2011年は岡本太郎生誕100周年!

生きた様が 
それこそ目の前に示されるような鮮やかさで描かれる 
そして、いちいち胸に刺さる言葉の羅列 

[text●h.mariko]

エッセイはあまり好きではない。
特に、その人の価値観を押し付けてくるような強引さがある文章は苦手だ。また、妙に影響されてしまうような力がある文章も苦手だ。だから、手に取る事が少ない。
が。この本。なんと、大胆なタイトルだろうか。
そして、かの岡本太郎氏の著作。
お亡くなりになったはず? と思いながら読んでみると、 元々昭和50年(1975年)に出版されたエッセイ集「にらめっこ」の再構築版だそうだ。

さて、岡本太郎と言えば、太陽の塔のデザインをした人。芸術は爆発だ、と言った人。世界的に有名な芸術家であるというくらいしか予備知識がない私。
文章も、爆発していた。生きた様が、それこそ目の前に示されるような鮮やかさで描かれる。
そして、いちいち胸に刺さる言葉の羅列。
巴里(敢えてこう表記したい)での生活、戦争での体験、食生活、など。
庭に来るカラスにお酒をやってみたり、猫と喧嘩したり、とにかく何をしていても楽しそうだ。失恋でさえ。
ご両親が有名人だと同じ道を歩む人と違う道を歩む人とが いる気がするが、この人は「岡本太郎」という生き物だったのだろう。
よくも悪くも親と比べられることもあったろうが、そんなことは微塵も感じさせない個性。正に、爆発、という言葉が相応しい。
“いのち”があまり大切にされなくなった昨今。
もう一度、与えられたいのちの重さと、激しさとを感じるべきなのかもしれない。

岡本太郎記念館→http://www.taro-okamoto.or.jp/
川崎市岡本太郎美術館→http://www.taromuseum.jp/

人間は瞬間瞬間に、いのちを捨てるために生きている。
(文庫ぎんが堂)
岡本 太郎

¥630
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2007年10月12日米国公開/2008年12月20日本公開作品

とてもおかしな 
だけどとてもあたたかな 
愛と成長の物語 

[text●i.akira]

まじめで物静かな好青年だが、なぜか女性との接触を拒んでしまう主人公ラースに突然恋人ができた。ビアンカという名の彼女は、スタイル抜群だけど無口で無表情なおとなしい、車椅子に乗った女の子。ふたりは一緒に買い物したり、ドライブしたり、パーティでダンスしたり、寄り添って寝たり・・・。それはどこにでもあるような恋愛の日々。しかし、おかしな点がひとつ。それはビアンカが人間ではなく、人形(はっきり言ってしまえば、ダッチワイフ)だからだ。

自分と向き合うためにビアンカを生んだラース、そんな彼を理解できないまでも、優しく芝居を打ってやる町民たち。心の病を抱えたひとりの男とダッチワイフの妄想劇に、町中が巻き込まれていくというなんともおかしなストーリー。でも、そんな突飛な内容とは裏腹に、ゆっくりと静かなトーンで語りかけるように物語が展開していくのがおもしろい。そして、その中心にはいつもビアンカが存在している。現代社会において希薄になりがちなコミュニケーションや人と人のつながりが、ビアンカを通じて見えてくる。

Lars and the Real Girl(原題)
クレイグ・ギレスピー(監督)
ナンシー・オリバー(脚本)
[cast]
ライアン・ゴズリング
エミリー・モーティマー
ポール・シュナイダー


ラースと、その彼女
(特別編) [DVD]

¥3,990
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本屋大賞第1回もよろしく

文章が出逢わせてくれる不思議な縁
これからも本屋大賞に注目したい

[text●h.mariko] 

今年(4月20日)も本屋大賞(冲方丁著「天地明察」角川書店刊)が発表された。まだ手にも取っていないのだが、本屋大賞は今いちばん注目されている本の賞と言っても過言ではない。何せ、「書店員がいちばん!売りたい本」という触れ込みである。どんなに評論家が推しても売れない本は売れない。それを、「売りたい=読んでほしい本」という新しい切り口で注目を浴びる事に成功した賞とも言えるだろう。(今年は全国から1157人の書店員がエントリー、1次投票は全国323書店より385人が投票参加、ノミネート作品をすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票する2次投票には304書店より350人が参加)

本屋大賞を受賞した作品は殆ど読んでいるが、やはり印象深いのは第1回目の受賞作、小川洋子の「博士の愛した数式」。数学と文章という一件相反して見えるものを見事に繋ぎあわせた作品は多くの人の心を掴んだ。最近、同作に登場する数式「オイラーの法則」という数式にも注目が集まっているらしく、「オイラーの贈り物」が平積みになっているのを見かけたばかりだ。数学など全く興味がないにも関わらず、ちょっと手を伸ばしてしまった。文章が出逢わせてくれる不思議な縁。これからも本屋大賞に注目したい。

博士の愛した数式
小川 洋子

¥1,575
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博士の愛した数式
(新潮文庫)
小川 洋子

¥460
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2010年本屋大賞
大 賞 「天地明察」冲方丁著/角川書店刊
 2 位 「神様のカルテ」夏川草介著/小学館刊
 3 位 「横道世之介」吉田修一著/毎日新聞社刊
 4 位 「神去なあなあ日常」三浦しをん著/徳間書店刊
 5 位 「猫を抱いて象と泳ぐ」小川洋子著/文藝春秋刊
 6 位 「ヘヴン」川上未映子著/講談社刊
 7 位 「船に乗れ!」藤谷治著/ジャイブ刊
 8 位 「植物図鑑」有川浩著/角川書店刊
 9 位 「新参者」東野圭吾著/講談社刊
10位 「1Q84」村上春樹著/新潮社刊
2008年公開・ドキュメンタリー

