
ヒカリノアトリエ / Mr.Children +α
Mr.Chidren(以降ミスチルと表記)の36thシングル『ヒカリノアトリエ』のレビュー・感想です。シングルと銘打っていますが内容的にはライブミニアルバムとした方が正しいように思えます。
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当ブログにおけるミスチルの記事は3rd配信シングルの『かぞえうた』(2011)のものが最新で、アルバムだと16th『SENSE』(2010)以来になるのでかなり久々です。もちろんブログを止めていただけでファンは継続していましたが、17thと18thはどちらも問題作だったと思うのでまずはそこにふれつつ空白を埋めていこうと思います。
なるべく手短にしますが、17thに関してはかなりディス多めなので嫌な人は見ないことをおすすめします。論調としてはそれにも意味があって18thに繋がったという内容なので、全体的には前向きにしたつもりです。それでも制作側に対しては失礼だし人によっては不快に思う内容だと思いますが、好きだからこそ正直に書きました。
[(an imitation) blood orange](初回限定盤)(DVD付)/トイズファクトリー

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17th『[(an imitation) blood orange]』(2012)ですが、好きな人には本当に申し訳ないと思うし東日本大震災の影響も制作に反映されているということもわかった上で言わせてもらいますが、このアルバムを聴いた時「ミスチル終わったな」と正直思いました。当時様々なファンサイトを覗きましたが、そこでもあまり評判が芳しくなったと記憶しています。
具体的にどの曲のどの部分がどうこう言いだすと長くなるので省きますが、全体的にパッとしない曲が多い中で数少ない良いと思える曲も冗長過ぎると感じるというのが僕の結論です。以前からミスチルと小林武史さんのバランスに関してはファンの議論の種ですが、ついにパワーバランスが崩壊したという印象。
このことは凄くショックでミスチル熱がサーッと引いたのをよく覚えています。過去作は色褪せないけど新作に期待は厳しくなったなと。リリース間隔も長くなっていたしね。題にどういう意図があるのかは知りませんが、"imitation"と冠しているのもわざとなんじゃないかと邪推してしまいます。
【追記:2019.8.5】
後にアップしたこの記事の最後に、17thへのフォローを記しました。ただし、同記事には後年リリースの19thへの批評が多く含まれます。
【追記ここまで】
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実際17thは制作側にとっても思うところありだったのでは?と推測します。その理由は次作の18th『REFLECTION』(2015)から読み解けると思いますが、リリースまで過去最長の時間を要したこと、セルフプロデュース作品を多くしてコバタケ色を薄くしたこと、リリース前にライブ及び映画の撮影を行いリスナーの反応を見たこと等が挙げられるのではないでしょうか。
とにかく何か打破してやろう変えてやろうといった熱意を、18thおよびそのリリースまでの精力的な活動から感じ取ることができました。この熱意は17thがあったからこそ生まれたものだと思うので、ある意味本当に一度終わって新たに生まれ変わったのだと解釈しています。
回りくどい表現をしていますが、こう思うぐらい18thは超名盤だと評価しているということです。『{Naked}』盤は23曲も入っていて実質アルバム2枚分なので過去作と単純に比較するのは少しずるい気もしますが、ミスチル史上でも上位に入るアルバムなのは間違いないです。
一度は冷めたミスチル熱ですが18thで見事に再燃…といいつつ実は5th配信シングルである『REM』(2013)がリリースされた時点で炎は復活の兆しを見せていました。「なんだこういう曲もまだ書けるんじゃん!ミスチル&コバタケ終わってないな!」と、実際に手の平を返したのはこのタイミング。笑 ここから更に2年待たされたのは予想外でしたけどね。
前置きは以上です。ざっとですが当ブログにおける空白期間を埋めました。2016年は楽曲のリリースがなかったので本作が『REFLECTION』以降のミスチル初作品ということになります。今度はどういう方向に舵を切ったのか…見ていきましょう。
とはいえクレジットには"Performed by ヒカリノアトリエ"としてミスチルに加えて他の楽器を担当した4人の名前も載せられているので("曲毎に"ではなく)、今後の方向性を占う作品と判断していいものかは迷います。一時的な特殊作品かもしれないからね。
01. ヒカリノアトリエ
連続テレビ小説『べっぴんさん』(NHK総合)主題歌。本作に収録されている新曲はこれのみです。c/wは全てライブ録音(スタジオライブ含む)の過去曲なので、冒頭でライブミニアルバムと表現したのも頷いてもらえると思います。
