よく、面接はきつねとタヌキのお見合、内定はきつねとタヌキのお約束事と言われているが、就職活動にはある程度の「かけ引き」は必要である。
●面接で聞いてはいけないこと
52歳、男性で面接を何社か受けたのだがなかなか採用にならない、との相談をうけた。
話していると真面目そうで、やや強面(こわもて)で頑固そうな印象だが、コミュニケーションも普通で、特に悪い印象はない。
経歴をみると、これまで転職は4回程度で製造、配送、警備などいろいろな職種を経験し、とくに目立った職歴はないが、応募先も施設警備や製造系のライン作業で、不採用が続くのでフルタイムに限定せずパートにまで広げて、けっして高望みをした条件の求人に応募をしているわけではない。
そこで、面接でどんな受け答えをしているのかを聞くと・・・
最後になにか言い残したことは?と聞かれるので、求人票に載っていない夏季休暇や年末年始の休暇はあるのか? 休みはちゃんともらえるのか? また、給与や賞与はいくらくらいもらえそうか? などを聞いているというのである。
就労する前に、こまかな就労条件を知りたいという気持ちはわかるが、それをあまり前面に出すと、働く意欲よりも待遇ばかりを気にする細かい人間、使いにくそうな人と思われ採用にならないことを指摘。次回からはやめるようアドバイスした。
●主導権あらそい?
採用・不採用の主導権は、内定までは会社側にあるが、内定後は(入社するかどうか)応募者側に移る。
そういう意味で、結果(内定)が出るまでは、うまく立ち回らなければならない。
就労条件で気になることがあっても、あせって応募段階で(面接で)就労条件や賃金面での細かな質問は、こちらからはしないことが大切である。
パートでシフトの回数や希望する勤務時間を確認するのは問題ないが、採用されるかどうかもわからないうちから、福利厚生や休日、給与・賞与等の条件を細かく聞いても、得られるものは悪印象だけでなにもない。
面接官にとって、この人は自分のことばかり考えて、何のためにわが社で働きたいのか? どのように貢献してくれるかがまったく伝わらない印象をうけてしまう。
もし、会社から賃金でいくらくらい欲しいか?と質問されたら、その時初めて具体的な数値を言うのは構わないが、その場合も、必ずその根拠を併せて説明すること。(例えば、前職では月〇〇〇〇円もらっていたので、できれば同等の額を希望しています・・・ とか)
ここまでは、採用するかどうかの決定権は会社側(面接官)にある。
面接官によっては、自分より年下だったり、なまいきで横柄な態度で面接したり、自分より明らかに能力が劣ると推察されたとしても、決定権は会社側(面接官)にあることを絶対忘れてはいけない。いい印象を持ってもらうよう謙虚な気持ちで面接に臨まなければならない。
●内定といわれたら
その後、会社から、「採用したいので入社してくれますか」と言われてはじめて主導権は応募者側に移るのである。
就労条件はその時、とりあえず口頭で通知という時もあれば、場合によっては、事前に就労条件を確認したいので来社してほしいと言われることもある。
この段階になって、(気になるになるところがなく、一刻も早く就職したければ即答してもいいが)気になることがあったら、即答はせず「ありがとうございます。ただ、(相談する人がいなくても)相談したい人がいるので正式な返事は〇日までに(通常は3日以内)必ず返事します。ちなみに確認ですが、夏季休暇や年末年始休暇はありますか? 年次有給休暇の消化率はどれくらいですか? 賞与の前年の実績は何か月くらいですか?・・・・」など、この時に気になっていることを聞けばいいのである。
こうした質問や要望にまともに対応してもらえなかったら、ブラックの匂いがすることになる。
また、文書で確認したい場合は、雇用契約者あるいは労働条件提示書などの事前提示を求めればよい。そこで自分の希望条件と大幅に乖離していた場合は、辞退すればいいだけの話である。
万が一、雇用契約書等を事前に文書で提示してくれない場合は、ほぼブラックと思っていいので辞退することをお勧めする。
気の弱い人ほど内定をもらったのに辞退するのは申し訳ないと変に恩義を感じてしまう人がいるが、この件に関してはビジネスライクに割り切って考えても、道義的にもビジネスマナーにも違反しない。
辞退の連絡をしても、会社側も辞退されるのは想定内で、いくらでも追加で採用すればよいと割り切っていることが多く、あっさりとした返事で「あっそうですか、わかりました」で終わることが多い。
もし辞退の理由を聞かれたら、希望条件と合わないとか、ブラックの臭いがするからとは言いづらいので、「せっかく内定をいただいたのですが、実は仕事のお願いしていた知り合いから先ほど誘いがあり、お世話になっている方なのでそちらを優先させていただきました。」 くらいの理由をあげておけばいい。
●それでも内定がもらえない人は・・・
ただ、そもそもこんなかけ引き以前になかなか内定がもらえないという人はどうしたらいいかと聞かれると、残念ながら明確な対策はない。相談員も 第41話:不採用を恐れるな!
(第41話) 不採用を恐れるな! | ボクのハロワ日記 ★ハローワークに来るクセの強い人たち★ (ameblo.jp)
の後半で述べたような対応を取らざるを得ないのが実情であることは承知しておいてほしい。