今という時代に生きる我々が触れるべき
歌声とライフスタイルが
ここにある

[text●i.akira]

マサチューセッツ州ノースハンプトンで生まれた“ヤング@ハート”は、どこにでもいる元気なおじいちゃんとおばあちゃんで構成されたコーラス・グループである。ただ普通じゃないのは、彼らのレパートリーはThe Clashの「Should I Say Or Should I Go」やThe Ramonesの「I wanna be sedated」など、ロックの名曲たちだということ。もちろん簡単に歌えるわけではない。ロックをたいして好きなわけでもない彼らは、演出家であり指揮者であるボブ・シルマンのもと、難しい曲に文句を言ったり歌詞を忘れたりしながら何度も練習を重ね、やっとの思いで歌えるようになる。そこまでする理由は簡単、歌うのが大好きだから。平均年齢80歳の彼らが真剣に楽しく歌っている姿は、可愛くもあり、かっこよくもある。なかには「歌を通じて自分のなかの世界を広げたい」なんて話しているメンバーもいるのだから頭が上がらない。

しかし、楽しいことばかりではない。高齢ということもあり、寿命や病気で亡くなってしまうメンバーもいる。そんなときでも彼らは悲しみに浸ることなく歌う。観客のため、自分たちのため、天国に召されたメンバーのため、楽しく歌いながら先へと進み続ける。
心不全を患いながら限定復帰したメンバーのフレッド・ニトルが歌うColdplayの「Fix You」は個人的にハイライトと呼べるほど心を揺さぶられた。

老いとは怖いものかもしれない。時間や体力など、すべてを奪っていくものかもしれない。しかし、彼らは老いになにひとつ奪われることなく人生という青春を謳歌している。命の限りを全身で感じているからこそ、その瞬間まで全力で楽しく生きようとしている。

[劇中使用楽曲]
SHOULD I STAY OR SHOULD I GO/クラッシュ 
I WANNA BE SEDATED/ラモーンズ 
EVERY BREATH YOU TAKE/ポリス 
GOLDEN YEARS/デヴィッド・ボウイ 
PURPLE HAZE/ジミ・ヘンドリックス 
SOMEBODY TO LOVE/ジェファーソン・エアプレイン 
ROAD TO NOWHERE/トーキング・ヘッズ 
DANCING IN THE DARK/ブルース・スプリングスティーン 
FOREVER YOUNG/ボブ・ディラン 
STAYING ALIVE/ビー・ジーズ 
NOTHING COMPARES 2 U/プリンス 
SHE'S NOT THERE/ゾンビーズ 
SCHIZOPHRENIA/ソニック・ユース 
I GOT YOU (I FEEL GOOD)/ジェームス・ブラウン 
FIX YOU/コールドプレイ
YES WE CAN CAN/アラン・トゥ‐サン


※2010年3月19日~28日まで 
ヤング@ハートの来日公演
「ヤング@ハート Live in JAPAN“Young@Heart is Alive & Well”」が 
行なわれました。


ヤング@ハート [DVD]
スティーヴン・ウォーカー

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1973年制作公開 フランス、チェコ合作/1985年6月29日 日本公開アニメ作品

ヒトはこの世で自分たちがいちばん偉いと思って生きている
それが覆る日はないと信じている
それでほんとに、ツケは回ってこないのか・・・

[text●h.mariko]

今や世界的にアニメーション映画監督としてその名を馳せる、宮崎駿氏。新作「借ぐらしのアリエッティ」も公開日(7月17日)が刻一刻と迫り、今から楽しみに待っている人も多いだろう。
※「借ぐらしのアリエッティ」OFFICIAL WEB SITE

その宮崎氏が「影響を受けた」という、ルネ・ラルー監督をご存知だろうか?

アニメ映画「ファンタスティック・プラネット」が代表作である。これがまた、実に興味深い作品だ。とある惑星が舞台。そこに棲むドラーグ族が星の食物連鎖の頂点に立ち、人間のような姿をしたオム族が虫けらのように扱われているオープニングシーンからいきなりインパクト大。母親を殺されてしまい、ドラーグ族の少女ティバに拾われ、テールと名づけられたオム族の少年の成長と活躍を描く。が、そこに込められた強烈な皮肉にぜひご注目いただきたい。人間はいつしか、この世で自分たちがいちばん偉いと思って生活している。それが覆る日はないと信じている。それを根底から揺るがす作品だ。この発想が1973年にされていたことが驚きである。

ルネ・ラルー(1929年7月13日 ー2004年3月13日)
フランス・パリ生まれ。美術学校で学んだ後、精神病院に勤務。絵画や演劇などの教室で患者の指導にある。1960年、患者たちと共同で初のアニメ短編映画「猿の牙」を制作。その後アニメ作家、監督として独立。1965年「かたつむり」監督。クラクフ映画祭審査員特別賞受賞、プラド・ファンタスティック映画祭グランプリ獲得、トリエス・テファンタスティック映画祭グランプリ獲得。1973年「ファンタスティック・プラネット」監督。カンヌ国際映画祭 審査員特別賞受賞。1982年「時の支配者」監督。1987年 『ガンダーラ」「ワン・フォは如何にして救われたか」監督。

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