NHKの朝ドラ主題歌ということで爽やかで優しい曲です。朝ドラの曲はあまりメロディに派手さがないものが採用される傾向にあると思いますが、この曲もそれに当てはまりますね。初聴時は印象が薄かったのですが、何回か聴いているうちに素直な良い曲だと思えました。ドラマで何度も聴かせることを想定した丁寧な作りなのでしょうね。
イントロは緊張感を孕んだサウンドでそこが少し意外でしたが、全体的にはマーチのようなポジティブな編曲がなされていて、未来志向の歌詞とよくマッチしていると思います。メロディ単位でならAメロが桜井さんらしくて特に好きです。
02. つよがり (Studio Live)
9thアルバム『Q』(2000)に収録曲。全体的に明るいアレンジへと生まれ変わった印象です。これはこれで温かみが感じられて良いとは思いますが、オリジナルが持つ渇いた空気感みたいなものがないので個人的には元のほうが好みです。
歌詞から特定の季節を連想することはできませんがサウンド的には冬の歌だと思っています。『Q』では次が「十二月のセントラルパークブルース」だからかも知れません。本作収録のVer.は冬は冬でも春に近い感じが出ている気がしますね。
『Q』は全体的にトリッキーな曲が多いので、純粋に美メロで素敵な歌詞を持つ「つよがり」が余計に際立っていたと思います。聴くたびに胸を抉られる思いがしますが依然好きな曲です。
03. くるみ (Studio Live)
25thシングル(2003)で11thアルバム『シフクノオト』(2004)収録曲。少しだけ大人になったVer.といった感想を持ちました。今回の楽器編成で出来る魅力的なアレンジだと思います。くるみちゃん成長したなという感じ。笑 オリジナルにあったグロッケンの音がなくなったから子供っぽさが薄くなったのかな。
「掌」と両A面で出された「くるみ」ですが当時は何よりMVが話題だったと記憶しています。インパクトが大きくて感動的ですもんね。歌詞も全てが素敵だと思うので取り立てて引用するのも難しいぐらいですが、"ボタンホール"のくだりは相変わらず好きです。
『シフクノオト』も今回の『ヒカリノアトリエ』もそうですが、桜井さん全部カタカナにするの好きですよね。掛け言葉的な意味がある時に便利な表記法ですが、より抽象性が増すのが良いと思う。
04. CANDY (Studio Live)
12thアルバム『I ♥ U』(2005)収録曲。オリジナルは壮大な感じというか内に秘めた思いが強いという印象ですが、こちらはある程度の落ち着きを持って"君"に接しているという感じに響いている気がします。ストリングスとアコーディオンの差かな。
02.「つよがり」もそうですが桜井さんは本当に心情を表現するのが上手いなぁと感心します。つまり男として共感できる内容だということですが、女性からしたら言われたい(思われたい)内容…なのかな?なぜならミスチル好きの女の子に好きな曲を訊くと「CANDY」が入ってる率が高いから。笑
05. ランニングハイ (虹 Tour 2016.11.7 FUKUI)
27thシングル(2005)で同じく『I ♥ U』収録曲。これはオリジナルからしてブラスセクションが印象的な曲なので今回の楽器編成が映えるのは当然ですね。ここまでが優しい曲ばかりなのでハッとさせられました。
特にアウトロの疾走感のある中川さんのベースが格好良過ぎる。オリジナルは落ち着いてペースダウンしていくような締め方ですが、ライブだとハイのまま突っ走っていく感じなのが素敵ですね。
この曲の歌詞はミスチルの中でもかなり好きの部類に入ります。冒頭の言い合いも"ドッチボール"(歌詞ママ)の例えも幽霊屋敷のくだりも全て好きなのですが、2番Aメロの"太陽が照りつけるとやけに後ろめたくて"の心情がいちばん共感できます。
06. PADDLE (虹 Tour 2016.10.14 KUMAMOTO)
『シフクノオト』収録曲。オーディエンスとのやりとりが頻繁なテイクです。手拍子もいい感じにビートを担っていて、より"明日へとパドリング"していく趣が強くなっていると思います。去年の熊本での録音なので、選曲自体も含めて復興応援の気持ちが読み取れますね。
アレンジ面では2番A・Bメロのギターとキーボードがとても良いと思います。ここばかり何度もリピートしちゃう。荒波を越えていこうとする感じがより出ていて好きです。
歌詞もメロディもとてもポジティブでサウンドもキラキラしているという、勇気を貰いたいときにはうってつけの前向きソングで昔から大好きなのですが、こういう曲はライブ映えするので音源としてリリースしてくれたのは嬉しいですね。映像作品のリリースは多いけどライブCDももっと出してくれたらいいのにと常々思います。
08. 隠しトラック (Over + ALONE AGAIN (NATURALLY))
07.は無音トラックなので飛ばして08.には隠しトラックが収録されています。括弧に書きましたが披露されている曲は4thアルバム『Atomic Heart』(1994)収録の「Over」に、Gilbert O'Sullivanの「ALONE AGAIN (NATURALLY)」(1972)を一部ミックスしたものです。知らない人でも聴けばわかる曲だと思います。
