Base Ball Bear「不思議な夜」のレビューです。歌詞が大学生の頃を思い起こさせて好き。 | A Flood of Music

今日の一曲!Base Ball Bear「不思議な夜」【テーマ:レインボーブリッジ】

 【追記:2021.1.4】 本記事は「今日の一曲!」Ver. 1.0の第四十八弾です。【追記ここまで】

レインボーブリッジ、封鎖できる?

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 封鎖できません!…と答えればいいのかな。笑 実は観たことないんですけどね~

 これ以上広げられないので「今日の一曲!」に入ります。【テーマ:レインボーブリッジ】なら個人的にはこれだ!という曲があるのでご紹介。

不思議な夜/ユニバーサル ミュージック

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 それは、Base Ball Bearの「不思議な夜」(2015)です。19thシングル曲で、オリジナルアルバムとしては『C2』(2015)に収録されています。

 ちょっと変化球なんですが、歌詞に直接「レインボーブリッジ」という言葉は登場しないものの、"首都高速11号"という形では出てくるのでテーマ的にはストライク判定でいいだろうということで選びました。"潮の香りの首都高速11号の高架下を海へと下る"ですから。

 落ちサビには"見上げれば虹の橋"というダブルミーニング的なフレーズもありますし、シングルの歌詞カードには曲の舞台となっている場所の簡易的な地図というか路線図が載っていて、そこにもきちんとレインボーブリッジの名前が記載されていますしね。




 この「不思議な夜」ですが、近年のベボベの曲では…いや、キャリア全体で見たとしてもかなりのお気に入り曲です(個人的トップ10には入る)。キャッチーなメロディとお洒落な演奏も勿論素敵だけれど、何よりも歌詞の情景描写が素晴らしいからこその高評価。

 何が良いってこのザ・大学生感よ。内容的にはもう少し年齢が上というか社会人を想定しているような気もしますが、ランデブーの内容や細かい描写から頭に浮かぶイメージは大学生だった頃の自分なので、追体験をしているような気分に浸れるのが堪らなく好きです。

 まあMVだとベボベらしく高校生が主役になっているのですが、あくまでも歌詞の世界とは別と割り切って進めますね。高校生が主人公として解釈するとちょっとリアリティに欠けるというか妄想っぽくなる気がするので。


 まず冒頭から巧い。"終電逃し 明日休みだし ちょっと散歩してみないかい?"、この深夜からお話がスタートするところが実に大学生っぽいと僕は思いました。少なくとも登場人物たちが大人であるということを示すのには充分だと捉えたということです。

 "車少なし シルエットの都心"というのも深夜の東京を端的に表していて鮮やかですが、続く"君"からの提案の歌詞は天才的だと思いました。"築地でお寿司!24時間営業のチェーン店でも市場クオリティーなの"。

 具体的な地名が出てくることもそうですが、このフレーズが添えられたことで一気に"君"のディテールが深まるところが良いんですよ。バックグラウンドが見えるというか、リスナー(特に男性)の立場からしたら特定の誰かが浮かんできそうなほどリアルではありませんか?


 Bメロの歌詞も諸兄ならば大いに共感出来るのではないでしょうか。"はしゃぎながら軽く汗ばんでる首筋にへばりついた君の髪を初夏の風がはがしたのを見た"。これは年齢問わず、個々人の脳内にそれぞれが持つ特定のイメージがフラッシュバックすると思います。或いは現在進行形で想起できるならば青春真只中ですね。笑

 サビで描かれる"君"の可愛さにも"キュン"ときます。"素敵な夜だ 左を見ればほら 君が「ん?」って顔してる"。2番は"君が「わぁ!」って顔してる"ですが、どちらもシンプルながら過不足の無い表現で流石。安易に「不思議そうな」だとか「嬉しそうな」にしていないところにセンスを感じる。


 ラスサビの儚さも切なくて良いですよね。"無邪気で無垢で無駄な魔法が解ける"に集約されていますが、単なるラブソングで終わらせていないところにベボベらしさがあるなと感じました。

 というかそもそもこの曲に「ラブ」があるのかどうかも正直疑わしいと思っています。"別に深い間の僕らじゃないけど"ですから。あったとしてもそれは片想いだと思いますが、個人的にはそういうわけでもない女の子となぜか一夜を共にした(健全な意味で)という意味で「不思議な夜」なのではないかと解釈しています。

 言葉の定義の上では矛盾してしまいますが、有り体に言えば「満更でもない関係」かなぁ。双方満更でもないと思っていたとしても、タイミングが合わないとか決定打になるような何かがかないとかで幻に終わるパターンってあると思うんですよ。それは結果だけ見たら「結局何もなかった」ということと同義ですが、過程に楽しい想い出があるなら財産にはなりますよね。

 まあこれはだいぶ希望的観測に基づく解釈ですが、この良い意味でのインスタント感というかテイクイットイージーな関係を匂わせていることろがやっぱりザ・大学生だなと僕は思いますし、こういう経験はあるよなと懐かしくなりました。