簿記の学習と実務 第16回 | mr-moのブログ

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前回は、決算の概要に触れました。今回は、決算について、もう少し掘り下げていきます。

企業は、出資者が利益からの配当を受け取ることを目的として設立されます。

企業の経営者は、出資された現金=資本金をその企業活動を通じて増やし、その増加部分の差額である利益から配当を行う義務があるのです。

そのためには、損益計算書、貸借対照表という財務諸表を作成し、出資者に企業活動の成果を報告し、配当を実施しなければなりません。

この報告をするために帳簿を一旦締めて財務諸表を作成する行為が決算です。

前の回で、「3つの会計公準」に触れました。1)企業実体の公準、2)貨幣評価の公準、は説明しました。

ここで、3)継続企業の公準(会計期間の公準)の説明が必要となります。

企業は出資者が利益から配当を受け取るために設立され、その企業の経営者は、出資者から利益を得るための経営を委託されます。しかし、企業は設立され、継続した企業活動から利益を獲得しますが、その活動期間は、設立後、倒産しない限り、永遠に継続します。これを「継続企業」といいます。

一番最初に説明した文化祭の模擬店であれば、1日~2日程度で、開店し閉店します(企業設立、企業清算)。ですから、元本の現金残高と、閉店後の現金残高を比較すれば利益の計算は簡単にできました。

しかし、実際の企業は、永遠に継続することを前提に設立されます。そうなると、企業を清算して、元本の現金と企業清算後の現金を比較して利益を求めることは、企業を設立した目的から考えると、実行不可能となります。

そこで、簿記では、会計期間が必要となってくるのです。その企業活動の成果をその会計期間ごとに決算を行い利益を確定して配当を実施することが必要になってきたのです。つまり、「継続企業の公準=会計期間の公準」ということです。

簿記は、イタリアのベニスで15世紀に使われていたことがわかっています。その当時のベニスでは、地中海貿易が盛んで、船を仕立てて、ベニスの特産品を中東に運び、中東から特産品を持ち帰ってきて売却する商売が盛んでした。この商人たちは「冒険商人」と呼ばれ、その冒険商人に出資していた中心的存在がカソリック教会でした。カソリックでは、お金を貸して利息を取ることは「罪」であるとされていましたので、「出資」というお金を相手に与え、配当を受け取る形がとられたのです。冒険商人が元本を不正に使用していないことを証明しおよび利益をいくら稼いだかを報告するために簿記が発達したのです。これはベニス式簿記と呼ばれ、簿記として完成していました。

そして、この当時は、一航海ごとに(出資された現金を使用して、ベニスの特産品を仕入、船を仕立て、船乗りを雇い、ベニスを出発し、その特産品を行先で売却し、その現金で現地の特産品を仕入、再びベニスに戻ってきて、持ち帰ってきた特産品と船を売却し、船乗りに賃金を払い、全てを現金に戻すまで、現金で清算していましたので、会計期間は、「一航海の期間」でした。

現代では、1年間が会計期間として定着しています。この会計期間を「事業年度」ともいいます。

以上が「継続企業の公準」です。そのため、「会計期間の公準」とも言われます。

 

春真っただ中、熱くなりました。自転車で散歩に行き、半袖で、過ごしたら、腕に軽いやけどを負いました。