強靭な音に溺れながら
自らの狂気を撒き散らすように歌う大江慎也
その姿は巨大な怪物にも脆弱な小動物にも見える
この不安定さこそがTHE ROOSTERSの魅力なのだ

[text●i.akira]

THE ROOSTERSの結成30周年を記念して、2009年12月29日に福岡サンパレスで開催された一夜限りの再結成ライブを収めたDVD。長いキャリアに裏打ちされた花田裕之、井上富雄、池畑潤二の3人が響かせる強靭な音に溺れながら、自らの狂気を撒き散らすように歌う大江慎也。その姿は、巨大な怪物にも脆弱な小動物にも見える。この不安定さこそ彼らの魅力であり、THE ROOSTERSなのだと思う。全盛期の彼らをここで観ることはできないが、パンドラの箱を開いてしまったような当日の緊張感や高揚感を十二分に味わえる作品である。あえて代表曲(「恋をしようよ」など)を封印し、結成当時の彼らが敬愛していたカバー・ナンバーなどを好んで演奏しているのもおもしろい。インタビューやオフ・ショットも充実しており、いろんな角度から2009年のTHE ROOSTERSを楽しめる。

THE ROOSTERS WEB SITE→ http://www.breast.co.jp/bmtunes/roosters/ 

IN THE MOTION [DVD]/THE ROOSTERS

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スロウで単調な
最小限の音だけで作られた
“睡眠導入剤”のような音楽

[text●k.ryo]

「好きな音楽が、自分にフィットする」ということを文字で語ることに、今は興味がない。

酒のつまみになる。
寝る前に合う。
なぜ合うかは、聴く人の音楽遍歴次第かな。

この音源は、1曲10分以上。
スロウで単調な、最小限の音だけで作られた“睡眠導入剤”のような音楽です。

このほかにもイーノは、アンビエント(癒し系)の先駆けといえる作品がたくさんあります。
その気持ちよさが、ロックの文脈であれ、現代音楽であれ、なんでもいい。

ミュージック・フォー・エアポーツ(紙ジャケット仕様)/ブライアン・イーノ

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ザ・プラトウ・オブ・ミラー(紙ジャケット仕様)/ブライアン・イーノ

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オン・ランド(紙ジャケット仕様)/ブライアン・イーノ

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DAD MOM GODライブレポート(2010年5月4日 東京LIQUIDROOM公演)

とんでもない爆発力と
熱気を帯びた音に飲み込まれていく感覚が
とにかく気持ちいい

[text●u.junko]

元東京スカパラダイスオーケストラの冷牟田竜之が、新たに(ソロプロジェクトとして)結成したバンド・DAD MOM GOD。その初のツアー「Kicking for Kicks TOUR」の初日、LIQUIDROOM公演を観た。

ライブメンバーには池畑潤二(ROCK'N'ROLL GYPSIES)、森雅樹(EGO-WRAPPIN’)、ウエノコウジ (the HIATUS)、そしてホーンセクションには、タブゾンビ(SOIL &“PIMP”SESSIONS)、サックスに田中邦和、青木ケイタを迎えた。この布陣で聴かす音といったら硬質なロックしかないと、勝手な期待を膨らませていたものの、これが確信に変わったのはオープニングから間もない、一瞬のことだった。太い音なのだが、どこか繊細で危うい緊張感がみなぎっているし、“なんて狂暴な!”と思わず息を飲んだ。“尺は短いけど”という冷牟田のMCどおり、スカパラ時代の曲のカヴァーを含め1時間ちょっとのライブは、生ぬるさは一切ないままに突き進む。それぞれがキャリアのあるメンバーなので、当然ながら新人バンドのような新鮮さはないにしろ、強者ぞろいであるがゆえの安定感がある。しかし、それは守りに入るとかでは決してない。ただただ響く、とんでもない爆発力と熱気を帯びた音に飲み込まれていく感覚がとにかく気持ちいい。

“元スカパラ”なんて言葉はいりません。まったく新しいバンド(プロジェクト)が誕生したことを実感するとともに、このバンド(プロジェクト)がどんな変化をしていくのか。ひたすら今後が楽しみになる一夜だった。

DAD MOM GOD 「Kicking for Kicks TOUR」
2010年5月04日(火) 東京/LIQUIDROOM
2010年5月15日(土) 福岡/DRUM LOGOS
2010年5月17日(月) 大阪/心斎橋・クラブクアトロ
2010年5月18日(火) 愛知/名古屋・クラブクアトロ


