては明らかに昆虫なのだが、これが何なのかという認識においては目覚めるまでずっとこれらはライオンの子だった。
なんとかひきはがそうとするが、ひきはがすには、どうしてもいったん片方のライオンの子のほうをはがす動きにならざるを得ず、するともう片方の子が、ひときわ牙を締め付けてきて、ついに皮膚に刺さってしまいそうだ。なので、どうともならぬのだ。両手とも常に多数の牙をうごめかし、僕の指を突き破ろうとする。おまけに、さすがライオンの子というのか、そういう動きに際して、がおうというライオンの唸り声roaringも立派に両方からうるさいのだ。
僕は東京?の近郊の総合大学の学生であるらしい? 大きなカフェテリアや建物のなかを助けを求めてさまようが、冬の暖房の効いた暖かくてやや悪い空気のなか行き交う多数の他人たちのなかでなすすべもない。さまよいつづける。どうも、演劇関係のサークルか、あるいはライオンの子同好会を探せば問題が解決できると僕は思っているようだ。
さんざんさまよい、ついに第7食堂みたいな建物に通じる広くて暗い踊り場に差し掛かったとき、左手人差し指にくっついている子が、動きがにぶくなっており、からだも茶褐色から濃い茶色に黒ずんでしまっていることに気づいた。
あ、これは、ついに死んでしまうのだろうか。右手のほうをみると、右手の子も動きがにぶく、やや黒ずんできており、かつ左手の兄? を心配そうに思っている様子だ。
ついに、左手の子が、動きを止めた。
やっと、これで、まずは左手がわの子から外すことができるかも。
左手の子へと右手を動かすと、右手人差し指についている子が、最後の断末魔なのか、ひときわ激しい動きを見せ始めた。すこぶる痛いが、さきほどまでの牙の食い込みの痛さほどではない。これでついに…
というところで目が覚めた。
ひさびさに、意味がわからなすぎて、インパクトがあり、病的で、とてもおもしろい。