ザ・ラスト・ナイト・オブ・ザ・プロムス

 

バリー・ワーズワース 指揮

BBCコンサート・オーケストラ

(1996,PHILIPS)

 

 

イギリスが好きである。イギリス音楽が好きだからイギリスが好きなのか、イギリスが好きだからイギリス音楽が好きなのか、なんだかよく分からなくなってしまった。(たぶんどっちも正しい)

 

秋の夜長は、深夜までこのような音楽を聴いて愉しんでいる。

 

話しはズレるが、深夜の必須アイテムといえばヘッドホン。僕は先般、「秋味」というべきテイストのなかなか魅力的なヘッドホンと出会ってしまった。だから、音楽を聴くことが殊更に愉しい。

 

8月にAUSTRIAN AUDIOと出会い、絶賛したばかりなのに、舌の根も乾かぬうちに、こんな浮気めいた発言をするのは、ちょっと気が引けるのだが。

 

 

あっちのは「夏味」、今度のは「秋味」…ということで。

 

私はこれまで、多くのヘッドホンを使ってきたが、印象に残っている機種はそれほど多くはない。最も衝撃的だったのは、2000年ごろのAKG K501だった。

 

そして、再び、パラダイムシフト的に僕の中で何かが弾けたのが、今回出会ったヘッドホンだったというわけだ。

 

そのヘッドホンについては、次の機会に書き留めることにして、話を戻し、当盤、「プロムス」の演奏曲をレコーディングした1996年発売のアルバムについて感想を書いておこう。

 

バリー・ワーズワースの名を初めて聞いたのは、1990年代の初めごろに、下のディスクを輸入盤で買ったときのことだ。

 

 

ニュー・クイーンズホール管弦楽団は、ピリオド楽器を使ったオケで、このディスクも非常に透明な響きがした。

 

プロムスのラスト・ナイトみたいな音楽祭が日本であったとしたら、国体的な演奏曲として、いったいどんな音楽がピックアップされるべきなのであろうか。

 

僕的には《君が代行進曲》(作曲:吉本光蔵)は外せないだろう。「軍艦マーチ」でもいいが、しかし、ある世代以上の者にとっては、パチンコ屋のイメージが強すぎて、「国体」が崩れる心配の方が勝る。

 

このディスクを買ってホントに良かったと思うのは、エルガー作曲の《2つの小品 作品15》「朝の歌」(Chanson de Matin)という曲と出会えたからだ。

 

この曲は、僕のエルガーに対するイメージを崩すのに大いに役立った。非常にメロディアスでロマンティックで優雅。交響曲や《威風堂々》に見えるようなモヤモヤ感やマエストーソ感が微塵もなく、ただただ穏やかな陽光を思わせるのみ。

 

他にもイギリスっぽい曲が多く収録されている。《威風堂々》は歌付きのヴァージョンである。イギリスの国民が羨ましい。非常に個人的な意見だが、僕は日本で同じようなコンサートがあれば、前述した《君が代行進曲》を、歌入りで歌ってみたいと思う。

 

《君が代行進曲》は海外の軍楽隊も演奏する名曲である。