ちょっと前の大河ドラマ「平清盛」で、後白河法皇が平清盛に、どれだけ大きなものを食べたことがあるかについてのホラ吹き勝負を吹っかけ、「わしに勝ったら望みをかなえてやる」というシーンがあった。
清盛は「海のように深く広い野心を喰った」と言ったのに対し、法皇は「そういうお前をわしは喰った」と言うシーンがある。だから法皇の勝ち、という訳だが、「そういうお前をわしは喰った」というマジックワードが、政策の世界にもある。
それは、「その政策をしなければ、状況はもっと悪くなっていた」というものだ。
例えば、
「昨年10月末の追加緩和をしても、CPIの伸びは下がったじゃないか!」
→「追加緩和していなければ、今頃デフレスパイラルに逆戻りしている」
「消費税を上げたから景気が悪くなったじゃないか!」
→「いや、消費税を上げなければ、人々の財政の先行きへの懸念が拡大し、景気はもっと悪くなっていた」
こんなのほとんど検証不可能なところが、マジックワードのマジックワードたるゆえんだ。しかし、このマジックワードを多用し過ぎると、政策議論が終わってしまうので、知的退廃を招くおそれあり。ご注意を。