前の記事:
忘れないうちに書いておかねばならない。昨年末に放送された「ドキュメント72時間」(NHK)の人気投票の特番はたいへん面白かった。
僕はこの番組が大好きなのだ。
最近のドキュメンタリー映像は、変に「作り込み」に凝り、演出者の主張を「意図的に」「劇的に」見せようとする番組が多いように思っていた。
多くのカメラマンが、メイン機材に一眼レフカメラを選び、その動画機能を駆使して「被写界深度の浅い」「劇的な」「映像美」で魅せようとしているが、かえって「みんな同じような映像」に見えて、個性がないと思っていた。
しかし、「ドキュメント72時間」は、違う。
ビデオカメラを使い、基本的にはドローン以外の特殊撮影なし。昔ながらのハンディ、そして、クイックリーなマニュアル・ズームを多用して、「ありのまま」を見せようとしている。
この手法は、いずれ戻ってくる(回帰してくる)のではないかと、僕は睨んでいる。何度も言うが、とにかく「一眼」で撮ったテレビ番組が巷間に溢れすぎている。どう考えたって、飽きるに決まっている。
(ビデオ時代を知らない)若い世代のクリエイターは、そろそろ(彼らにとって新鮮な)ビデオカメラで作品を作るようになるのではないかと考えている。レコードやカセットテープに興味を持つ心理と、ある意味で同種のものである。
「映画」や「ドラマ」なども、願わくは、ビデオカメラで撮ってほしいと思う。同じような質感の画(え)には、最早、食傷気味な私なのである。