前の記事:

 

前の記事で「秋味のヘッドホン」のことを仄めかし、そのままになっていた。本日、「進展」があったので日記につける。

 

上記の日記の中で、僕が「パラダイムシフト的」に弾けたオーディオ機器と表現したのは、このヘッドホンである。

 

HIFIMAN HE400se

 

平面駆動型のヘッドホン、HIFIMANのエントリー・モデルである。

 

このヘッドホンで初めて聴いた時の感想は、「自然」「ナチュラル」そのもの…だった。「生」の音楽と同じような伝わり方で、耳に入ってくると感じたのだ。

 

好みの問題もあろうが、2万円以上出して普通のダイナミック型ヘッドホンを買うのがばかばかしくなるほどだった。これで、販売価格が16,500円なのだから。

 

そして、今日、上位機種のHIFIMAN SUNDARAを入手した。たまたま見た「amazon ブラック・フライデー」のせいである。通常のamazon価格の23%引き…だなんて、誘惑されない方が珍しい。

 

HIFIMAN SUNDARA

 

SUNDARAを聴いて、HE400seが「エントリークラス」である事由を認識した。HE400seで不満だったところ(例えば、高音域が大人しいとか、ボーカル音域のレヴェルが引っ込んでいるとか、スネアドラムの音が湿りすぎているとか)が、すべて、綺麗に払拭されており、30万円超えの上位機種だったら、いったいどうなっちゃうの?! …という理由の分からないニヤケを伴った「疑問」が湧いてきてしまうのであった。

 

HE400seよりもSUNDARAの方が装着感も良い。ハウジングも薄型になりスッキリしたデザインになった。メタル色でなく、艶消しのブラックなのも良い。

 

ヘッドホンのレヴューでは、しばしば「まるでスピーカーから聞こえる音のよう!」っていう評言が実力のバロメーターとされるところであるが、平面駆動型のHIFIMANの場合は、そのような次元を、エントリークラスの機種からして、とっくに飛び越えている。

 

SUNDARAの評価を一言で言えと言われたら、僕は次のように答える。

 

「まるで生の音のよう!」

 

ビゼー:

《アルルの女》第2組曲より「ファランドール」

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(1985,グラモフォン)

 

この「ファランドール」での太鼓は「Tambourin」となっていて、フランス語とドイツ語で別の楽器となってしまう。すなわち、本来はフランス語の「プロヴァンス太鼓」だが、ドイツ語では「タンブリン(日本ではタンバリン)」となるため、間違えてタンブリンを演奏するCDがある。このカラヤン&ベルリン・フィル盤も見事に間違えている。

 

 

でも、今日の試聴にはぴったりの演奏だ。テンポが速くなった直後の弱音の「タンバリン」が、超リアルに聞こえる。以前だったら、他の音に埋もれてまったく聞こえないか、無理に高音域を強調した(タンバリンの「リン」の音の輪郭を強めたような)演奏が聴けたばかりであった。

 

それが、HIFIMAN SUNDARAでは、コンサートホールで聴いているようなリアリティーだ。

 

凄い世界に来てしまった。もう戻れないのであろう。僕のラウドスピーカーは、ダイナミック型のDIATONE(三菱電機)のものであるが、「マーティン・ローガン」とか「クオード」とかの中古品を、いずれ本気で探し始めるかもしれない虞(おそれ)が出てきた。

 

これは本当にヤバイ。