WEB SITE→ http://www.2010taboo.com/ 

Poems like the Gun/DAD MOM GOD

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うまくいく保障なんてどこにもない
でも彼女はどんなことにも楽しそうに向かっていく
失う恐怖よりも
掴み取る未来にすべてを注いでいるのだ

[text●i.akira]

30年以上のキャリアを誇る日本を代表するロックンロール・バンドSheena & The Rokketsのボーカリストであり、ギタリスト鮎川誠の妻であり、3人の娘の母であるSheenaが自らの半生を赤裸々に語った自伝。

裕福な家庭に育ち、人を楽しませることや歌うことが大好きな少女。その少女が経験するロックの衝撃、家出、運命的な出会い、結婚、出産、デビュー、そして現在。

決して楽しいことばかりじゃないし、うまくいく保障なんてどこにもない。

でも彼女はどんなことにも楽しそうに向かっていく。失う恐怖よりも、掴み取る未来にすべてを注いでいるのだ。今の時代、こんなにも人生を謳歌している人はなかなかいないように思う。
どのページにもポジティブなエネルギーが詰まっていて、読んでいるこちらまで楽しくなってくる。

「振り返っても、未来を見ても、いつも最高」だと彼女は言う。
いつだって全力で生きてきたからこそ言える言葉だ。

愛する歌と家族たちと寄り添いながら今なおロックし続ける姿はまぶしいくらいにかっこいい。

Sheena & The Rokkets
OFFICIAL WEB SITE→ http://www.rokkets.com/ 


YOU MAY DREAM
ユー・メイ・ドリーム
―ロックで輝きつづけるシーナの流儀/シーナ(シーナ&ロケッツ)

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essayでひと休み

Vol.2会社
[essay●w.hikaru]

悲しいかな、会社員はときに会社という共産主義国の国民となる。

何も見ず、何も耳にせず、前だけを向いて社会に参加することは無理だ。
自己の思想や妄想だけで社会との関係を築くことができれば、いまの世の中にこんなにも精神科のクリニックは溢れていない。
宗教法人でも立ち上げない限り、真の理想郷は遠い夢であると思う。

だからほとんどの人が仕事をバーターとして社会と繋がり、自我の均衡を保っている。
やり方はさまざまだが、その多くが会社という営利を目的とした集団に属する。

もちろん私もそのうちのひとり、いち会社員だ。

勝間和代のベストセラー「断る力」にこんな一節がある。
「人に無理に合わせようとすると、組織もあなたも疲弊する」
いまや知らぬ者のいない超合理主義の彼女が、仕事の生産性を上げる最も重要で、かつ効果的な秘訣が「断る力」なのだと断言している。

正直、それには全くピンとこなかった。
私にとって会社とは、断る場所ではなかったからだ。
これまでの私の経験や周囲の人間の行動からいっても、会社でどんなことを命じられても断る人間などいなかったし(もちろん法の許容範囲内で)、

断る・・・何を?

といった具合に、自分でも気づかないうちにバカになっていたように思う。
しかしこれは私の脳の萎縮でも退化でもない、もっと恐ろしい事態の発覚だった。

そもそも私がバカになった錯覚に陥ったのには、これまでの仕事は断る理由が見つからないほどの陳腐なものばかりだったということもある。

「断る力」を行使できる人種というのは限られていて、専門職(スポーツ選手や限られたジャンルの研修員等)でない限り、人はまず仕事を断れない。
なぜならばいまの世の中、自分の代わりなど掃いて捨てるほどいるからだ。

個人の資質に頼らなければならないほど、一般企業はヤワではない。

つまり会社とは、適材適所の配置を取りつつその人材の思考までもを統制する力を有しているのだ。
自分のポジションを必死に守ろうとする人間の猛々しさたるや・・・もちろん自分も例外ではない。

無意識に社員をバカに洗脳するには会社から放り出される恐怖心を植えつけることが鉄則のようだが、これまでを振り返ると、それに加えて圧政時代のプロパガンダにも似たネガティブキャンペーンが繰り広げられてきたように思う。
それは出世欲の塊のような人間が、会社への強い忠誠心を周囲に嫌というほど見せつけ、会社に逆らう、仕事を断ることを絶対悪とする方法だ。

数々の猛者どもが私の前に立ちはだかり、勧進帳の弁慶ばりの大立ち回りを演じてくれた。

そろそろ重要無形文化財に指定されかねない某支店長をはじめ、次回からは私が職場で出会った偉大な歌舞伎者たちのエピソードをご紹介しつつ、会社という一大国家の在り方を紐解いていきたいと思う。

断る力 (文春新書)/勝間 和代

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