今回ご紹介するところは、北野天満宮から歩いて堂本印象美術館に向かう途中で立ち寄った小さな神社、金攫八幡宮です。
わら天神と平野神社の中間地点にあります。
京都の社寺の紹介でも、ほとんど取り上げられることはない、地元民のみぞ知るマイナーな神社のひとつです。
名前が「金攫(きんかく)」というので、どうしても「一攫千金」を想起してしまいます。
そのため、御利益は金運アップを期待してしまう訳ですが、八幡宮ですから、そこまで直接的な表現は控えて、出世開運、武運長久と謳われています。
江戸時代に石清水八幡宮から勧請されたことが起源とのことで、全国にあまたある八幡宮のひとつです。
なぜ「金攫(きんかく)」という名前になったのかは謎ですが、歩いて5分ほどのご近所に金閣寺がありますから、そこから付けたのではないかと勝手に想像しています。
西大路通に面した鳥居から入りました。
こじんまりしていますが、きれいに整備された境内です。
向かって右にある大きな木が目立ちますが、クロガネモチです。
クロガネモチは、「黄金持ち(こがねもち)」に転訛して金運アップの縁起のよい木とされていますから、やはり名前にあやかって植えられているんでしょう。
赤い実がなっていました。
本殿をのぞき見ると、八幡宮らしく鳩をデザインした提灯が吊るされています。
八幡宮では、鳩を神様の使い(神使)としていますからね。
鎌倉の鶴岡八幡宮は鳩サブレーで有名です。
この2羽の鳩を良く見ると、向かって左の鳩は口ばしを開き、右の鳩は口ばしを閉じています。
つまり狛犬と同じく、「阿吽(あうん)」になっているんです。
本殿の足元には、円錐形に盛られた立砂がありました。
立砂がある神社は他にもいろいろありますが、ここの立砂はかなり急斜面のシャープな形をしています。
これは上賀茂神社の立砂を想起させるものがあります。
でも良く見ると、形が縦に長いんです。正面から見ると、間口が狭く、奥行きが長い、いわゆるウナギの寝床形です。
京町屋と同じですね。これは場所が狭いからでしょうか?
西大路通側から入りましたが、反対側の鏡石通にも鳥居があり、出入りできます。
上の写真で鳥居の奥の左側に見えるのが、数多くのお地蔵様です。
石像に顔が描かれていたり彩色されていたりする化粧地蔵です。
実は隣に西徳寺というお寺があって、その一部のようです。
でもきっと明治以前には、神仏習合で金攫八幡宮と西徳寺は一体化していたんじゃないかと想像します。