B'z「GOLD」レビュー 歌詞 意味 ゴールド bz | A Flood of Music

今日の一曲!B'z「GOLD」

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 2.0の第二十弾です。【追記ここまで】

 本日の出目は【6, 10, 7, 2】だったので【3rdの079番】の楽曲、B'zの「GOLD」を紹介します。

GOLD/B’z

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 「GOLD」(2001)はB'zの32ndシングル曲で、超有名曲「ultra soul」(2001)の次にリリースされたということもあり、ファンでない人の間でもそこそこの知名度を誇っているのではないでしょうか。

 両曲共に「2001年世界水泳選手権」のテーマ曲でしたし、c/wには「ultra soul ~Splash Style~」というバージョン違いも収録されているので、当時の感覚としても「GOLD」は「ultra soul」を補完する楽曲であるというイメージです。

 時期としては12thアルバム『GREEN』(2002)に収録されるはずのナンバーですがこれは見送られたため、アルバムとしては『The Ballads ~Love & B'z~』(2002)というベスト盤にて初収録という、変則的な収められ方をしているのも特筆すべき点です。従って、オリジナルアルバムにしか手を出していないという場合には聴き逃すことになってしまいますね。




 タイトルの「GOLD」ですが、僕はずっとそのまま「黄金」のことだと解釈していました。或いは大会絡みで「金メダル」かと。しかしwikipediaを見ると『イタリア語で「朝の光』という意味』と、気になる記述(疑わしいという意味で)があるんですよね。

 何のソースも示されていませんし参考文献等も載っていないため真偽の程は定かではありませんが、全く根拠も無しにこのような記述をするとも思えないので、当時の雑誌か音楽番組でのインタビューあたりで語られていた情報なのかな。一応自分でも調べてみましたが、ネット上ではこのwikipediaの記述を一次ソースとしている情報しか拾えませんでした。

 言語の面からもアプローチをかけてみましたが、伊語の'gold'に「朝の光」という意味があるというような記述は、(本件に係るものを除いては)認めることが出来ませんでした。というかそもそも伊語に'gold'という語彙があるのかすら怪しい。「黄金/金色」は'oro'ですし、「朝の光」というのを直訳してみても'gold'というスペルは出てきません。

 歌詞にも"朝の光"という言葉が登場しますし、それを指して'gold'と表現するのは至極普遍的な感性だと思うので、イタリアに於いて英語の'gold'がそのような意味で使用されているという可能性はなくはないと思いますが、その辺は伊語に明るい方でないとわからないでしょう。方言や古語だったとしても同じくです。

 これ以上は調べようがないのでまとめますが、「GOLD」と「朝の光」を重ねるのは充分理解可能な感性ながら、「伊語で」というのは一体何処から降って沸いた話なのかまるでわからないということですね。「象徴的な意味合いを持つ」程度の話が誇張されているのだろうか。



 …側の話はここまでとし、肝心の中身を見ていきましょう。ストリングスが印象に残る幕の開け方ですが、静謐と荘厳が同居しているかのようなドラマチックな予感を覚えるイントロだと言えますよね。

 まさに「夜明けの光」というイメージがぴったりだと思うのですが、続く歌詞の内容的には全く逆の「沈みゆく陽」を表現しているのでしょう。何れにせよ「太陽」に絡むアレンジだということには得心がいくような、表現力豊かなストリングスであると評します。


 そんないきなりクライマックスの感があるイントロが終わり、満を持して稲葉さんの歌唱が始まるわけですが、今度は一転してピアノのみの穏やかな編曲となり、優しく寄り添うような歌詞と相俟って歌がストレートに心に響いてきますね。

 サビに入るとB'zらしいロックスピリッツが顔を覗かせます。普通であればメロディラインの華麗さに対してエレキギターの音は浮いているように思ってしまいそうですが、B'zはそのあたりのバランス感覚が巧いのか、J-POP的な聴き易さとサウンドのヘビーさの調和が見事だなと思います。

 歌詞ではラスサビ前Bメロの"惜しまずに 自分に火をつけて/私を染めていった あなたの炎忘れない"というフレーズが好きです。太陽というか恒星らしさのある表現が素敵。


 他に気になる点はCメロバックの歌詞に無いパートです。英語だとは思うのですがいまいち全文を聴き取れない。「そういえばB'zの歌詞に載っていないパートをまとめたサイトがいくつかあったよな~」と思って確認しようとしたのですが、今では消えてしまったのか探すことが出来ませんでした。

 B'zに限りませんがこういうのは地味にショックです。昔は色んなファンサイトがあったと記憶しているのですが、今や検索上位に来るのは中身の薄いキュレーションサイトか非分析的な内容のSNS・ブログばかりで悲しい。


 便利ではあるけど音源配信サイトや歌詞検索サイトの検索結果も深堀したい時にはノイズでしかありませんし、「ネット上に於ける音楽に関する談話(の探しやすさ)」という意味では明らかに近年の方が質が低いと感じてしまいます。

 それはリスナー・書き手の質云々というよりも、嘗て存在していた大手の無料ホームページサービスの終了に伴い数多の有益なサイトがウェブ上から消失したことや、SEOという概念が確立しサイト運営者と検索エンジン側との攻防が続いた結果カオスと化した掲載順位の乱高下によるところが大きいのではないかな。

 ネット文化遺産?情報資産?…正確な用語は知りませんが、もっと真剣に議論されるべき課題だと思うんですけどね。…と、最後は脱線してしまいましたが、16年も前の曲を取り上げるとなるとこういう懐古厨じみた発言も飛び出してしまうというお話でした。笑


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