タイトルへの答えは、「どうやら信じてもいいみたいだ」である。

 

20代の時、自宅の6畳洋間で聴いていたあの頃の音を再現してみたいと、ずっと思っていた。

 

それこそ、「ずっと」なのであるが、それを強く意識したのは、オーディオ機器に対して、どんなに「お金」を掛けても、なかなか理想の音を超えられない…否、それ以前に、20代の頃に自室で聴いていた「あの音調」にすら近づかない…ということを自覚し出した頃からだ。それから、ざっと15年は経過していようか。

 

つまり、20代の頃に聴いていたスピーカーの音が、私にとっての理想だったのだ。

 

1993年(平成5年)、とにかく時間をかけて試聴をして、購入したモデルだった。三菱電機・ダイヤトーンのDS-700Zという、ペアで13万円のスピーカーだった。そのあたりの事情は、2年ぐらい前に昔話として書いたことがある。

 

 

2年前は、700Zを買わずに、妹機のDS-200Z の中古を手に入れた。結論としては、音の傾向は同方向だったが、やはり大型3ウェイとは似て非なるものであった。

 

私の現在のリスニング環境は、賃貸マンションの6畳間の半分のスペースしかないから、大型は、そもそも諦めていた。だから、DS-700Zを再び手に入れようなどという発想がなかったのだ。

 

考えれば、それが良くなかった。

 

これまで、「お金をかけて」あれこれと「とっかえひっかえ」してきたのは、「13万円であの音だったんだから、もっと出せば、もっといい音になるに違いない」という思い込みが心の奥底に存在したからだ。

 

しかし、なかなか気に入った音で鳴らない。

 

すると、こう考えることになる。「そもそも、僕の昔の音の記憶が間違っているのかなあ…」「耳が肥えたのかなあ…」「昔が美化されてるのかなあ…」「加齢によって聞こえ方が変わったのかなあ…」

 

「答え合わせ」をするのは簡単である。実際にDS-700Zの音を聴いてみればいいのである。しかし、設置するスペースが…。

 

こんな自問自答の繰り返しで、現在まで来た15年間だった。

 

ところが、そんな生半可なマニア根性に終止符が打たれる日がやってきた。それが昨日、記念すべき2023年1月15日だった。

 

世の中には親切な御仁がいらっしゃるものである。その方のお蔭を以て、我が部屋に懐かしのDIATONE DS-700Zが、搬入されることとなったのである。

 

DIATONE DS-700Z(1992年発売)

 

「再会」という気持ちだ。

 

とにかく狭い部屋だ。実質3畳である(笑) こんな場所に設置してちゃんと鳴るのだろうか。そして、「昔の音の記憶」は正しいのであろうか…。

 

ケーブルは、ノジマ・ブランドの「Elsonic」の細いOFC(5m×2)、さすがにベタ置きはマズイと思って、手持ちの5cm角の角材を三点支持で敷く。しかし、スペースがなく、ステレオ・イメージを構築できるような配置ができず、「対向配置」(=RとLを向かい合わせて、私がその真ん中で聴く)である。セオリーもなんもあったもんじゃない。

 

懐かしい人と再会したと喜んでいる割には、あまりにも酷い歓待ぶりと言えなくもないが、そこは「逸る気持ち」の証として許してもらうとして、さっそく音出しだ。

 

 

その「解答」は、冒頭に述べたとおりである。

 

もはや、最終的な「答え」にもなってしまっていて、もうこれ(=DS-700Z)で何の不足があろうか、いや不足があろうはずがない…という古風な反語表現で言い表したい雰囲気なのである。

 

拍子抜け感もすごい。だって、僕は24歳のとき、マジで「オーディオはここからスタート」と思っていたんだもん。まさか、最初から「ゴール」地点に居ただなんて…

 

容易に納得できない部分もあるのだ。

 

結論は、じっくり試聴して気に入って買ったなら、それを信じてずっと所有していなさい、ということだろうな。もっといい音があるんじゃないか、なんてスケベ心を出して機器に投資しだすと、ろくなことにならないということだ。

 

あれだけ、悩んで試聴して、そして「えい!」って決めたんだから、最後まで大事にしろよ! ってことだよね。

 

私は、妻だけは結婚以来24年間、ずっと大切にしています。それだけはここに書いておきたいと思います。