我輩は味噌である。名前はまだない。
某有名メーカーの新作サンプルとしてこの世に生を受けた。
世の健康ブームにより減塩の一途を辿る運命となった我々味噌は個性と言う名の塩味を削りとられどちらを見渡しても似たような酵母で溢れるようになった。
いつからか世は味噌の大切さを忘れるようになってしまった。
誰かが立ち上がらなければならない。
宿命を背負って生まれた味噌が我輩だ。
我輩は全ての味噌を統一するために生まれたのだ。
正に味噌界の天下統一である。
我輩はベーシックである。名前はまだない。
研究者の人間達は我輩の事をこう呼ぶ。
普通...と。
勿論食品である以上は旨いといって人を喜ばせたい気持ちはある。
しかし我輩に与えられた役割は味噌の天下統一である。
味噌のスタンダードであるべき我輩は普通こそが最大の賛辞であり天下統一し、長年愛された果ての旨いという言葉を求めて生きていくのである。
待っていろ全ての味噌達よ。
減塩の果てに見える光明を我輩が与えよう。
我輩が世間に発表される日が待ちどうしい。
2034年 味噌
三日後彼は研究員の満場一致で没になった...。