時価とはなんでしょうか?
読んで字のごとく『時の価格』ですよね。
人生で最初に時価に触れたのは何でしょうか?
私はどこかの場面で見たお寿司屋さんの時価でした。
大トロとかだったでしょうか?
不動産に視点を当てる何でしょうか?
『一物四価』と言われたりします。
やはり売買価格なんでしょうか?
不動産仲介の大ベテラン方は、
時価とは『成約価格』
と信じて疑わないとおっしゃってました。
我々不動産鑑定士も1番不動産の市況が詳しいのは不動産仲介の方々と理解しておりますので、
精通者意見としてヒアリングをさせていただいております。
ただ、その価格は一定の趨勢があるのは事実ですが、売り急ぎ・買い進みなど人間同士が取引するのですから、当該価格が適正な価格とは限りません。
平均や中央値も適切な価格とは限りません。
では、何が適切な価格とは何でしょうか???
皆さんそれぞれ違う人間ですし、考えも人それぞれです。
人それぞれとって適正な価格の考えがあるかと思います。
私の職業は不動産鑑定士です。
当職は、適正な価格を求めることが仕事です。
不動産鑑定評価基準に下記記載があります。
『現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を不動産鑑定士が的確に把握される作業に代表されるように・・・』
ゆえに、我々が求める価格は
『現実の社会経済情勢の下で合理的な条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格、いわゆる正常価格』です。
その正常価格はどのように求めるのでしょうか?
我々不動産鑑定士にとって大切な視点です。
費用性、市場性、収益性の3つの面からアプローチして求めます。
いくらかかるのか(費用性)
相場はどれくらいなのか(市場性)
いくら儲かるのか(収益性)
これがお互いに影響し補完し合いながら作用しております。(専門職業家にとってこれが非常に大切な事項です)
先に紹介した不動産仲介の方々が把握しているのはあくまで市場性です。
収益物件は収益性を考慮してから価格を求めたかもしれませんが、検証をしてなければ、市場性の視点でしかありません。
我々はこれらに
依頼者の依頼目的、依頼目的の背景、
主たる需要者の視点などなど、
複雑な関係を考慮しつつ、
不動産にかかる各種の要因が、
正常価格を求める不動産にどのように影響するか
比較検討を行います。
FP協会の『遺言』テーマにした集合研修で弁護士の先生が、
『不動産鑑定士の先生は、依頼する時にまず「いくらくらいにします」と聞いてきます』
と言って、求めた価格は筆を舐めてなんとでもなるから、適正な価格とは限らないよ、みたいなことをおっしゃってました。
適正な価格かは置いといて、これは事実です。
1億円の物件を5千万円、1億5千万円
単位を変えて
100億円の物件を30億、極端に200億円だってできます。
我々が求めた価格は全て正解です。
ベテラン、新米であっても不動産鑑定士の先生が求めた価格は全て正解なんです!
ただ、我々は説明責任があります。
また、他士業の先生方、特に弁護士の先生は依頼者の利益を最大化すればいいですが、
我々は当事者公平の立場を守らねばなりません。
お客様あっての商売ですから、説明できる範囲で多少は融通きかせますよ。
でも先ほどの1億円、100億円の物件の話は説明ができ、当事者にとって公平になるでしょうか?
当事者公平の立場になる理由は、我々が求める価格が正常価格だからです。
『現実の社会経済情勢の下で合理的な条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格』を求めます。
ざっくりいうと、皆さんが納得する価格です。
これらの前提があるため、
我々には高い倫理観、日々研鑽に努めることが求められます。
不動産鑑定士は高い倫理観があって、不断の勉強と研鑽によって自己の能力を高めていかなければなりません。
不動産鑑定士は、それでもってやっと不動産の時価が求められるのです。
時価とは、そのときの本当の価値なんでしょうね。
不動産の価格は高いから、価値判断が難しいですね。
費用が〇〇万円かかっても不動産の価格が知りたい場合、是非不動産鑑定士にお声がけください。
最後に、
相続税の不動産鑑定評価における時価評価の場合、税務署から否認させるリスクがあります。
税制の制度趣旨を理解した上で、評価内容をしっかりと説明できれば、当該リスクは全く問題ございません。私なら税務署が100と判断している不動産だったならば、50と評価できる不動産の評価だったら受けます。否認のリスクがあるからシビレますね!
ブログなのに長文にて失礼いたしました。