NHK-FM「ブラボー♪オーケストラ」

佐渡裕&PACオーケストラが奏でるチャイコフスキー
初回放送日:2024年7月14日
 

チャイコフスキー:

交響曲第4番ヘ短調作品36
 

佐渡裕 指揮

兵庫芸術文化センター管弦楽団
(2023.9.8 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)

 

 

NHKによるライヴ収録を聴き逃し配信で。チャイコフスキーの交響曲第4番は、好きな曲すぎて、あるポイントを聴くと自ずとどんな演奏なのかが見えてくる、と言ったらちょっと通ぶっているようで嫌味だろうか。

 

冒頭の序奏部はゆったり柔らか。女性的とも言える。ホルンの音色は暗めだが、変な感じではない。逆「井上」的なアプローチ…と言ったら、井上ファンには叱られてしまうのか、それとも肯首してくださるのか。

 

それにしても、今年、小澤征爾が鬼籍に入り、1990年代から期待されていた「次の世代」の日本人音楽家の動向を考える機会が、音楽ファンには少なからずあった。

 

結論めいてしまうが、「世界的に」「メジャー級に」活躍した人はいなかったように思う。もちろん、国内では大きな存在感を示す人はいた。しかし、ベルリンだ、ウィーンだ、パリだ、アメリカ・メジャーだ、などと恒常的に騒がれることはなかった。

 

なんか寂しい。

 

佐渡裕のチャイコフスキー第4番は、第2楽章に移った。5番とは異なり、序奏なしのオーボエ・ソロ。ゆっくりとした演奏だ。昔の携帯電話には自分で着メロを作る機能があって、一時期、ここのメロディーを着メロにしていた頃があった。そのくらい、好きだ。

 

イーブンの(割り切れる)リズムの背後で、管楽器に三連符を吹かせる音符が、チャイコフスキーにはよくある。5番とか白鳥の湖などがそうだが、この楽章にもPiu Mossoの途中に出てくる。当所では「息が吸えそう」なので、スコアを見ていても苦しくならないで済む(笑)

 

終楽章は中庸。すげえ速いとそれはそれで興奮するし、多少アンサンブルが乱れったって許せてしまうのだが、兵庫県では安全運転が美徳である。…と思いきや、ロシア民謡「白樺」の主題では、テンポをグッと落とした。そして、コーダは超加速。これは、現場ではブラボーです。

 

生で聴きたかった。

 

このブログでは何度も書いているが、チャイコフスキーの交響曲第4番は、小澤征爾指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏(1988,DG)が超絶・素晴らしすぎて、マイ・リファレンスになっている。近いうちに、聞き直そうと思う。