隠しなのでここで多くを語ることはしませんが、ライブのMCを中心に15分近く録音されており「Over」にまつわる制作裏話を聞くことができます。もちろん「ALONE AGAIN (NATURALLY)」との関連も。
「Over」はミスチルのアルバム曲の中でもかなり有名で人気曲だと思います。失恋ソングだけど曲の感じは明るいというのが逆に切ないというかある意味前向きというか…失恋をどこまで乗り越えられているかによって印象が変わりますよね。
以上、新曲1つに(スタジオ)ライブ曲6つで構成されたディスクでした。純粋な新曲は1つだけとはいえ収録時間的にはミニアルバムぐらいの分量なので、シングルとしてはお得な内容かと思います。
新曲「ヒカリノアトリエ」は純粋に良い曲ですが、陰のあるミスチルを求めている人にはあまりピンとこなかったかもしれませんね。タイアップの内容上仕方ないと思いますが、c/wに毛色の違う新曲がもう1つあっても良かったかも。
ライブ録音の6曲は全体的に良かったと思います。普段の編成にないメンバーを加えることによって楽曲の新たな魅力が引き出されていました。この選曲を見ると本作にあまり暗い曲は合わないなと感じるので、仮に「毛色の違う新曲」があったとしても浮いちゃいそうですね。
というわけで、まとまりがあるという意味では完成されたシングルだと思います。ミスチルの作品というよりはヒカリノアトリエの作品という感じがしましたけどね。実際そうなので別名義にしてもよかったのではないでしょうか。
さて気になるのは次のアルバムですが、まずはこのヒカリノアトリエのツアーに注力するでしょうから、そこでの経験や反応をどこまでフィードバックさせるかで次作の色が決まると思います。暗いアルバムにはならないような気がしますけどね。なんにせよ楽しみです。
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なるべく手短にしますが、17thに関してはかなりディス多めなので嫌な人は見ないことをおすすめします。論調としてはそれにも意味があって18thに繋がったという内容なので、全体的には前向きにしたつもりです。それでも制作側に対しては失礼だし人によっては不快に思う内容だと思いますが、好きだからこそ正直に書きました。
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具体的にどの曲のどの部分がどうこう言いだすと長くなるので省きますが、全体的にパッとしない曲が多い中で数少ない良いと思える曲も冗長過ぎると感じるというのが僕の結論です。以前からミスチルと小林武史さんのバランスに関してはファンの議論の種ですが、ついにパワーバランスが崩壊したという印象。
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とにかく何か打破してやろう変えてやろうといった熱意を、18thおよびそのリリースまでの精力的な活動から感じ取ることができました。この熱意は17thがあったからこそ生まれたものだと思うので、ある意味本当に一度終わって新たに生まれ変わったのだと解釈しています。
回りくどい表現をしていますが、こう思うぐらい18thは超名盤だと評価しているということです。『{Naked}』盤は23曲も入っていて実質アルバム2枚分なので過去作と単純に比較するのは少しずるい気もしますが、ミスチル史上でも上位に入るアルバムなのは間違いないです。
一度は冷めたミスチル熱ですが18thで見事に再燃…といいつつ実は5th配信シングルである『REM』(2013)がリリースされた時点で炎は復活の兆しを見せていました。「なんだこういう曲もまだ書けるんじゃん!ミスチル&コバタケ終わってないな!」と、実際に手の平を返したのはこのタイミング。笑 ここから更に2年待たされたのは予想外でしたけどね。
前置きは以上です。ざっとですが当ブログにおける空白期間を埋めました。2016年は楽曲のリリースがなかったので本作が『REFLECTION』以降のミスチル初作品ということになります。今度はどういう方向に舵を切ったのか…見ていきましょう。
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01. ヒカリノアトリエ
連続テレビ小説『べっぴんさん』(NHK総合)主題歌。本作に収録されている新曲はこれのみです。c/wは全てライブ録音(スタジオライブ含む)の過去曲なので、冒頭でライブミニアルバムと表現したのも頷いてもらえると思います。
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02. つよがり (Studio Live)
9thアルバム『Q』(2000)に収録曲。全体的に明るいアレンジへと生まれ変わった印象です。これはこれで温かみが感じられて良いとは思いますが、オリジナルが持つ渇いた空気感みたいなものがないので個人的には元のほうが好みです。
