(2018年6月に書いた記事を加筆修正しました)
このデュオのメンバーは、元「かぐや姫」の伊勢正三さんと元「猫」の大久保一久さん。
このアルバム以降彼らは、曲の歌詞の世界観やメロディについては以前の作風を継承しながらも、サウンドについてはファイヤー・フォールやシルヴァーなどのようなウエストコーストロックを意識したものに移行していきました。
余談ですが、伊勢さんはスティーリー・ダンの音楽に少なからず影響を受けたようで、このことから今回取り上げるWindless Blueの紫がかったアルバムジャケットは、Steely Danが同年に出した「幻想の摩天楼」のアルバムジャケットの雰囲気を意識したのではと考えてしまいます。
【楽曲】
- ほおづえをつく女
- 夜の国道
- 3号線を左に折れ
- 旅の午後
- 通り雨
- アフタヌーン通り25
- 小さな手
- 地平線の見える街
- 君と歩いた青春
- ふっと気がつきゃ
- 少しだけの荷物
※作詞作曲者
伊勢正三 →#1,3,5,6,8,9,11
大久保一久→#2,4,7,10
#1「ほおづえをつく女」
従来の彼らにはなかったバンドのグルーヴを強調した楽曲で、ベース、ドラムといったリズムセクションが大活躍。間奏のギターソロは伊勢正三さん。歌詞については、 "男"、"女"といった三人称が用いられており、内容は男女関係にたとえたやや教訓めいた詞になっています。
#2「夜の国道」
タイトル通りの夜の国道の風景を思わず想起してしまう曲で、ブラスセクションがいい味を出しています。一生聴き続けたいと思えるほど本当に大好きな曲です。
#3「3号線を左に折れ」
タイトルからもう良いですね。この曲は従来の作風に比較的近い曲ですが、アレンジの面では所々にシンセサイザーやトランペットといった楽器が入っている点で変化がみられます。
#4「旅の午後」
音色の心地良いギターソロのイントロが印象的。コーラスが綺麗でメロディも甘酸っぱい感じ。
#5「通り雨」
曲の雰囲気は、同年に出たシルバーの「恋のバンシャガラン」に近い気がします。ギターソロのメロディが素敵です。また歌詞を読んでみると、伊勢正三さんのボキャブラリーの豊かさがよくわかります。
#6「アフタヌーン通り25」
レトロチックなサウンドが心地良い一曲。ここでも素晴らしく甘酸っぱいメロディが堪能できます。フフフフ〜♪というところがたまらなく好きです。
#7「小さな手」
温かな雰囲気をもった曲で、大久保さんの穏やかな歌声がうまく溶け込んでいます。夜明け前にぴったりという感じです。
#8「地平線の見える街」
カントリーロックテイストの楽曲。ここでのペダルスティールギターは、はちみつぱいというバンドやナイアガラ系のセッション等で活躍した駒沢裕城さん。
#9「君と歩いた青春」
このアルバムの中ではいちばん従来の作風に近い気がします。所謂フォーク/ニューミュージックによくありそうなメロディですが、シンセサイザーを効果的に用いた叙情的なアレンジによって彼ら独特の雰囲気が出ています。
#10「ふっと気がつきゃ」
アコースティックギターのカッティングが目立っており、何となくネッド・ドヒニーのサウンドを連想してしまいます。ドラム、さらにはマリンバも心地良いプレイを聴かせてくれます。
#11「少しだけの荷物」
最後は静かなバラードで幕を閉じます。より一層切なさを駆り立てるようなストリングスアレンジがとても素晴らしいです。
アメリカのウエストコーストロック/AORを意識したアレンジと、逆にそれらのミュージシャンには出せないような日本特有の叙情的な感性が絶妙にマッチした唯一無二のサウンドが愉しめる傑作だと思います。
以下、今回の関連作品です。
