あるYouTuberの方の意見によると、「アンプには(固有の)音色はない」のだという。

 

たしかに、「アンプはダンピング・ファクターの音を聴いているに過ぎない」という結論には相応の説得力があるなあと感心する。一方で、自分みたいな文系人間には(理論が分からないからこそ)、魅惑的な「マジック・ワード」にも聞こえてしまう。

 

マジック・ワードとは……

①すごく意味がありそうなのによく考えるとわからなくなる、いわば思考停止を招く言葉。

②一見正しい主張のように思われて、じっくりと聞き直してみると具体性に欠けているような言葉。 

(引用元:https://amzn.asia/d/6gftGkl

 

私のスピーカーは、下記リンクにあるように、DIATONE DS-700Zである。現在、なんの不自由もなく音楽を愉しんでいる最中であるが、実はちょくちょくアンプを繋ぎ換えて、気分を変えている。

 

 

 

しかし、そうやってアンプを繋ぎ換えても、多くの場合は単なる「気分転換」の域を出ず、それこそ「見た目」で音楽を聴いているような状況に近い。

 

ただ、アンプを繋ぎ換えた途端、驚くほどの「良音」「美音」の類いが飛び出してきて、「ああ、アンプを換えるのは愉しいなあ!」と感激させられることもある。

 

その多くは舶来品の場合で、最近では、フランスの「atoll」に換えた時がそうだったし、その次に入手した英国の「creek」のアンプも良かった。オイシイ音を余すところなく伝えてくれているようで、妙にウキウキしたのである。

 

どちらのアンプも、欧州製お得意の「薄型」デザインであり、その見た目で「スッキリ」聞こえるのかもなあ…と思ったこともある。「では実験」とばかりに、ここんところ、松下製の1980年代のエントリー機(下記↓)=「薄型」に属するモデルを、ガンガン聴きまくっていた。どれも定価が3万円~6万円のグレードだ。

 

Technics SU-Z55 (1983年)

Technics SU-V5 (1980年)

Panasonic SU-V460 (1989年)

Technics SU-V7 (1980年)

 

そして、その流れから、下記のアンプと出会うこととなった。

 

「やっぱアンプの音色ってあるんじゃね?」

 

…そう確信したくなっちゃうような出逢いであった。

 

"Technics SU-A900"(メーカーHPより)

 

これも旧・松下電器が造ったインテグレーテッド・アンプであるが、エントリー機よりもちょっと上のモデルで、定価が74,800円だった。

 

同社のこのラインで、初めてリモコンがついた機種だ。1993年発売というから、ちょうど30年前のアンプである。こんなものを求めるなんて、つくづく自分のみょうちくりんな「癖」(へき)に呆れるばかりである。

 

ともかく、これに繋ぎ換えた時は凄かった。

 

興奮していて、まだ感想が整理できないので、片言でキーワードを書き留めておく。

 

「ノイズがまったくない」「静寂」「森閑」「透明」「見通しが良い」「聞こえる」「全部聞こえる」「音が繊細」「なよ竹」「ピュア」「純水」「たをやめぶり」「優雅」「綺麗」「奥ゆかしい」…etc.

 

不思議なのは、非常に「おとなしい」印象なのに、「音が全部聞こえる」ということだ。相矛盾する要素を、二つながら叶えているというのが素晴らしい。この辺りがエントリー・クラスとの違いなのだろうか。だとすると、その要因はいったい何なのだろうか。

 

部品? 回路? 新しいテクノロジー…?

 

それとも…。

 

やはり「ダンピング・ファクター」なのだろうか。 

 

"Technics SU-A900"

"Panasonic RS-BR465"

 

"Technics SU-A900"