歌詞から特定の季節を連想することはできませんがサウンド的には冬の歌だと思っています。『Q』では次が「十二月のセントラルパークブルース」だからかも知れません。本作収録のVer.は冬は冬でも春に近い感じが出ている気がしますね。
『Q』は全体的にトリッキーな曲が多いので、純粋に美メロで素敵な歌詞を持つ「つよがり」が余計に際立っていたと思います。聴くたびに胸を抉られる思いがしますが依然好きな曲です。
03. くるみ (Studio Live)
25thシングル(2003)で11thアルバム『シフクノオト』(2004)収録曲。少しだけ大人になったVer.といった感想を持ちました。今回の楽器編成で出来る魅力的なアレンジだと思います。くるみちゃん成長したなという感じ。笑 オリジナルにあったグロッケンの音がなくなったから子供っぽさが薄くなったのかな。
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『シフクノオト』も今回の『ヒカリノアトリエ』もそうですが、桜井さん全部カタカナにするの好きですよね。掛け言葉的な意味がある時に便利な表記法ですが、より抽象性が増すのが良いと思う。
04. CANDY (Studio Live)
12thアルバム『I ♥ U』(2005)収録曲。オリジナルは壮大な感じというか内に秘めた思いが強いという印象ですが、こちらはある程度の落ち着きを持って"君"に接しているという感じに響いている気がします。ストリングスとアコーディオンの差かな。
02.「つよがり」もそうですが桜井さんは本当に心情を表現するのが上手いなぁと感心します。つまり男として共感できる内容だということですが、女性からしたら言われたい(思われたい)内容…なのかな?なぜならミスチル好きの女の子に好きな曲を訊くと「CANDY」が入ってる率が高いから。笑
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27thシングル(2005)で同じく『I ♥ U』収録曲。これはオリジナルからしてブラスセクションが印象的な曲なので今回の楽器編成が映えるのは当然ですね。ここまでが優しい曲ばかりなのでハッとさせられました。
特にアウトロの疾走感のある中川さんのベースが格好良過ぎる。オリジナルは落ち着いてペースダウンしていくような締め方ですが、ライブだとハイのまま突っ走っていく感じなのが素敵ですね。
この曲の歌詞はミスチルの中でもかなり好きの部類に入ります。冒頭の言い合いも"ドッチボール"(歌詞ママ)の例えも幽霊屋敷のくだりも全て好きなのですが、2番Aメロの"太陽が照りつけるとやけに後ろめたくて"の心情がいちばん共感できます。
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アレンジ面では2番A・Bメロのギターとキーボードがとても良いと思います。ここばかり何度もリピートしちゃう。荒波を越えていこうとする感じがより出ていて好きです。
歌詞もメロディもとてもポジティブでサウンドもキラキラしているという、勇気を貰いたいときにはうってつけの前向きソングで昔から大好きなのですが、こういう曲はライブ映えするので音源としてリリースしてくれたのは嬉しいですね。映像作品のリリースは多いけどライブCDももっと出してくれたらいいのにと常々思います。
08. 隠しトラック (Over + ALONE AGAIN (NATURALLY))
07.は無音トラックなので飛ばして08.には隠しトラックが収録されています。括弧に書きましたが披露されている曲は4thアルバム『Atomic Heart』(1994)収録の「Over」に、Gilbert O'Sullivanの「ALONE AGAIN (NATURALLY)」(1972)を一部ミックスしたものです。知らない人でも聴けばわかる曲だと思います。
隠しなのでここで多くを語ることはしませんが、ライブのMCを中心に15分近く録音されており「Over」にまつわる制作裏話を聞くことができます。もちろん「ALONE AGAIN (NATURALLY)」との関連も。
「Over」はミスチルのアルバム曲の中でもかなり有名で人気曲だと思います。失恋ソングだけど曲の感じは明るいというのが逆に切ないというかある意味前向きというか…失恋をどこまで乗り越えられているかによって印象が変わりますよね。
以上、新曲1つに(スタジオ)ライブ曲6つで構成されたディスクでした。純粋な新曲は1つだけとはいえ収録時間的にはミニアルバムぐらいの分量なので、シングルとしてはお得な内容かと思います。
新曲「ヒカリノアトリエ」は純粋に良い曲ですが、陰のあるミスチルを求めている人にはあまりピンとこなかったかもしれませんね。タイアップの内容上仕方ないと思いますが、c/wに毛色の違う新曲がもう1つあっても良かったかも。
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