「クスノキの番人」東野圭吾
ありそうなファンタジー不倫の末に生まれ、認知はされず、援助はすると言った父には見放され、結局母は夜の仕事で生計を立て、若くして病に倒れて祖母に育てられた直井玲斗。貧乏だったけれど、祖母のおかげでなんとか生きてきた。そして、ただ生きていければいいと選んだ住み込みの職場でトラブルを起こして留置所入り。お金もないのに、仕事と住居も同時に失うことになるなら刑務所暮らしはちょうどいいかなと思っていたところ依頼主不明の弁護士が現れる。依頼主の命令通りにすれば、留置所をすぐに出してもらえる。もちろん弁護料も払ってもらえる。でも、問題はその“依頼主の命令”、、、弁護人はまだ教えられないという。どうせ先のなさそうな人生、玲斗は依頼人のお世話になることに決めた。・・・高級ホテルの一室で待っていたのは高齢の女性がひとり。柳澤千舟。顔に見覚えがあるような気もするが、名前に聞き覚えはない。話が進むにつれ、千舟と玲斗の関係を知らされ、命じられたのが、、、「クスノキの番人」。・・・柳澤家が管理する神社の境内の奥にある壮大なクスノキ。巷ではパワースポットとして有名らしいのだが、社務所に住み込みで、境内の掃除や、クスノキの管理しながら夜に祈念のため訪れる人をお迎えする。たったそれだけのことなのだが、玲斗にしかできないと千舟はいう。祈念とは何か千舟に問うと、いずれわかります、とだけ。そのとおり、少しづつ少しづつ真相が明かされ、何も知らされていない玲斗と同じペースで“祈念”と、“玲斗と千舟のゆかり”を知る。クスノキのパワーに導かれた人々の心に積もった後悔と家族のものがたり。・・・「クスノキの番人」東野圭吾実業之日本社文庫