デイヴィッド・サンボーン/

チェンジ・オブ・ハート(A Change of Heart)

(1987,ワーナー)

 

 

つい2週間ほど前に鬼籍に入られたという情報が飛び込んできた。

 

昭和末期のレコードのことを書き留めているときに、ここに挙げておきたいと思っていたレコードが、ディヴィッド・サンボーンの『チャンジ・オブ・ハート』だった。これは、1987年の発売だから、1988年や1989年の盤に比べれば入手しやすく、数年前に偶然手許にやってきた。

 

 

 

ご多分に漏れず、発売時はCDでレンタルしてカセットで聴き込んだ末、後に改めてレコードで買い直したのである。

 

失恋したばかりの頃にクルマで聴きまくっていた曲なので、その時の傷心を思い出してしまった。しかし、アルバムそのものは悲壮感など微塵も感じない、「ゴキゲンな」「陽気ナンバー」ばかりである。

 

デイヴィッド・サンボーンの名を知ったのは、その前年に出版されていた、ボブ・ジェームスとのコラボ作品『ダブル・ヴィジョン』が最初だった。フュージョン好きで、小さい頃からエレクトーンを習っていて、ホルンを吹いて、楽典にも強かったKという友人が、CDからカセットにダビングしてくれた。我が家にはまだCDプレーヤーがなかったからだ。

 

 

高校生の時にこういうのを聴けたことが、ほんとうにいろんなところに影響していると、自分でも思う。チック・コリア・エレクトリック・バンドを聴いて、衝撃を受け過ぎて、ベースを辞めてしまった友人のことは前にも書いたが、若人たちには、こういう本物の音楽をどんどん聴かせるべきだと思う。副作用も強いが、人生に効く薬としては最高のものである。

 

で、デイヴィッド・サンボーンを聴こうと思い、サンボーンの当時の最新のリーダー作を買ったわけだったが、聴いてみて、ちょっとイメージと違ったというのが本音だった。

 

もっと柔らかい感じを想像していたら、アメリカン・ロック寄りの乾いた硬いサウンドが耳を刺激した。

 

ガッドも、ジョン・ロビンソンも参加ミュージシャンに入っていた。(1曲ずつだが)

 

いまでは懐かしいサウンドとして、時々再生するのが当たり前になった。

 

偉大な人が亡くなると悲しくなるが、そういう人ほど「遺産」を多く残しておいてくれるので、後代に生まれた私たちは幸せだ。「遺産」は全人類で共有されるべきである。